しのぶの唇が、何かに塞がれた…。それは宇髄の唇で…

…はなく、急用から帰ってきたカナエの手だった

宇髄は冷や汗をかく

見苦しい言い訳だった。まきをと雛鶴のため息が宇髄の心臓に刺さる

カナエの言葉が宇髄の良心に強く突き刺さる。

宇髄は等々ガタイのいい体を必死に縮こませてブルブルと震え丸まってしまった

違う違うそうじゃない、と口に出そうなのをすんでのとこで飲み込んだ

旦那を怖がらせてしまったことへの意か、皿洗いをさせてしまったとこへの意か。それとも両方か。まきをと雛鶴は曖昧に返す

それを言われると、しのぶは何も返せない

カナエからビニール袋を手渡された

リビングを出て、3人はどこかへ行ってしまった…

しのぶは冷蔵庫にプリンとエクレアを入れながらまきをと雛鶴に謝った

まきをと雛鶴はくすくすと笑う

しのぶはむぅ…っと頬を膨らませた

その態度が子供みたいだと思った雛鶴とまきをだが、流石にこれ以上は怒られそうなのでやめた

まきをはしのぶの横髪に付いているゴミを取ろうと手を伸ばした

まきをの手がしのぶの耳にかすり、悩ましげな声を上げた

耳にかすっただけで恥ずかしい声を上げてしまい手で顔を隠すしのぶを必死に慰める雛鶴とまきを

ここにカナエさんがいたら、きっと私達も説教されるんだろうな…と思う2人であった…

リビングのドアを開け、入って来たのは数時間前に宇髄等を別に部屋に連れて行ったカナエだった

数時間のお説教に反省文…美人は怒ると怖いと言うが、まさにこの事である

しのぶはその枚数だけでも驚愕したのに、それを笑顔で言うのだから驚いて声も出なくなる

開いた口が塞がらないというのはまさにこの事である

するとそこへ、疲れきった表情をしながら宇髄がリビングに帰ってきた

…………その手には何枚もの原稿用紙が握られている

宇髄の手から紙束を受け取り、ペラペラと数を数えていく

カナエは床を指さした。まだ椅子やソファーには人が座れるのに

しのぶが制止の言葉を言おうとした時、宇髄が声を震わせながら答えた

今の宇髄はもう、カナエに完全に支配されていた…

その恐ろしさに、しのぶは心の中で抗議するしか出来なかった

結局、その15分後に須磨が来た

原稿用紙を渡すや否や、雛鶴とまきをに抱きつき泣き始めたのだ

大の大人の宇髄も少々涙目になっている

そしてしのぶは誓った

姉に逆らうのはやめよう、と

宇髄は雛鶴の袖を握り、須磨はその宇髄の袖を掴んで泣いている

実際、カナエに叱られたのだが

バタン。と、ドアが閉まった

キスしてこようとした相手でも、流石に心配になるしのぶだった

しのぶ争奪戦はまだまだ続く…