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AM 4:10
ヌエの奥義、「稲津魔」で大部分が焼け落ち、瓦礫となった病院。
その瓦礫の下から、血まみれの別流が顔を出す。
七鐘別流
出血した頭を抑えながら、自らに巻き付くあふぇりるに問いかける。
あふぇりる
七鐘別流
七鐘別流
あふぇりる
七鐘別流
七鐘別流
あふぇりる
絡みついていたあふぇりるが、はらりと地面に落ちる。
七鐘別流
瓦礫の下から右腕が焼き焦げたヌエが飛び出して、電撃を放ってくる。
ヌエ
ヌエ
ヌエ
ヌエと別流の間にピリピリと火花が散り始める。
ヌエ
七鐘別流
七鐘別流
七鐘別流
「『血詛呪術』結界展開。 己が血を以て、その忠誠を示せ。」
七鐘別流
腕から滴り落ちた血が地面に触れた瞬間、紅い結界がヌエと別流を包む。
私にとって、あなたは「祝い」だった。
忌み子だって捨てられ、たった2人で暗い路地裏を生きて行く上でのたった一つの灯り。
…ひどいよね。
ねえ、ななっし~。
あなたは、しぇいどさんに拾われたあと、メキメキ力を伸ばしていって、
今ではさもさんと並ぶうちの最強戦力の一角になった。
あなたは私よりずっと器用だった。
神力をコピーしたら、すぐに使いこなせるようになって。
速さと耐久力でごり押す私の戦闘スタイルとは違って、色んな神力を組み合わせて戦う。
まるで曲芸のように戦うその姿は、私の憧れだった。
だから、待ってて。
私もすぐに追いついてみせるから。
七鐘別流
別流の結界、「血転蝙牙」。
そもそも結界術とは、霊力を用いて空間を隔絶する技術。 地面に線を引く、壁一面に札を貼り付ける、盛り塩で四方を囲むなどの技は簡易的な結界にあたる。
その中でも、空間を大量の霊力で歪ませ、新たに霊力で満たされた空間を作り出す「展開」を用いる結界術は、特に難易度が高く、
実際この瞬間まで別流は展開を完遂したことは無かった。
しかし、心身ともに極限の状況、また既に病院の周辺が九十九一党による結界で覆われていることが幸いし、
自身の霊力を空間内に押し留めることに成功。
未だ不完全だが、結界の展開は完遂された。
ヌエ
ヌエ
身体強化に回していた霊力が失われたことで、別流は膝から崩れ落ちる。
七鐘別流
結界が軋む。
七鐘別流
七鐘別流
ヌエ
結界の押し合い。 展開された複数の結界の外壁どうしが衝突していたり、結界内に他者の結界が構築されている時に発生する現象。
それぞれの結界に負荷がかかり、その負荷はその場に存在する結界がひとつになるまで永続的にかかり続ける。
つまり、結界の強度勝負。
七鐘別流
ヌエの身体に硬質化した血が突き刺さる。
七鐘別流
血転蝙牙に現在付与された効果は3つ。
1つ。別流の神力、「血詛呪術」で硬質化した血液の必中。
1つ。結界内における神力を媒介とした血液の超高効率生成。
1つ。結界内の酸素濃度低下。 ただし、七鐘別流においては結界中の血液から酸素を取り入れることができるため、影響を受けない。
この効果を活かして、別流は体を動かせないままヌエの討伐を行う必要がある。
七鐘別流
細かい血の礫がヌエの周囲を取り囲み、突き刺さり続ける。
ヌエ
血を吐いても、焼き焦げた右腕の回復が突き刺さった血の礫により阻害されても止まらない血液による攻撃。
ヌエ
ヌエは、未だ東京の中心を覆い続ける結界の設定を少し変更した後、まだ負傷が少ない左腕を掲げ、その毛に覆われた肌の周りを電気で覆い始める。
それはニグがうたいに伝授した「土狗流『夢想流嶺』」に近い効果を生み出し、1部の血液は体に突き刺さる前に高圧電流に焼かれる。
ヌエ
別流は既に満身創痍。攻撃を一発でも受けたら確実に死ぬような状態。
そんな別流に、結界の壁を走って回り込んできたヌエが襲いかかる。
ヌエ
左腕に込められた高圧電流は、空気を切り裂き、別流の体を貫き引き裂こうとする。
その腕が振り下ろされる瞬間、
血でできた別流の人型が飛び蹴りを放つ。
地面に叩きつけられたヌエは、気づく。
この人型は、一体だけではないと。
結界中からゾンビのように無数に這い出てきたそれは、一斉にヌエに襲いかかる。
人型のうち一体は腕を刀に変え、振り下ろす。
別の一体は、自らの体を弾丸に変え、ヌエに向けて放つ。
ある一体は上段蹴りを放ち、ある一体は体を円錐状にして回転して迫る。
体の周りを包む薄い電流の膜では防ぎきれない、絶え間なく続く立体的かつ多角的な攻撃により、ヌエは遂に空中にはねとばされる。
それを好機と見ると、人型が集まっていき、巨大なコウモリになると、その羽がヌエを叩き落とす。
コウモリが叩きつけられたヌエの首を掴み、手から血の釘を生やして貫こうとしたその時、
ついに、「血転蝙牙」が崩壊する。
ヌエ
ドロリと崩れ落ちたコウモリを踏みつけながら、ヌエは高笑いする。
もう、別流に攻撃する力は残っていない。
ヌエ
ふらつく足を霊力で強化し、ゆっくりと別流に迫ろうとしたその時。
ヌエの胸を、霊力で強化された布…
あふぇりるの体が貫いた。
あふぇりる
あふぇりる
七鐘別流
あふぇりる
あふぇりる
ヌエ
指先からボロボロと崩れていく自身の体を見つめ、泣き出すヌエ。
ヌエ
誰にも聞こえないほど小さく呟いたヌエは、紳士然としたポーズを取ったあと、塵となって消滅した。
七鐘別流
あふぇりる
ヌエの消滅を見届けたあと、2人とも瓦礫だらけの地面に体を預けて、気を失った。
AM4:15 ヌエ 消滅 七鐘別流・あふぇりる両者戦闘不能状態に
都内某所
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ようこそ、僕の元へ。