テラーノベル
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夜明け前。 薄く白み始めた空が、窓の外に見えていた。
病院の廊下は、静かすぎる。 機械の音だけが、一定のリズムで響く。
道枝駿佑
ベンチに座ったまま、道枝は動けずにいた。 目の前の扉の向こうに、長尾がいる。
生きている。 それだけは、分かっている。
でも―― それ以外は、何も元に戻っていなかった
しばらくして、扉が静かに開く。
医師
道枝駿佑
医師
道枝は、深く息を吐いた
道枝駿佑
病室。 カーテン越しの光が、淡く差し込んでいる。
道枝駿佑
ベッドのそばに立ち、そっと名前を呼ぶ
長尾謙杜
微かに、まぶたが動いた
音が、ゆっくり戻ってくる。 遠くで、誰かが呼んでいる。
長尾謙杜
目を開けると、 いちばん見たかった顔が、そこにあった。
長尾謙杜
掠れた声。 それでも、ちゃんと届いた。
道枝駿佑
声が、少し震えている
道枝駿佑
長尾は、よく笑った
長尾謙杜
喉が詰まる。
道枝駿佑
長尾の手に、そっと触れる。 触れられただけで、長尾の体がわずかに強張った。
道枝駿佑
長尾謙杜
道枝駿佑
長尾は、少しだけ首を横に振る
長尾謙杜
道枝駿佑
言葉が、続かない
みっちーの顔、泣きそうや、
長尾謙杜
長尾は、力を振り絞って、指先を動かす。 道枝の服を、ぎゅっと掴む。
長尾謙杜
道枝駿佑
長尾謙杜
道枝の目が揺れる
長尾謙杜
沈黙が落ちる。
道枝駿佑
深く、息を吸う
道枝駿佑
長尾謙杜
道枝駿佑
それは、告白だった。 言い訳でも、正当化でもない。
全部、背負うつもりなんやな
長尾謙杜
道枝は、首を横に振った
道枝駿佑
長尾謙杜
安心したみたいに、目を閉じる
夜が、開けていく。
事件は、解決した。 公式記録では、 「長尾謙杜は参考重要人」 それ以上は、伏せられた。
吸血鬼の存在も、 道枝が越えた一線も、 全て闇に沈んだ。
でも。
病室の窓から、朝日が差し込む。
長尾謙杜
道枝駿佑
長尾謙杜
道枝は、少し考えてから答える
道枝駿佑
長尾謙杜
道枝駿佑
長尾は、ゆっくりと笑った。
長尾謙杜
恋は続く。 でも、もう同じ形ではない。
疑いも、選択も、 全部を抱えたまま―― 二人は夜明けを迎えた。
#最終話 終