感情を無くした人形

ジャー…ゴシゴシ…

あー…怒られっかなー

三ツ谷と千冬には 教えておこうかな

その時間を イザナがくれるか分からないけど

それと叶のことも、

叶…。

あぁ、まだ俺は、 叶を必要としてる…

感情を殺さなきゃ

イザナの傍に居るには、 叶の感情を、叶がくれた感情を、 捨てなくちゃいけない。

でも…

今まで叶に言われてきた言葉の数々

にぱって笑うその顔

誰にも劣らない強さ

誰よりも優しい性格

全部が全部愛おしかった

あの時、好きって言えていたら 何か変わっただろうか。

答えは否だ。

俺と叶が付き合っていたとしても こうなる未来は見えていた

俺はキラをそっと撫でた

パチン

ｶﾗﾝｯ

わしゃわしゃと 乱暴に頭撫でられた

ぎゅっ

頭をぐりぐりしてくる イザナは少し可愛い

心の中で悶える 灰谷兄弟であった

葵〜！！おはよ〜！！

そんな言葉が聞こえた気がした

ドサドサッ

上履きを落としてしまった

見れない叶の顔

聞こえない叶の声

俺は声を殺して泣いた

幸いだったこと、 それは下駄箱に 誰もいなかったことだ

静かに嗚咽が響く

視界の隅に見えた金髪

過呼吸で言葉が紡げない

〜回想〜

男の子に殴られた所が痛む

叶の殺気MAXの 言葉を聞き、日和る男の子たち

口端を殴られ 少し血が出てる

袖で拭う

____俺が殺したんだ。

すると屋上のドアが 思いっきり開いた

額から血管が浮き出てる 三ツ谷がいた。

そう言って俺は屋上を 後にした。

春千夜は登校してない。 青宗と九井もいない。 万次郎は失意のどん底にいる。 叶は植物状態。

超満身創痍じゃん。

ウケる。

すると俺の手を両手で 包み込んできた千草

ゴッ

千草がピアスに触れようとした その瞬間…

俺は千草の手を払ってしまった

千草が教室を出ていったあと

俺はある場所へ向かった

少し萎れた花を変える

エートルワイズという花。 白い小さな花を咲かせる

自分がイヤになる。

少し叶の頭を撫でる

『みんなで笑い合いたい』 そんな願望を抑えて

ふわっと頭を優しく撫でられる

思わず涙が出そうになる

嗚呼。この人は本当に…

__叶に似てる

すると部屋の奥から 物凄い音が近付いてくる

思いっきり飛びついてきた イザナ

音の正体はイザナが 走ってきた音だった

イザナは本当に感情が豊かだ。