目が覚めると、彼女が腕の中にいた。
竜胆
竜胆
竜胆
彼女の寝顔は、やはり無邪気な子供のようだった。
すぅすぅ、と寝息をかいている。
竜胆
そんな彼女が、何故か愛おしくて、自然に手が頭を撫でている。
竜胆
無力な自分が憎たらしかった。 俺が覚えてさえいれば、そもそも殺されてなどいなければ、そう自身を責めた。
窓から差し込む朝日が眩しい。 その眩しさに安堵する。
きっと、このままここに居続けたら、いなくなるのが怖くなってしまうのではないか、と思った。
怖くなる前に、迷いが生じる前に、早く解決しなくては。そう心に誓った。
そして、ふと、左腕をみる。
そこには、時間が刻まれた腕時計。
歳月に換算すると、半年。
16時間以上が既に経っている。
こうしている今も、1分、また1分と時間は減っていく。
竜胆
竜胆
俺は期限付きだ。 そう心臓がざわめき立てるのを彼女にばれないように深呼吸をした。
その晩は、ずっと彼の腕の中にいた。
波華
波華
波華
波華
竜胆
竜胆
波華
波華
竜胆
竜胆
波華
竜胆
波華
竜胆
竜胆
体を起こした。
久しぶりに熟睡した気がした。
父が亡くなってから、夜が怖くて、眠れなかった。
眠れても、悪夢ばかり見るようになった。
竜胆
竜胆
波華
竜胆
波華
波華
竜胆
波華
波華
波華
波華
竜胆
竜胆
波華
波華
竜胆
竜胆
竜胆
竜胆
波華
波華
竜胆
竜胆
竜胆
電源をつけると、やっていたのはニュースだった。
男性アナウンサーが、淡々と、顔をしかめながら話す。
どうやら、今日の3時頃、放火事件があったらしい。
画面は切り替わり、事件直後の建物の映像が流れる。
その映像をみて、思わず目を疑った。
そこに映っていたのは、とある都内のBARだった。
そして、その地下は、俺たちのアジトだった。
果たして、こんな偶然があるのだろうか。
タイミングも、場所も。
誰かが仕組んだとしか考えられなかった。
竜胆
竜胆
犯人は逃走中、死亡者は1名。 そのBARの店主だそうだ。
無口で形相は悪いが、人柄のいいおじさんだった。
ニュースは終わり、音楽が流れる。 それはまるで、何かの始まりを告げる鐘のようだった。
やはり、昨日感じた不穏な気持ちは、気の所為ではなかったようだ。
そのことが、ますます俺を不安にさせる。
自身の冤罪と、この放火事件が、繋がっているような気がしてならなかった。
いや、きっと繋がっている。
そう、確信した。
帰り道、皆が、私の横をすり抜けていく。
家を出る時、彼は言った。
帰ってきたら、話しておきたいことがある、と
そして、身に気を付けて、と
波華
波華
独り、ゆったりと歩く。
空は若干赤く染まり、所々で鯉のぼりが泳いでいる。
それを見て、ふと、最愛の父を思い出す。
小さい頃から父と2人暮らしで、男の子供はいないのに、何故か父は、毎年鯉のぼりを吊るしていた。
物心ついた時、1度聞いたことがある。
うちには男の子がいないのに、何故鯉のぼりを吊るすのか、と。
父は、決まってこう言った。
自分用だ、と。
そんな父のおどけてみせる顔が大好きだった。
今になって、私のためにやってくれていたのだと気が付く。
最寄りの公園のベンチに腰をかけながら、空を見上げる。
波華
波華
波華
木々がさわさわと揺れる。それが程よく暖かくて、私を優しく包み込む。
しかし、それは突如にして強くなり、少し冷たくなった。
謎の男
謎の男
謎の男
波華
波華
モブ
モブ
顔を隠し、パーカーのフードを被った男3人が私を取り囲む。
波華
手足が震えているのが分かる。 きっと、この男たちは跡をつけてきたのだ。
何故気が付かなかったんだろう。
波華
バッグをあさる。 すると、男の1人が乱暴に私のバッグを取り上げた。
波華
モブ
謎の男
モブ
男の1人が私に手を振り上げた。
私は目をつぶった。
波華
しかし、衝撃はやってこなかった。
恐る恐る目を開けると、私の目の前には大きな背中があった。
私に殴りかけた男の手を止めている。
フードを被っていて、顔はよく見えなかった。
その時、風がぶわっと吹いた。
その風に乗ってやってきた香りは、彼の香りだった。
波華
波華
竜胆
竜胆
波華
竜胆
竜胆
竜胆
波華
波華
謎の男
謎の男
竜胆
竜胆
彼は止めていた男の手を振り切り、押し飛ばした。
そうだ、と思った。
この人は六本木のトップだ。
こんな男たちに負ける訳が無い。
謎の男
謎の男
竜胆
竜胆
波華
波華
謎の男
波華
竜胆
そう言って、彼が手を振り上げる。
波華
竜胆
波華
謎の男
謎の男
波華
主
主
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