テラーノベル
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大森元貴side.
寂しい
苦しい
こわい
なんでかはわからない
ただ、暗い部屋で何も出来ずに、
ソファの上のクッションに抱きついて
針に怯えながら、丸くなる
頭の中は常に蠢いていて、
悪い想像ばかり、悪いことばかり考えてしまう
怖い、
誰か、そばに居て
俺がこうやって一人で蹲ってる間に
若井も涼ちゃんも、スタッフさんもマネージャーさんも
ミセスのために頑張ってるんだろうな
俺だけ、我儘で、蹲ってる
胸を渦巻く黒い感情
目から溢れ出る透明の涙。
締め切ったカーテンからは街灯の光が一筋も入ってこない
時間は刻々と過ぎていく
世間は一秒ごとに確かに変わっていく
この時間、
いつもなら仕事に打ち込める
いつもなら歌詞をかける
なんで、かけないの
どうして怖いの、何も出来ないの
特別な何かがあったわけじゃない
アンチを見たわけでも
仕事でミスしたわけでも
メンバーと衝突したわけでもない
今まで通りの、ミセス
今まで通りの、大森元貴。
今まで通りの、仕事
なのに、急に、その“今まで通り”が怖くなる。
いつまで、世間に俺たちは認められるだろう
いつまで、俺は歌えるんだろう
いつまで、俺は歌をかけるんだろう
それが、時々、急に怖くなる
『若井、今から来れる?』 『寂しい』
そう、若井に送った
でも、すぐに取り消した
なんでかは、わからないけれど
それから、しばらくして。
『元貴、どうかした?』
ピロンという音と共に見える、若井からのメッセージに
大袈裟ではなく体が震えた
若井のメッセージから溢れた優しさが、俺の心を抱きしめて解していく感覚がした
でも、それと裏腹に
俺が送ったのは冷たい一文だった
『べつに、なにも』
なにもないわけじゃない
寂しいよ
苦しいよ
終わってしまうのが、
見捨てられちゃうのが、
ただただ怖い
でも、
それを若井に言ったとして、
若井から拒否されるのも怖いから、何も言えない
幼馴染で同学年。 ずっとバンドを一緒にやってきた若井にでさえも、本当の気持ちを言い出せなくて嫌になる
携帯をソファに投げ出して、くっションに顔を埋める
自分の体温が移って生暖かいクッションが、俺を物理的に包んだ
それからどれくらい経っただろう
不意なチャイムの音
その後から聞こえるのは若井の小さい静かなこえ
逢いに、きてくれた
Mtk.
Hrt.
Mtk.
Hrt.
Mtk.
短い会話
明るく振る舞ったけど、声は少し震えた
心が、助けてって、言ったのに
口から出てくるのは若井を遠ざける言葉
どうして俺は若井を突き放してしまうんだろう
これじゃ、俺の寂寞は埋まらない
若井が帰る足音が聞こえる
ああ、帰っちゃう
いま、ドアを開けて若井に「待って」と言えたらどれだけいいか。
本当は、何処かで期待していた
若井が俺に部屋に入ってきて、俺の寂寞に気づいてくれること。
でも、それは俺の我儘だよね。
やっぱり、自分で言わないと駄目なんだよな。
こんにちは
♡2000ありがとうございます 💬も沢山…嬉しいです
この作品も♡&💬よろしくお願いします
ーお知らせー
宣伝部屋作ります
宣伝してほしい人、コメント欄で教えて下さい
それではまた
コメント
8件
なんだか、共感する部分が多くて泣きそうになりました🥲 悩みをそのまま、他の人に話すことが出来れば、もがき苦しむ事は無いのに…素直に話せない、自分が嫌です😔
なぜか辛いけど周りには言えなくて隠してしまう…大森さんとみのりさんの気持ちよく分かります。でも私はみのりさんやねりちゃんに本当に救われています。自分の感情に正直になれる。そんな作品を作れるお2人を心から尊敬しています✨️これからも応援させて頂きます🥲
共感するところがあって涙ちょちょぎれです😢 察して欲しいけどそれは自分の我儘でしかないって思うとキツいけど察して自分をわかってくれる人を探すのが大事だよな、、、