月見。
月見。
月見。
月見。
月見。
注意!! ・地雷さんは今すぐUターン! ・まろにきが付き合ってます、そしてあにき愛されです ・あにきが悪夢を見ます ・nmmn ・ご本人様方とは何も関係のないフィクションです ・口調&キャラ崩壊あり ・通報❌
月見。
Twitterを見ていた。
いれいすの公式アカウントが何かをツイートしたと通知が知らせたので見に行ったのだが、画面にどことなく違和感を感じ、俺は画面を凝視した。
悠佑
そして違和感の正体に気付き、俺は文字通り固まった。アイコンにいたのは、五人だった。
俺の姿は、どこにも無い。
状況が上手く理解出来ず、焦る心を抑えまずLINEを見た。いれいすメンバーとのグループを探す。が、無い。
りうら、ほとけ、初兎、ないこ、まろ。全員の個人LINEすら、見当たらなかった。
もう一度Twitterに戻り、自分のアカウントを確認した。フォロワーは少ししかおらず、まるでただの鑑賞垢のようだった。しかも、歌に関することが何も書いてない。俺は、何も活動をしていないのか?
動揺に手が震える。なんだこれは、どういうことだ。
いてもたってもいられず、冬だと言うのにコートすら羽織らず、俺は家を飛び出した。
インターホンを押す手が震える。家の中に響いたインターホンの微かな音が聞こえて、それから扉が開くまでの時間が、酷く怖かった。
ないこ
扉が開き、顔を覗かせたのはないこだ。
悠佑
ないこ
飛び付くように、すぐにないこに近付く。俺はTwitterを見せ、早まる鼓動を抑えようと努めながら話す。
悠佑
ないこ
ないこの言葉に口をつぐむ。ないこは困り顔で俺を見た。
ないこ
悠佑
たった一文字が震えた。ないこの腕を掴んでた手から力が抜け、滑り落ちる。
ないこ
悠佑
そう言うと、ないこは更に顔を顰めた。
ないこ
その言葉に、スーッと体の芯から冷えて行く心地がした。
悠佑
ないこ
初対面の相手を見るような目、慣れない敬語。
息が震えた。もう何もかも訳がわからない。何が起こってるんだよ。
その時、足音と共に、大切な彼の声が耳に届いた。
If
ないこ
きょとんとした顔のまろが、こちらへ歩いて来ていた。
悠佑
If
悠佑
付き合って───
その言葉は、言えなかった。まろに期待をかけながらも、否定された時に怯えている。
If
目の前が真っ暗になった。ひゅ、と息が喉の奥で詰まる。
まろの困り顔にも、怪訝なないこの顔にも、その場に俺の居場所は無いんだと、充分過ぎるほどに思い知らされて。
悠佑
If
俺は、その場から逃げるように走り出した。
どのくらい走ったか分からない。無我夢中で走って、不意に足を止めた。
いれいすに俺はいない。ないこやまろにすら、俺の存在自体知られていない。
いれいすじゃない、歌を歌わない、まろ達に知られていない俺は、なんだ。
存在意義も無い。自分が何者かわからない。
俺の居場所は、どこにあるんだろうか。
俺はこれから、どこに行けば良い?
悠佑
ぼろぼろと涙が溢れ落ちた。こんな風に泣くのはいつぶりだろうか。漏れる嗚咽が情け無い。でも、誰も俺のことなんて知らないから。
悠佑
いれいすに、俺はいなくてもいいんだな。
でも確かに、しっかり者のないこがいるし、まろやりうらだって高音出るし、盛り上げ役にはいじられ役のほとけがいる。低音でrapだって出来る初兎がいるし、作詞とか、みんな出来るし。
ハイトーンボイスと肺活量には結構自信、あったんやけどな。そんなの別にあってもなくても、変わらんか・・・。
悠佑
止まらない涙と共に、へらりと笑みが溢れた。
ああ、この世界に俺を呼んでくれる人はいないんだろう。
ないこ
-hotoke-
ないこ
-hotoke-
ないこ
-hotoke-
ないこ
ほとけの言葉にあにきをよく見てみる。確かに、その表情は心地良さそうなものではなかった。眉間に皺が寄り、なんだか苦しそうだ。
ないこ
-hotoke-
ないこ
最近、あにきは仕事の方が忙しそうで、あまり睡眠が取れていないようだった。
それでもいれりすのみんなのことを考えてか、月曜夜の個人配信もファンミもきちんと行っていた。だから余計に疲れが溜まっていたんだろう。
りうら
初兎
ないこ
If
-hotoke-
If
まろはすぐに部屋の中を覗き込み、あにきを凝視した。
あにきの表情は依然苦しそうだった。というか寧ろ、さっきよりも苦しそう・・・?
