ガラッ
なつ
(あ、ここ、しんさんに呼び出されたところだ)
つち
…ねぇ、
なつ
?はい(笑)
つち
私達、会ったことあるよね?
なつ
…え
なつ
(どういうこと?)
つち
…小さい頃の記憶、ある?
なつ
…っ!
なつ
(なんで…そんなこと聞いて…)
なつ
カヒュッ
つち
!
つち
なつ!
なつ
カヒュー、ハヒュー、
つち
なつ!深呼吸して!
なつ
カヒュッ…カッ…
つち
…っ私の真似して!
つち
吸ってー…
なつ
スー…ハッカヒュー
つち
吐いてー…
なつ
ハー…カヒュッ
つち
繰り返して…
なつ
スー、ハッ…ハッ…スー…
なつ
…!ゲホッゲホッ…
つち
大丈夫…?…ごめん、嫌なこと聞いて(背中撫)
なつ
…だい、じょうぶ…(涙目)
つち
…私の話聞いてくれる?
なつ
…(コクッ)
つち
前言ったけど…私ね、小さい頃に一緒に居た子がいたんだけど…
つち
その子を、守れなかったの
つち
連れて行かせちゃだめな人に、連れて行かせちゃったの
なつ
…
つち
…その子が今、どうなってるか分からないんだけど…
つち
私、今、あなたが、あの時の子だと思うの
なつ
…?
僕は、つちさんが言っていることが、いまいち良く分からなかった
なつ
…あの…つちさんと、その子との思い出を…話してもらえませんか…?
つち
…!うん
つち
私が、お母さんと一緒に、街を歩いてたら、ある子供を見つけたの
つち
…その子、すごくボロボロだったんだ
つち
それで、その子をお母さんと一緒に家に連れて帰ったの
つち
…そこで、起きたときはびっくりしてて、戸惑ってたけど、
つち
段々、心を開いてくれて
つち
…その子は、なぜか言葉を喋れなかったけど、
つち
一緒に楽しく話しているような感覚だった
つち
…楽しかった…けど、
つち
ある日、家に変な大人たちが入ってきたの
つち
必死に止めていたお母さんを…殺して…(グッ
なつ
…
つち
そしたら、そいつらが、あの子を連れてって…
つち
私は、あの子を守りたかった
つち
なのに…怖くて…お母さんが、死んだっていうのが…ショックすぎて…
つち
動けなかった…(涙)
なつ
…!
なつ
(あぁ、思い出した…)
つち
うっ…うぅ…(涙)
なつ
…あの、僕の昔話も、聞いてもらえませんか…?
つち
…?(コクッ
なつ
…僕のお母さん、僕を産んだ時に、死んじゃったんですよね…
なつ
その後、お父さんにずっと虐待されて…
なつ
勉強もまともにさせてもらえなかったから、喋れなかったんだ
なつ
それで、もうあそこに居たくなくて、逃げ出したんです…
なつ
でも、何も持ってなかったし、まともに寝ても、食べてもいなかったから、
なつ
倒れちゃったんだよね…
なつ
そしたら、優しい2人の親子が、拾ってくれて…
つち
…!あ…(泣)
なつ
…(ニコッ)
なつ
あの時、喋れない僕と、ずっと一緒にいてくれて、ありがとう
つち
あ、あぁ…(泣)
なつ
僕…とっても幸せだったよ…!(涙目)(微笑み)
つち
あ、あぁ…う、うわぁぁあぁぁー…(泣)
つち
う…うぅぅ…(泣)
なつ
…(涙目)(抱)
なつ
大丈夫…君が、辛い思いをしてたら…僕が、その辛さを、背負うから…
なつ
君のお母さんが死んじゃったのは…僕のせい…
なつ
だから、せめてもの償い…
つち
…っ(涙目)
なつ
僕…安心したよ…
なつ
君の周りに、優しい人達がたくさんいて…
なつ
僕のせいで、不幸になってたら…僕、どうすればいいか分かんなかったから…(笑)
つち
…ね、ぇ
なつ
…ん?
つち
久しぶりに会ったし…私に償いたいんでしょ…?
なつ
え…うん
つち
じゃあさ…私の前だけでもいいからさ…作り笑い、やめて?
なつ
っ
なつ
な、んで…
つち
あの後、なつにつらいことがあったのは、だいたいわかる…
つち
だからこそ、無理して笑って、自分を壊してほしくない…
つち
…あの後も、喋れない状態のまま、辛い思いをしてたんでしょ…?
なつ
っ
つち
…前頼れなかった分…頼ってよ…
なつ
…わかった…じゃぁ、君に、お願いしたいことがある…
つち
なに…?
なつ
…『殺して…?』
つち
…っ!?