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シィニア

これで、50戦中47勝よ。

シィニア

大人しく降参すればいいのに

アトランゼ

俺は決して屈しないぞ!

アトランゼ

ニアに5勝したら、結婚してもらう約束は忘れてないからな!

シィニア

はあ

シィニア

それいつの話してるのよ?

アトランゼ

ああこれは

アトランゼ

まだニアが4歳の頃、私が君に一目惚れをして…

シィニア

ああ!

シィニア

そうねそうね、思い出したわ

シィニア

ありがとう、もうその話はしなくていいから

アトランゼ

ああ、また忘れたら言ってくれ

アトランゼ

私が細部まで再現し、ニアに教えよう

シィニア

はいはい

このアトランゼとかいう男

私の幼馴染で、国中で1番勢力のある公爵家長男なんだけど

私に対しての執着が人一倍ひどい男でもあるのよね…

シィニア

はあ

シィニア

疲れたわ…

ヤジェ

お嬢様

ヤジェ

公爵夫人がお呼びです

シィニア

そう、今行くわ

シィニア

(公爵夫人からのお呼び出し…)

シィニア

(もしかして、あの話かな…)

数日前

シィニア

ちょっと!ここまで着いてこなくていいでしょう!

アトランゼ

いいじゃないか

アトランゼ

ほぅら、私らの仲を羨ましく思って皆が見ているよ

シィニア

──っ!

私は、アトランゼに誘われた仮面パーティに参加していた

お互い貴族たちが好む噂をもとに情報収集しているところだった

しかし、このアトランゼ

パーティに参加する前の約束を忘れたのか、異様に着いてくるのだった

シィニア

アンジェ、あの約束を忘れたのかしら?

アトランゼ

いいや、私がニアからの約束を忘れるわけがないだろう?

シィニア

じゃあなぜ、貴方は腰に手を回しているのかしら?

アトランゼ

さあ、なぜだろうな?

こいつ…!

仮面をしてるから、周りは身分についてなど干渉してこない

私の身分がアトランゼに到底釣り合わないなど

…周りは干渉してこない

シィニア

私と貴方は到底身分が不釣り合いなの

シィニア

貴方はそれを分かってるのかしら?

シィニア

本当なら、貴方は私と隣にいてはおかしいのよ…

アトランゼ

ニア

アトランゼ

君は身分なんて、そんなもの気にしているのか?

アトランゼ

私はこんなに君を想っているのに

シィニア

アンジェ、いい加減にして

シィニア

たった5つだった頃の貴方を助けただけで大袈裟よ

アトランゼ

いやちっとも大袈裟なんかじゃない

アトランゼ

君はあの時から、いやもっと前から天使のようだった

アトランゼ

その髪もまつ毛も全て艷ていて天国から舞い降りてきた天使そのもの…

シィニア

も、もういいから

アトランゼ

もしかして、ニア照れてるのか?

アトランゼ

ああ、その白く陶器のように透き通る肌にほんのり赤く色づくとは!

アトランゼ

まるで、子リスが一生懸命頬張ったような愛らしい…

シィニア

…聞いてらんない

そんな絡みをパーティが終わるまで続けられていた

ふと、バーテンダーが手にお盆を持ち ワインを来場客に提供しているのが気になった

シィニア

(美味しそう)

アトランゼ

アトランゼ

ニア、あのワインが欲しいのか?

シィニア

シィニア

いや、別に大丈夫よ

アトランゼ

そうか

アトランゼ

じゃあ私が貰ってこよう

シィニア

ま、待って!

シィニア

アンジェ!待って!

アトランゼは、足早にバーテンダーの所へ向かって行った

私もそのアトランゼの後を追うようについて行ったが、

誰かにドレスの裾を踏まれてしまい、その反動で見事床に転けてしまった

シィニア

いたた…

辺りは、騒然としていた

仮面が外れ、私の顔が周りの貴族達にバレてしまった

シィニア

(…まだ、この場にアトランゼがいなくて良かった)

アトランゼ

ニア!

シィニア

!?

