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あー、この部屋の感じ…
懐かしいな〜。
…
…?
なんで俺、元貴の部屋に、?
元貴
滉斗
元貴
滉斗
いつもだったらスムーズに弾ける。
なのに今日は…
思うように指が動かない。
元貴
滉斗
元貴
元貴
滉斗
滉斗
元貴
元貴
いつも、一緒にいて
離れ離れになったことはないのに
なぜか懐かしく感じる
滉斗
元貴
滉斗
元貴
最初はからかってるのかと思って おぶさけ程度に返していた返事
滉斗
でも俺がそのまま 元貴の目を見つめてしまっているから
ちゃんと元貴は答えてくれた。
元貴
元貴
ちょっと照れながら答えてくれた
滉斗
なんで聞いたのかはわからない
でも、元貴が急に居なくなる感じがして
気づいたら俺の隣から居なくなる感じがして
不安になった
元貴
滉斗
元貴
滉斗
滉斗
滉斗
滉斗
わかってた。
もうわかってた。
この世にはもう 元貴は居ないんだって
もう会えることはない
わかってた。
解ってるのに
受け入れられない。
今日はどうしても学校に行く気になれないな
いつもの "あそこ "に行こう。
ここは俺と元貴がずっと 一緒に遊んでいた公園
小さい頃から、今までの思い出が 沢山詰まっている公園。
俺はそっと。ベンチに座る
いつもなら、この2人用のベンチの隣は 元貴で埋まってるはずなのに
今日はまだ隣が空いている
そんなことを考えていると高校生くらいの 男子2人がこっちに歩いてくる。
彼らはもう1つ隣のベンチに座った。
男子高校生1
男子高校生1
滉斗
盗み聞きは良くないと思いつつも
興味がある話題に、無意識に 聞き耳を立てていた
男子高校生2
男子高校生1
男子高校生1
男子高校生1
男子高校生1
男子高校生2
男子高校生2
男子高校生1
たしかに、テレビでよく見るのに 似てるなと思いながらも
試してみる価値はある
そう思いながら 立ち上がり、家に帰った
俺は自宅に着き、 元貴とのアルバムをめくった。
俺と元貴は昔から仲が良く、 写真はいっぱいあった。
でも、ほとんどお母さんが撮ってくれた物で
俺と元貴、2人で写ってる写真しかなかった。
滉斗
俺がもっと元貴の写真を 撮っていれば良かったと
後悔をしながら最後のページをめくる。
滉斗
最後のページには、 元貴の写真があった。
この無邪気で可愛らしい笑顔
コーラ、大好きだったもんな。
この写真は…
あの日の夕方の公園。
俺は1年前
両親を亡くした。
滉斗
元貴
滉斗
滉斗
涙を頑張って堪え、
滉斗
俺は元貴に泣いている姿を 見て欲しくなくて、
元貴の前ではいつも明るい俺を見せたくて
俺は必死に涙を拭い、元貴の前では強がった
元貴
滉斗
でも、その元貴の優しい顔を見た瞬間
また、涙が溢れ出そうになった。
滉斗
本当は元貴と一緒に居たかった。
痛かった。
1人になりたくなかった。
元貴に話を聞いてもらいたかった。
でも、俺は素直になれなかった。
滉斗
元貴
俺が家に帰ろうとした瞬間
元貴は俺の腕を掴んで引き留めてくれた。
元貴
滉斗
滉斗
元貴
元貴
元貴
そう言って、元貴は俺を抱きしめてくれた。
元貴の温もり。
元貴の優しい声、言葉。
必死に堪えてたのに
涙が溢れ出してしまった。
滉斗
俺はそのまま元貴の家にお邪魔した。
元貴のお母さんも優しくしてくれて
元貴の優しさはお母さんからなんだな、 って俺は思った。
その後、俺が落ち着くまで
ずっと元貴は俺の話を聞いてくれていた。
すると、突然元貴はカメラを取り出し
自撮りをし始めた。
滉斗
元貴
元貴
元貴
そこには満面の笑みの元貴と、 コーラが写っていた。
可愛らしいな、と思い 俺は笑みが溢れ出した
滉斗
元貴
滉斗
滉斗
今、思い出すと涙が止まらない。
元貴、寂しいよ…
この写真なんかみたら
余計寂しくなっちゃうじゃん、
今、物凄く元貴の優しさに浸りたい。
元貴の温もりで抱きしめてもらいたい。
俺の叶うはずのない " 我儘 "
︎︎
俺はあの高校生の言う通り、
元貴の写真を布で包む。
それを枕の下に置いて寝る。
ただそれだけ。
元貴に会えますように。
逢えますように…と。
そして俺は眠りについた。
もぶ
もぶ
もぶ
もぶ