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目が覚めたら、知らない部屋にいた。

十亀条

あ、おはよぉ

桜遥

……十亀?ここ、どこだ?…

十亀条

ん〜?今日からここで俺とずっと一緒に過ごすんだよぉ。トイレとかお風呂使いたかったら声掛けてねぇ。

桜遥

は……?……冗談だろッ、俺は風鈴にッ…

十亀条

だめだよぉ、この部屋からは出られないからぁ

桜遥

ッッざっけんな…!こんな部屋、すぐ………っ!?ジャラッ

足元を見ると、ベッドの足に繋げられた鎖がついており、首にはチョーカーのようなものがはめられていた。

十亀条

ねぇ?首のチョーカーにはGPSついてるし、勝手に外せないからねぇ?

桜遥

………なぁ…やめろよ、こんなこと…。だいたい、何で…

十亀条

何でかってぇ?俺は桜が欲しい。桜の瞳に映るのは、俺だけでいい。そのためなら、俺は何だってするよぉ。

そう言うと、十亀は俺を押し倒して深いキスをした。

桜遥

んっ!?………ッんぅ…ふ…と、がめッ……

俺を押さえつけるようにしていた手が、だんだん胸の方へ下がっていく。

十亀条

好き。好きだよ、桜。

桜遥

ひぁっ!///やめっ…

十亀条

愛してる。これからずーと、一緒だねぇ♡

その先のことは、あまり覚えていない。

覚えているのは、抱かれたときの十亀の熱と、変わらない優しさだけだ。

この部屋に来てから、もうずいぶん経っただろうか。

最初の頃は抵抗していたが、今となってはこの生活に慣れてしまっていた。

十亀は1日に数回外出するが、夜までには帰ってくる。

最初の頃は毎日のように激しく抱かれていたが、今は落ち着いてきて、週に数回する程度になった。

何度か部屋からの脱出を試みたが、バレると1日抱き潰されるので、もう諦めた。

十亀条

サボテンのパン買ってきたんだぁ。桜の好きそうなのえらんできたんだけどぉ…。

桜遥

おう………ん?このパン見たことねぇな…

十亀条

あ、それ新作なんだってぇ

桜遥

ふーんパクッ…!うめぇ…

十亀条

そっかぁ

十亀は相変わらず、優しかった。

変わったのは、環境だけだ。

普通にゲームして、ご飯食べて、風呂に入って寝る。

いまだに部屋からは出してもらえないが、この生活も悪くないと思ってしまっている。

十亀条

…………あ、俺用事あるからでかけるねぇ。

桜遥

…十亀、すぐ帰ってくるか?

十亀条

うん。だからいい子にしてまっててねぇ。

桜遥

んなっ、子供扱いすんな!///

十亀条

あはは、じゃあいってくるねぇ

桜遥

おー

その日、十亀は帰ってこなかった。

あれだけ出られなかった部屋も、鍵があけられていた。

桜遥

は…?何でいねぇんだよ…

部屋から出てリビングに行くと、テーブルに一つの封筒があった。

「桜へ」 「今までごめんね。俺自分の間違いに気づいたんだ。だからもう桜を縛るのはやめる。だから桜は、俺のことは忘れて、風鈴で頑張ってね。」

封筒には、手紙と一緒に足枷の鍵も同封されていた。

ガチャッ

俺は鍵を使って足枷を外して、外に出た。

桜遥

…………外、久しぶりに出たな…。

こうして俺をつなぐ鎖は、あっけなく外れてしまった。

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