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馬と鹿と罪

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馬と鹿と罪

2 - 過罪能力

♥

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2025年03月28日

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街にやってきた俺たちは、まずこの異様さに驚いていた。

悪党の巣食う街と聞き、外観からもその圧倒的な禍々しさが見て取れた。 しかしどういうわけか、街の中は想像とは違った。

カズミ

意外と静かだな。

イズミ

人が少ないわけでも
無いのにね。

道行く人間は、強面の男性や煙草をくわえた女性。タトゥーやナイフを携帯するような者たちだらけだ。

しかしそれだけに、どこもかしこも治安が悪そうな様子が見られないのが謎だ。

カズミ

こりゃ意外と大変な事は
無さそうだな。

カズミ

飯と住む場所さえ
確保できれば_

イズミ

ねぇ、兄貴。

カズミ

? どうした?

イズミ

…あれ、見て。

なあ、嬢ちゃんいいだろ?俺達が腹一杯、うまいもん食わせてやるよ。

ニル

だからな?あんまり余計なことしようとすると

俺たちも嫌なんだよ。

子どもに嫌がることすんのはさぁ。な?

ニル

(首を横に振る。)

カズミ

…何だ。

カズミ

ちゃんと腐ってんな、
ここも。

イズミ

ねぇ、兄貴。

カズミ

何だ?早く行こうぜ。

イズミ

っ…

カズミ

どうした?
…具合でも悪いのか?

イズミ

兄貴_

イズミ

あの子を…

イズミ

助けちゃ、ダメ、かな。

カズミ

!…

俺は、この世界が嫌いだ。 俺を嫌ったこの世界が。

(ニヤリと笑う。)

だったら、 抗ってやろうじゃねぇか。

カズミ

おい、そこのあんた。

通行人

あ?どうした兄ちゃん。

カズミ

何でもいい、

カズミ

武器を持ってねぇか?

大柄な男

おい、もういい。

大柄な男

ソイツを連れてこい。

うす。

ニル

_!

男が手を伸ばす。

手を小さく叩く音が路地裏に響いた。

ニル

い、…いやだ…ぁ。

あ゙ぁ。めんどくせえな。

おい、お前口を塞げ。

ああ、わかった。

ニル

やっ…!やめ_

《バキィッ!!》

ごあッ!

三人のうちの一人が床に倒れる。

ニル

!!

イズミ

ちょっと…力入れすぎたかも。

カズミ

構わねぇ。
好きに暴れてくれ。

だ、誰だテメェら!?

カズミ

あぁ、気にしないでくれ。

カズミの手に握られていた一本のナイフが、強く金色に光る。

!?

・・・・・・・・・  二本になったナイフを 片手に持つ。

カズミ

ただの八つ当たりだ。

一本のナイフを男に向かって投げつける。

っぶねぇ!

男達は身を翻してなんとか除ける。 だが、ナイフに気を取られてこちらの 動きを見ていない。すかさず、奥の方に立つ男の顔に肘を叩きつける。

がはぁっ!

そして体を半回転し、横に立っていた 三人目の男と対峙する。

っひぃ!?

男がこちらを見て小さく悲鳴を上げる。 まるで化物でも見ているかのようだ。

不完全な構えを取った男の腹を、もう 一本のナイフで躊躇なく掻っ捌く。

ぎゃあああっ、ぁあぁ!!

三人の男は全員倒れている。 後は、あいつだけだ。

大柄な男

テメェら、
何してくれてやがる?

怯えて攻撃もして来なかった 男たちと比べると、幾分かは 張り合いがありそうだ。

大柄な男はハンマーのようなものを 手に持ち、臆することなくこちらに 近づいてくる。

カズミ

イズミ、この子を連れて
表に出てろ。

イズミ

兄貴…

大柄な男

覚悟はできてんだろうな?ガキィ…

カズミ

ここは任せろ。余裕だ。

イズミ

うん、分かった!

大柄な男

お別れは済んだな?
じゃあ死ね。

カズミ

男がハンマーを上に構え、 力を溜めて振り下ろす。 だが…

男の振り下ろしたハンマーは当たることなく、轟音とともに地面のコンクリートを粉々に砕いた。

カズミ

遅せぇよ。ノロマ。

避ける瞬間、ハンマーに触れた俺の手が 輝き出す。

瞬時に男の背後を取った俺は、握った ハンマーを男の後頭部に振り下ろした。

カズミ

血の滴るハンマーを手から離すと、 ゴトン、とコンクリの地面と ぶつかる音がした。

イズミ

兄貴!

カズミ

…イズミ、あの子は大丈夫か?

イズミ

うん、大丈夫だけど、兄貴血が…!

カズミ

あぁ、大丈夫だ。
…俺の血じゃない。

(血を拭う)

ニル

ひぃ…!

カズミ

!

イズミの後ろに、先ほどの少女が 隠れていた。

自然に目が合ってしまう。

カズミ

あ、えーと…

カズミ

大丈夫だったか?怪我は?

そう話しかけてみたが、どうやら俺には怯えているようだ。

ニル

…う

カズミ

?

イズミ

今、何か言った?

どうやら、イズミには少し 懐いているようで、イズミが屈んで そう聞くと、小さな声で呟いた。

ニル

あ、ありがとう…!

カズミ

!!

イズミ

ふふ。

イズミ

良かったね?兄貴。

カズミ

はは。

カズミ

性に合わねぇな。ったく。

『やっぱり彼は素晴らしい!』

『過罪能力(カルマ)の中でも下位の 【傷害】を見事に使いこなしている!』

『彼らなら、悪党の王…この街を統べるものになれるかもしれないね。』

?

…だがリリア。あまり
肩入れしすぎるなよ。

?

この街では、命なんて簡単に消え去る。

?

だからこそ、命を惜しむ者たちが集まっている区画も出来たのだからな。

リリア

はいはーい、わかったよ。

リリア

全く君は頭が硬いねぇ?

?

それは違う。聡明でない
者が多すぎるのだ。

リリア

当たり前だろう?
なんたって馬鹿野郎の街
だもの。

?

いや、お前が言っていた
あの男。

?

まだ未熟だが、そこら辺の悪党とは違うぞ。

リリア

あれぇ?君もあの少年に肩入れしているじゃないか?

?

…しつこいな。
そろそろ時間だ、行くぞ。

リリア

りょーかい。

リリア

熊宮 和巳…。

リリア

楽しみだなぁ。ふふふ。

Profile.2 イズミ

イズミ

shortname
イズミ

fullname
熊宮 泉

sex


age
18

stature
161cm

イズミ

兄カズミとともにロスト
タウンにやってくる。

イズミ

独学で格闘技を習得して
おり、足技が得意。

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