If
そう言うと、まろは扉を静かに開けて、部屋の中へ足を踏み入れた。俺達も心配で、その後に続いた。
If
まろがそっと名前を呼ぶが、あにきは目を覚さない。
りうら
りうらが思わずといった様子で声を漏らした。俺も声は出さなかったが目を見張った。
初兎
初兎ちゃんの声にも心配の色が浮かぶ。
悠佑
苦しそうに身動きをしたあにきの目元から、涙が流れ落ちたからだ。
これは只事ではない、そう判断した俺達は目を合わせ頷き合った。まろがあにきの肩を掴み、揺らす。
If
───き、──にき!
あにき!!
大きな声に、暗い暗い意識の底から引っ張り上げられる。
目を開けると、そこには見慣れたメンバー達がいた。その表情が、心配に染まっている。
ないこ
初兎
りうら
-hotoke-
If
あにき。五人の口から紡がれるのは、俺の名前。
・・・俺の、名前。
-hotoke-
ないこ
名前を、呼んでもらえている。忘れられていない。そのことを理解した途端、俺の目からボロボロと涙がこぼれ落ちた。
ないこ達が動揺しているのが分かったが、今の俺には嗚咽すら止めることが出来なかった。
If
まろがしゃがみ込み、俺の手を包み込む様にして、ソファに座る俺と目線を合わせ尋ねた。手から伝わってくる温もりと、その優しい声に、夢の中で孤独に冷え切った心が確かに温まっていくのが分かった。
口を開いてなんとか説明しようとする。が、言葉を差し置いて漏れるのは嗚咽だった。依然溢れる涙に、まろは急かすことなく俺の涙を拭ってくれる。
他のメンバー達もその後ろで俺を心配そうに、怒ることなく見つめていた。
If
温かさに溶ける様な声音と声に、まだ涙が止まらない。泣いてばかりだ。メンバー全員の前で、悪夢を見て泣くなんて情け無く思う。
でもそのくらい、あの夢は俺には辛過ぎた。
悠佑
If
悠佑
俺の言葉に、まろは数回瞬きをしてから、あ、と口を開きかけ、一旦口を閉じた。
If
ゆうすけ。温かく、優しく、俺の心に染み込んだ。
また涙を流す俺に、まろはさっきの要望の意図を問うことなく、涙を拭ってくれた。触れる指先が温かい。
悠佑
突拍子も無い話だったと思う。唐突に何言い出すんだこいつ、なんて思われても仕方ない。が、五人は黙って聞いてくれていた。
悠佑
誰かが息を呑むのが分かった。無理もないな、こんな話。
悠佑
声が震えた。夢の事を思い出せば怖くて、思わず下を向いた。
悠佑
すまん。笑顔を作ってそう言って、この場の雰囲気をどうにかするつもりだった。下手くそな笑顔で、取り繕うつもりだった。
なのに、その三文字を言い切ることが出来なかったのは。
五人が、俺の体を抱きしめたから。
りうら
悠佑
-hotoke-
悠佑
初兎
悠佑
ないこ
ないこ
悠佑
If
滲む視界で、正面から俺を抱きしめる彼が、俺の名前を呼ぶ。
If
まろが呼ぶ俺の名前が、じんわりと心に溶けて。
そんな言葉を聞いてしまったら、今まで何とか抑えていたものが。全てが溢れそうなところをなんとか抑えていた壁が、決壊して。
嗚咽も、涙も、抱えていたたくさんの不安も恐怖も。全てが溢れてしまった。
初兎
If
ないこ
-hotoke-
If
りうら
If
ないこ
初兎
一気に打ち解けた、いつもの雰囲気に戻った。ギャイギャイと騒いでるその声が少し騒がしい。が、握られた手も、撫でられている頭も、抱き締められて伝わってくる体温も、何もかもが幸せで、温かくて。
まだ止まらない涙を流しながら、俺はへにゃりと笑みを溢した。
涙も笑みも、夢の中の、あの時とは違う。
優しくて温かくて、幸せだから。
俺の居場所は、ここにあるんだ。
月見。
月見。
月見。
月見。
月見。