第16話 電光石火
AM4:02
七鐘別流
あふぇりる
ヌエ
あふぇりる
七鐘別流
七鐘別流
ヌエ
ヌエ
ヌエ
そう言い終えると、ヌエは手を前に突き出し、指を広げて絞るように閉じる。
その瞬間、皇居を中心として半径約2500mを結界が覆い始める。
その中には、別流達の病院も含まれていた。
あふぇりる
七鐘別流
ヌエ
七鐘別流
動揺する別流を、急加速したヌエが襲う。
七鐘別流
ヌエの一撃は帯電しており、咄嗟に左腕で受けた別流は体が痺れる。
七鐘別流
ヌエ
体の痺れている別流に、あふぇりるは巻きつく。
あふぇりる
七鐘別流
あふぇりる
そう話し合う2人をペットボトルの紅茶を飲みながら観察していた鵺は、拳を構える。
ヌエ
あふぇりる
ヌエ
ヌエの構えた拳に電気が集中し、火花を散らし始める。
かと思うと、まさしく電光石火の速さで別流に詰め寄り、拳を打ち込む。
未だ通常の人間状態で回避が全く間に合わない別流は、その一撃をモロに喰らってしまう。
高速の拳が胴に突き刺さった衝撃で体が大きくのけ反った後、
七鐘別流
電流が体を貫くような痛みが全身を裂き、一瞬心臓が止まる。
七鐘別流
拳が当たった部分はあふぇりるの体も焼き焦げ、相当のダメージを与えている。
気管に溜まった血液を吐き出した後、距離をとりながら別流は思考する。
七鐘別流
七鐘別流
先ほど吐き出した血液が爪のように伸び、ヌエを襲う。
ヌエ
奇襲に賞賛しながらヌエがパンと手を叩くと、両手に流れる電気がショートし周囲を火花が焼き払う。
あふぇりる
あふぇりるはそう言うと、蓄積したエネルギーを発散して高速で病院の廊下を突き抜ける。
七鐘別流
病院の見取り図を記憶していた別流は、手術室の扉を蹴破って侵入する。
七鐘別流
七鐘別流
ヌエ
コツコツと足音を響かせながら、ヌエが手術室に入ってくる。
ヌエ
七鐘別流
血液パックの蓋を開け、ジュースを飲むように中の血液を吸う。
七鐘別流
血液を飲み終えると、別流の目が紅く染まる。
七鐘別流
その言葉と同時に、備え付けの血液パックが一斉に破裂し、中の血液が別流の周囲を浮遊し始める。
ヌエ
ヌエの指先に電気が集約され、一気に別流に向けて放電される。
しかし、今回は先程とは段違いの動きで回避し、そのまま詰め寄ったかと思うと周囲を浮遊する血液のうち1つをナイフ状に形作り、
逆手に持って高速で斬りかかる。
あふぇりる
あふぇりる
さらにもうひとつ血液のナイフを作り、二刀流で一気に詰め寄る。
ヌエ
攻撃を受けるので精一杯のヌエは、徐々に追い詰められていく。
七鐘別流
残りの浮遊する血液を集約し、3箇所からの同時攻撃を仕掛ける。
しかし、ヌエはそれに伴い生まれた隙を生かし、別流に回し蹴りを叩き込む。
しかし、ヌエは血液を集約した一撃自体は回避できず、蹴りで無防備になった左腕が傷つく。
別流側も、吹き飛んで廊下に飛び出してしまいそうになる。 しかし、あふぇりるが体を伸ばして壁に張り付き支える。
あふぇりる
そのままスリングショットのように別流を撃ち出し、即座にヌエへの攻撃を継続させる。
集約した血液を薄く、細く伸ばし、手術室中にワイヤーを張る。
そのままワイヤーに腕をかけ、鉄棒の大車輪のように体を動かし鵺に蹴りを入れる。
そのままワイヤーから手を離し、着地したと思うと再び別のワイヤーに手をかける。
ワイヤーの弾性を活かして一気に飛び上がり、そのままそのワイヤーを矢のように変えて撃ち出す。
狭い部屋で、ワイヤーだらけの場所。もはや動くこともままならず、三次元的機動に一方的に押され続ける。
ヌエ
ヌエ
ヌエは、両手を固く結ぶと、電気を集約し始める。
そこから漏れ出す火花は、最初は紅く、次第に蒼くなっていく。
七鐘別流
AM 4:07
「奥義『稲津魔』」
その言葉が届くよりも早く、病院は一切合切灰燼と帰した。
中で今も眠る何百もの命と共に。
第16.5話 three years ago.
