黒尾鉄朗
じゃあそろそろ帰るか〜
三毛屋〇〇
うん
二時間くらい勉強して、
図書室の閉室時間ギリギリに 荷物を纏める。
外は暗くなっていた。
すっかり日が落ちるのが遅くなった。
三毛屋〇〇
げっ
黒尾鉄朗
あー…
孤爪研磨
まあこうなるよね
駅は人でいっぱい。 もちろん電車内も。
普段は部活を待つから もっと帰りが遅いが、
今日はちょうど帰宅ラッシュに 当たってしまった。
プシューと音を立てて扉が開く。
なんとか三人で乗り込んだけど、
久しぶりの満員電車はキツイ。
黒尾鉄朗
大丈夫か?
三毛屋〇〇
うん…
黒尾鉄朗
こっち
と、テツに腕を引かれる。
反対側の開かない扉と
テツの間に押し込まれた。
三毛屋〇〇
あ、ありがとう
黒尾鉄朗
いーえ
黒尾鉄朗
大事な幼馴染なんでね
電車の揺れで人も揺れ、ぶつかる中、
私は背中を扉、左横を椅子、
右横を研磨、そして正面をテツと、
ホールドされて耐え忍んだ。
目の前にテツの広い胸板があって、
心臓がバクバクと早鐘を打つ。
肩が当たる距離にいる研磨には
何とも思わないのに、
一体どうして?
黒尾鉄朗
顔赤いけど、大丈夫?
三毛屋〇〇
え、……うん
黒尾鉄朗
夕方はあんま満員電車乗んないからな
黒尾鉄朗
力抜いていいぞ、支えてるから
三毛屋〇〇
うん、
テツには何か勘違いさせちゃったけど、
照れてるのがバレないためにも、
顔を下に向けて目を瞑った。