これを恋だと名づければ負け

登校中の朝…

今日も君を待ち合わせる。

1つ上の先輩。

私の大好きな先輩。

だけど認めたくない。

認めたくないんだ。

君が……………

君が好きだって。

だって君の隣は………

もう埋まっているから…。

朝、待ち合わせをはじめて1ヶ月。

『偶然ですね。』

なんて装って…

でも全部…君に会うため。

先輩には可愛い彼女がいる。

それなのに毎日…毎日。

悪あがきだ……

これを恋だと認めたくない。

認めたら負けだ。

私は私じゃなくなってしまう。

ずっと前から想っていても…

伝えなきゃ意味がない。

伝えてはじめて始まる恋…。

私は意気地なしだ。

何がしたいのか… そんなことわからない

好きは認めたくない。

だって叶わないから。

望結が言ってることは確かだ。

でも私は意気地なしだし。

そんなこと前々からわかってるし…

恋は難しい。

行動って具体的に何をすればいいの？

私わかんないよ…。

この恋は難しい。

失恋だとわかってて行動するのだから…

でももし願いが叶うなら。

うまくいくなら……

ううん。

私が求めてるのはこれじゃない。

伝えたい……

ただ

伝えたいんだ。

まずはそれだけでいい。

どんな結果だろうと……

私は伝えたい。

認めたくないないけど… これはきっとそうなんだ。

恋。

偶然じゃない……

これは…

起こせ行動。

頑張れ私。

張り切れ私。

輝け私。

先輩の全てが……

私は瞳を閉じて身を委ねた。

柔らかい唇。

感じる冷ややかな視線。

当然だ。

目の前で起きてることは現実で…

私は間違っているのだから……

恋は難しい。

誰かが結ばれることで、 誰かが傷つくから。

そんな理不尽じゃない恋愛なんて 存在しない。

でも私…思うんだ。

『失恋って嫌いじゃない』って

恋だと認めたくないけど…

これはれっきとした恋なんだ。

美しく、儚い。

まだ最初の1頁。

後悔だらけの恋なんて…

恋だと認めたくないでしょ…？