3年前。ODMN所有(元公安所有)、体術・武道鍛錬場。ニグに改修されて、仮想空間での神力を用いた戦闘訓練が可能になっていた。
そこで、2人の若者が向かい合っていた。
七鐘七時
佐門鮭
そう言って鮭が小脇に抱えていたものを掲げる。
七鐘七時
佐門鮭
佐門鮭
佐門鮭
その顔は、どこか誇らしげでありながら、「最初に見せたいのはお前じゃない」と言わんばかりの寂しい顔だった。
七鐘七時
佐門鮭
七鐘七時
佐門鮭
七鐘七時
七鐘七時
佐門鮭
七鐘七時
七時は、神力を発動し百合野種子に姿を変える。
鮭は、しゃけぱーくんを羽織り、用意しておいた太刀を手に取る。
佐門鮭
纏ったしゃけぱーくんと鮭がリンクし、その瞳が青く輝く。
七鐘七時
七時の手に、妖精の力を宿す、ピンク色の犬の力が宿る。
かと思うと、一気に距離を詰めて手刀を振り下ろす。
すでにODMN内で邪道、と呼ばれるようになっていた七時らしい、その気配を悟らせないような完璧な奇襲だった。
しかし、振り下ろすよりも前に、鮭は太刀の鞘を横から当てて、ななっし〜の腕を弾いていた。
七鐘七時
七鐘七時
そう落胆したような声を上げる七時は、すでに回し蹴りの体勢を取っていた。
それよりも前に、鮭は峰を立てて蹴りを受ける。
回し蹴りの勢いを利用して、フィギュアスケートのジャンプの要領で横に体を逸らす七時。しかし、その先に既に刃が飛び込んでいた。
七鐘七時
七鐘七時
抜け目なく、腰の暗器を放り投げる。
しかし、その瞬間にはもう、鞘と刀を振り回して暗器を弾き飛ばす。
七鐘七時
腕を下げ、同時に神力で呼び出した剣と盾を握る。
左手の盾を殴るように鮭に向かって突き出す…シールドバッシュの要領で、鮭を吹き飛ばす。
佐門鮭
そう言いながらも空中で鞘を腰に当て、そのまま納刀する。
吹き飛んで生まれた隙を見逃さず、霊力を込めた剣を振るう。
佐門鮭
退魔抜刀術・一刀流「一の太刀・居合い」
佐門鮭
鞘から高速で抜刀された刃が、振るわれる剣に衝突し、しかし盾が使えない軌道で振り下ろされる。
七鐘七時
七鐘七時
鮭は着地した瞬間に体を大きく回し、蹴りを叩き込む。
剣の重さで体が振られ、バランスを崩した七時は蹴りをちゃんと受け切ることができず、吹き飛ばされる。
七鐘七時
ゴロゴロと床を転がり、剣も盾も取り落としてしまう。
おまけに転がりついた先には刀が突きつけられていた。
佐門鮭
七鐘七時
と言った瞬間、七時の手から炎が噴き出す。
佐門鮭
佐門鮭
鞘で炎を掻き消し、首のそばに刃を突き立てる。 勝利を確信したその時…
七鐘七時
百合野種子の顔がドロドロと崩れていき、新たな顔を形作っていく。
七鐘七時
鮭の瞳に映っていたのは、誰よりも会いたい、あの人だった。
佐門鮭
七鐘七時
鮭は、いつの間にか両手に握られていた鳥の頭を模った拳銃で撃ち抜かれていた。
佐門鮭
《仮想戦闘モード・終了》
七鐘七時
佐門鮭
七鐘七時
佐門鮭
鮭は、七時の肩を掴み、詰め寄る。
七鐘七時
佐門鮭
項垂れて、鮭は鍛錬場から去っていく。
七鐘七時
コメント
2件
べるさんと鵺との戦い最高っすね…!! さもさんの動揺っぷりも最高だ☆(最低) 最近、小説スランプ気味なんで更新助かりました…!!