この作品はいかがでしたか?
576
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とうとう、本格的に夏が 始まろうとしていた6月下旬。
放課後に寄った渋谷の街で、
偶然通りかかった1件のお店。
表がガラス張りで中の様子が よく窺える、そのバイク屋。
分厚いガラス越しに見えた 1台のバイクは、
沈みかける太陽の光を反射して キラキラと輝いて見えた。
膝を曲げて身を屈めて
目線の先のバイクをじっくり見つめる。
口から洩れた心の声に対する返答が
1拍遅れて、頭の上から降ってきた。
声の主は、黒髪で長身の男の人。
謝罪の言葉を口にしながらも
全く悪びれもしない様子で、 目を細め白い歯を出して笑った。
目をキラキラさせて
心底楽しそうに笑う。
そう言いながら、 右手の指に挟んだ煙草を口に含み
フーっと煙を吹き出した。
今度は申し訳なさそうに 眉を顰めて笑った。
キラキラとよく笑う、 名前も知らないこのお兄さんは
ここのバイク屋の店主さんらしい。
そんな出会い方
「思いと煙を消し去って」 Ep.1
コメント
7件
すき、マジで好き、やばい真一郎の沼にハマった、、