『愛しい君へ。』

名前を呼んだ時の、君の笑顔が好きだった。

ゲームに誘った時の、君の嬉しそうな顔も、大好きだった。

笑顔で他の奴の名前を告げる君が、嫌いだった。

やけにワクワクし始めた君を見ると、胸が苦しくなる。

純粋な君は、俺の大好きで大切な人。

一生をかけてでも守り抜きたい人。

でも、それは叶わない。

相棒になった瞬間から、分かっていたこと。

だから、今更悲しくもなんともない。

ただ、相棒という関係で繋がっていられれば、十分だ。

君の隣で、君の笑顔を見れるなら。

ゲームが終わり、少し寝ぼけ気味のころんに声をかける。

ころんは、いーよ、と笑顔で返してくれた。

いたずらに笑う君は、自分がどれだけ俺に愛されてるのかを知らない。

今だって、君を抱きしめたくてたまらないのに。

ありもしない嘘の話を、淡々と述べる。

嫉妬してくれないかな、なんて妄想をしながら。

そう言って、ころんは背中を向けた。

おやすみ、と呟く声が寂しそうで、思わず抱きしめる。

僕も、だなんて、嘘をつかないで欲しい。

少なくとも、俺の好きとお前の好きは違うんだから。

嬉しそうに笑いながら、ころんが抱きついてくる。

俺は、それが辛くて。

ころんを可愛いと思ってしまうことが、怖かった。

柔らかく微笑んだまま、本人が幸せなら、と言っていた。

じゃあ、俺がそうだとしたら？

俺が男を好きだと言っても、ころんは同じように笑ってくれるのだろうか。

そう言われた時、少し泣きたくなった。

ころんが、男を好き？

俺にわざわざ教えてくれるってことは、俺以外の男を？

そう言って、ころんを押し倒す。

白くて細い体が目に入った。

強ばったころんの顔に、ニコリと笑いかける。

やめて、と暴れているが、力が弱すぎて俺を引き離すことは出来なかった。

抵抗するころんの服をするすると脱がし、軽く触ってころんをイかせる。

ビクビクと痙攣する身体では、もうされるがままだった。

俺を少しでも見て欲しくて、意識して欲しくて、馬鹿みたいにころんを抱いた。

泣きながらイくころんを可愛いと思ってしまうほど、俺の心は穢れていたんだ。

好きだよ、ころん。

大好きなんだよ。

君の笑顔も、ガサガサな声も、何故か愛しくて。

君と会える日は、眠れないくらい楽しみになる。

ごめんね。

君を抱く時、君は嫌がっていたのに。

なんて、今更か。

もう、きっと許されないだろうな。

だから、今だけでも俺を見てよ。

頭の中を、俺だけにして。

今だけで、いいから。

朝、起きてから隣を見ると、心地よさそうに寝ているころんがいた。

そういえば、男を抱いた時って、『後処理』しなきゃなんだっけ。

しなかったら、お腹が痛くなるとか…聞いた気がする。

無理やり抱かれた上に、翌日腰も腹も痛いって…最悪だよな？

勝手に抱いたくせに、今更なんだって思うかもしれない。

でも、俺の本心だった。

ころんの目が覚めた時、俺はころんになんて言われるのだろう。

嫌い、最低、気持ち悪い？

どれも、想像するだけで泣きそうになるけれど、自業自得だ。

俺にしがみつく可愛いころんを見ながら、ごめんな、と心の中で謝った。