______________________________ 佐藤くんって、変な見方するね。 普通、そんな解釈しないよ。
______________________________ ______________________________
「先生」は後悔なく死ぬことができてよかった、 て俺は思うな。
______________________________ ______________________________
そっか。でも、現代文のテストに書いたら バツにされるよ(笑)
______________________________
そういえば、テスト期間に入るね。佐藤くんは 勉強得意?
______________________________ ______________________________
そうか、もうそんな時期だったか。
テスト、頑張って。 俺は内緒。橙さんは得意?
______________________________ ______________________________
私はそこそこだけど………。 頑張って、て他人事みたいだね(笑) そんなに余裕あるってことは勉強できるんだ。
______________________________ ______________________________
佐藤くんとの文通はほぼ毎日続いた。
本当に佐藤君が誰か分からないままかれこれ一ヶ月が経ってしまった。
rn
et
rn
rn
et
視聴覚室に入室できず廊下で立ち往生している。
移動教室の入れ替えがスムーズにいかないと、 廊下の通行人にも迷惑がかかってしまうのに。
rn
et
何も考えずに発言して数秒後にハット気づく。
これでは2人を後押ししてるみたいだ。 いや、もちろん仲を引き裂こうとは一切考えていないが…
自らいい案を出そうとするのは迂闊だった。
rn
少し頬を赤らめたrnは困り顔でそういった。
ほら、yaくんの話を出したら、また自分が嫌な気分になるだけだ。
et
妬心からつい棘のある言い方をしてしまった。
でも気にせずrnは言う。
rn
rn
恋愛に興味ない、か。
rn
rn
余計なお世話とはこのことだろう。
小さい頃からの私の気持ちなんて知らないくせに、 よくそんな事言えるな。
恋愛に興味ないふりしてるのはrnのためなのに。 恋愛が素敵なものだと思えなくなったのはrnのせいなのに。
et
自分でも信じられないほど低くて重たい声が出た。
rn
rnに対して湧き上がってくる苛立ちや嫉妬を どこにも吐き出せないことが辛くて仕方ない。
rnは何も悪くないのに。
et
rn
et
______ガラガラ。
ちょうどよいタイミングで授業が終わり、 視聴覚室の扉が空いて生徒が出てくる。
その先頭に現れたのは______。
et
佐藤先輩だ。
不意に目が合う。そのとき開かれた 切れ長の目が私を記憶していることを示していた。
気まずい。
シンプルに挨拶をするか、この前急に話しかけてしまったことを謝ろうか 考えているうちに
mf
先輩は唇をグッと強く噛んで、メガネの縁を無理矢理 指で押し上げて私たちの横を通り過ぎた。
rn
et
おかしい。
先輩は何か、辛さや苦しみに 耐えているようなそんな表情をしていた。
生徒
生徒
“ガリ勉図書委員”そう放ったフレーズに引っかかりを覚える。
生徒
生徒
生徒
身体に激震が走る。
今、なんて言った?
佐藤先輩の鞄を捨てた?
は?
佐藤先輩が辛そうだったのは間違いなくこれが原因だ_。
生徒
生徒
こんなの立派ないじめだ。佐藤先輩は絶対に傷ついていた。
ひどい、許せない。
そう思ってるのに、何も行動できない自分が何よりもやるせなかった。
et
どうしたらいいのだろう。
話したこともない3年の先輩達に 今すぐ突っかかれるほどの度胸もないし、 いじめの存在を知りながら見て見ぬふりするしか……。
こんなとき佐藤君なら何ていうのだろうか。
et
「どうにかしてあげたい、その姿勢が大切だ。」
rn
et
rn
et
et
何かに掻き立てられるように私は顔を上げ 持っていた教科書をrnに押し付ける。
rn
et
この選択が正しいのか分からない。でもただ私はひたすら走った。
佐藤先輩に嫌悪された私がなぜ授業を放り出してまで 行動しようと思ったのか我ながら疑問だ。
無視してもよかったのに、私が首を突っ込む必要はなかったのに。 無関係だと重々理解していながら迫りくる力に突き動かされてしまった。
et
ゴミ捨て場には各教室から運ばれたポリ袋が散らばっていた。
et
強い異臭が匂い思わず顔を歪めた。
どの袋に佐藤先輩の鞄が入ってるか分からないため 手当たり次第に開けていくしかなかった。
et
程なくして、ポリ袋から破けて突出していた割り箸が 左手の甲にかすれる。
鮮血がつうっと筋を作って地面に垂れた。
et
et
et
et
縛りが緩んだ口から、ひと際大きな物体が覗いていた。
et
et
そして不意に何冊か取り出した教科書やノートを鞄の中に戻しながら 裏表紙の下端にある名前を見てしまった。
「佐藤mf」
____それが彼の、佐藤先輩の、下の名前だった。
et
佐藤先輩に直接届けに行くか、 落とし物ボックスに入れるか(サイズ的に確実に入らない)
はたまた別の方法か……
悩みに悩んだ私が選んだものは、 最も不確実で得異な方法だった。
コメント
9件
神作品ですね!!続き待ってます!頑張ってください!!
待ってました〜!!!!楽しみすぎてヤバかったので嬉しいです✨これからも頑張ってください✨