シィニア

(アトランゼ!?今駆けつけたら…)

そこで私は、小さい頃からアトランゼと作っていた秘密の合図を使った

耳のたぶを触ったら【NO】の合図

シィニア

(これでアトランゼに変な噂が流れないわ…)

シィニア

(良かった、アトランゼも理解してくれたようだわ)

私は落ちた仮面をつけ、ドレスに着いた埃を手で払うと

恥ずかしかったのでテラスへ逃げ込むように向かった

あの時、アトランゼが大きな声で私の略称を呼んだせいで

貴族夫人たちには大きな噂が流れるのだった

シィニア

公爵夫人、謁見致します

公爵夫人

シィニア嬢、この間のパーティで仮面が外れたそうね

シィニア

(やっぱりこの話…)

シィニア

はい、私の不注意でこのような事態になったこと大変お詫び申し上げます

公爵夫人

いいえ、私は謝罪の言葉が欲しいわけではないの

公爵夫人

私の息子が、あなたと親しげにしていた所を見たと言う貴婦人方が多いのをご存知?

公爵夫人

もう既に婚約者がいる相手と親しげにしているのはどういう事かしら?

シィニア

…えっ?

シィニア

あの、無礼を承知でお聞きしてもよろしいでしょうか

公爵夫人

ええ、どうぞ

シィニア

アトランゼ卿に、婚約者が居られたのですか?

公爵夫人

ええ

公爵夫人

まさか、あなた知らずに親しくしていたのかしら?

シィニア

あ…

シィニア

はい、大変失礼しました…

シィニア

(ちょっとちょっと!)

シィニア

(アトランゼに婚約者なんて話聞いてないわ!)

シィニア

(秘密にしてたの!?)

公爵夫人

まあ、いいわ

公爵夫人

これから貴方は息子に近づかないよう監視人を付けるつもりだから

公爵夫人

もうこれ以上、出しゃばるような真似をするのはよしなさい

シィニア

…はい

シィニア

なんで黙ってたんだろう

シィニア

でも、これは私も望んでいたのに

シィニア

実際言葉にして言い渡されると心にくるわ…

シィニア

私もアンジェと同じ気持ちだったのに

シィニア

素直になれなくてごめんなさい…

ぽつりぽつりと、心の中にしまってあった言葉が出てきて

次第に目からも涙が出てきてしまった

シィニア

ああ、最後にお別れの挨拶しなきゃ

ヤジェ

─様!困ります…!

シィニア

ん、?

シィニア

ヤジェ、何騒いで…

バンッ

シィニア

!?

アトランゼ

ニア!母様から聞いたぞ

アトランゼ

私のせいで君が、犠牲になるなんて

アトランゼ

私が母様を説得する

アトランゼ

私が監視をすり抜けて君に会いに行く

アトランゼ

だからそんな顔、もう私に見せないと約束してくれ

シィニア

うっ

シィニア

アンジェ、私いつも素っ気ない態度してごめんなさい

アトランゼ

はは、そんなの昔からじゃないか

アトランゼ

君の素っ気なさは、私だけだろう

アトランゼ

その特別さが嬉しくて嬉しくてたまらないんだよ

シィニア

…え

シィニア

貴方って、マゾ…

アトランゼ

ニア、それ以上言ったら襲うぞ

シィニア

…フッ

シィニア

アハハっ、最後にひと笑いで来て良かった

シィニア

貴方を好きでよかった

アトランゼ

…ニア

アトランゼ

キスしても、いいかな

シィニア

は?

シィニア

ダメに決まってるでしょう

シィニア

貴方には婚約者がいるのに

アトランゼ

─っ

アトランゼ

ニアから告白されたのに

アトランゼ

何も出来ないなんて、こんな悔しいことはないよ…

シィニア

アンジェなら、きっと説得できるわ

シィニア

私は明日から公爵邸から出て行くけど

シィニア

アンジェが私を迎えに来るのを待ってるわ

アトランゼ

ニア…

アトランゼ

今すぐにでも抱きつきたい

シィニア

心の声が漏れてるわよ

アトランゼ

おっと、すまない

アトランゼ

この件はすぐ解決するよう努力する

アトランゼ

だから待っていてくれ

アトランゼ

すぐ迎えに行くよ

シィニア

うん

こうして、お互い心を通わせた所で離れ離れになるという悲しい結末

しかし、その悲しい結末にはまだ先があったのだった

続く

幼馴染と結婚するまであと2戦

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