甘い香り。 歩いていると、ふと嗅いだことのある香りが鼻に 入った。 「まるであの人みたい………」
今でも思い出す。 あの人の冷たい目、湿った空気、そして甘い香水。 最後の日まで…
翔太
おい、ちゃんとこっち見ろよ
式
……
グィ
翔太
俺が遊んでやってるんだから、もっとうまくやれよ
式
ごめん…でも…
翔太
お前とこうやってんのもでこれが最後だよ
式
えっ…
私は耳を疑った 最後だなんて想像もしてなかったことだ
式
最後だなんてやだよ
翔太
何言ってんだよ
最初はあんなに嫌がってたのに。
最初はあんなに嫌がってたのに。
式
それは…
翔太
いまさら俺を求めても遅いよ。
グッ
筋肉質な胸に顔がうずまる そして、言葉には似合わない甘い香り。
翔太
じゃあな
式
待って…!行かないで
式
終わりたくない
翔太
お前からそんな言葉聞けると思わなかった
ポンポン 彼が頭を優しくたたく こんなこと初めてされた。
ガチャ 彼が無言で出ていく
ドアの悲しい音と振り始めた雨が 完全な終わり告げた。
今でもあの人のことを思い出す。 たぶん、一生忘れることはないだろう。