満員電車。器用に人混みを掻き分ける喜助。清楚で大人しそうな美女を見つけ後ろにつける。ケータイの画面からひまりと言う文字が見えた
喜助
(いいぞ! 触れたけど全く反
応しない)
応しない)
喜助
(もうちょっと触れそうだ。これでも反応しない。この子はオッケーな子だ)
喜助
(うひょー。股に手を入れても抵抗しねぇ。もしかしてもっとして欲しいんじゃないか?それにしても弾力のある肌だな)
ひまり
やめて…やめてください
喜助
(もう少しだけ攻めてみるか。それにしても綺麗なうなじだ…ペロペロしちゃお)
ひまり
やめて…やめてください
喜助
本当は気持ちいいんだろ?
喜助
気持ちいいから抵抗しないんだろ?力抜いてごらん。そうしたらもっと気持ちよくなれるから。恥ずかしい事じゃないよ
ひまり
お願い、やめて
喜助
(とかいいながら表情は嫌そうじゃないな)
次は八雲新町〜、八雲新町〜
喜助
(ちっ着いちったか)
喜助
また明日可愛いがってあげるからね
会社の昼休み。後輩に自慢する喜助
喜助
今日の朝、電車乗ったら黒髪の清楚な子がいてよ、ちょっと触ってやったんだよ
吾郎
えっ、それって痴漢じゃないんですか?
喜助
まぁ、はたから見たらそうなんだけどさ、相手がかなり感じてたんだよ!
吾郎
マジっすか?先輩凄いっすね
喜助
ったりめぇだろ。今まで何人相手にしてきたと思ってんだよ
吾郎
どんな子だったんすか?
喜助
清楚でめちゃくちゃかわいい子…(そう言えば感情とか熱とか感じられなかったな。まぁきっと初めての気持ちよさに気が動転してたんだろ)
吾郎
相手の女はどうなったんですか?
喜助
いや、分かんねえよ。でも寂しそうにしてたぜ。『これで終わりですか?』って感じで
吾郎
マジっすか! 凄いっすね!
喜助
テクニシャンの俺にかかったら女なんてイチコロだよ。きっとあの女明日も同じ時間、同じ車両に乗ってくるぜ!
部屋でくつろいでいるとケータイに動画が送られて来た
喜助
なんだこれ
開くと朝喜助が痴漢した様子が映し出された
喜助
ちょっと待て!あいつ、カメラ仕込んでたのか?
しかも動画はあらゆる角度から撮られていた。もちろん喜助のセリフもバッチリ残っている。
喜助
おい、これ…不味くないか?
尋常ではない量の冷や汗が溢れ出てくる喜助
喜助
どうすればいいんだよ、これ!
動画はそこで終わり画面が切り替わる
ひまり
喜助さんこんにちは。ひまりと言います
喜助
うわっ!
ひまり
総評します。まずあなたが私にした行為は痴漢です
ひまり
やめて下さいという忠告を無視し、想いの限り触ったり舐めたりして来ましたね
ひまり
私にはあなたから「俺うまいだろ!」という心の声が聞こえてきました
ひまり
あなたの行為は独りよがりでうまさのかけらはありません。痴漢というだけでみんなクズなのですが、あなたはその中でもガッツいてかなり下手な方でした
ひまり
とりあえずこの画像を警察に提示させていただきます
喜助
おい! それだけはやめてくれ! 何でもするから! もう痴漢しないから
動画に向かって怒鳴る喜助
ひまり
まぁ、安心して下さい。私にそんな権限ありませんから。警察が動くことは今のところ無いと思いますます
安堵しつつも戸惑う喜助
ひまり
だって私、シリコンドールなんですもの
そこでしばらく動画が止まった
喜助
そうか、こいつはドールなんだ! だから警察に突き出すことは出来ない! よっしゃー。危なかった! 通りで。ドールごときが俺のテクニックを理解できる訳ねぇんだよ、バーカ
再び動画が動き出す
ひまり
あっ、言い忘れてました。私はドールですから警察に行くことはありません
ひまり
ただし、家族、会社の方には先程お流しした動画を送らせていただきました
喜助
待って、待ってくれよ!どうすればいいんだよ!
頭を抱えポロポロ涙を流す喜助
ひまり
明日からどうなるんでしょうね! 痴漢はいけませんよ。ぎゃはははは
魔女のように高らかと笑うひまりから熱を感じることができた