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こどものいばしょ

第30話 - 藤田梨紅の過去

2025年04月25日

#インスパイア作品

#ミステリー

まつぼっくり

廊下

藤田　梨紅(ふじた　りく)

双木がマリーゴールドなのは間違ってたよ。

双木　詩乃(ふたぎ　しの)

……。

梨紅君の声を無視して廊下を走り抜けようとしたとき…

藤田　梨紅(ふじた　りく)

人は失敗したとき、周りからの信頼を無くす。そして、自分の自信も無くなる。

双木　詩乃(ふたぎ　しの)

何が言いたいの……？

藤田　梨紅(ふじた　りく)

君より、僕の方がマリーゴールドにふさわしかったって言いたいの。何で君が選ばれたか分かんないよ…さっきの事もあるしね。

双木　詩乃(ふたぎ　しの)

私は…ただ救いたい命を救おうとしたかっただけなの…。コスモスのときの担当患者さんを救えなかったから。

双木　詩乃(ふたぎ　しの)

失敗は内容によるけど許されないと思う…でも失敗は必要なものでもあると思うんだ。失敗して学べばいい。失敗して分かることだってあるでしょ…？

藤田　梨紅(ふじた　りく)

……あっそ。そんな考えをするのは前向きで失敗を恐れない人…いいよね、そういう人は。

彼の目はどこか遠くを見ている様な感じがした。彼の過去はきっと暗いものだったのだろう。

双木　詩乃(ふたぎ　しの)

何かあったの…？

藤田　梨紅(ふじた　りく)

何？…別に君なんかに話すことなんかn……

双木　詩乃(ふたぎ　しの)

私に話しかけたってことは聞いて欲しかったんでしょ…？…私に解決できるかは分からないけれど、少しでもいいから話して欲しい。

藤田　梨紅(ふじた　りく)

………はぁ。。いいよ。

運動場

僕は、小3から小5の春まで学校のサッカークラブに入っていた。

僕は、チームの中ではサッカーは得意で上手い方だった。けれど、それは練習のときだけ。本番では、いつもシュートを外したり、パスができなくなる。

梨紅の友達A

梨紅はやっぱり練習のときだけ上手いよなぁ…本番でもその力出して欲しいけど。

梨紅の友達B

そんなこと言うなよ。誰だって本番は緊張するだろ？プレッシャーだってあるだろうし…。

藤田　梨紅(ふじた　りく)

次は……頑張るよ。

梨紅の友達A

とか言って……本当に頼むぜ、梨紅？

実は……僕は、最初から本番に弱いタイプじゃなかった。小3の夏の大事な大会のときに、焦って大きなミスをしてしまった。そしてミスはどんどん続いて…僕のせいで夏の大会は終わりを迎えた…。

藤田　梨紅(ふじた　りく)

(絶対に失敗してはいけない……そう思うとどんどん自分のプレイが酷くなるんだよね。)

梨紅の友達B

でもさ、3年生のひろとさ最近上手くなったよな。…入ったときは、、正直俺らより上手くなかったけど。

梨紅の友達A

この前、他校と合同試合したときも梨紅のミスカバーして、1人で点入れまくってたし。今年の夏の大会は行けそうじゃね？

藤田　梨紅(ふじた　りく)

そういえば…放課後ひろとがずっと公園とかで練習してたような…。

梨紅の友達A

あいつ真の能力を発揮したんだな。

梨紅の友達B

努力家だよなぁ……本当に凄いや。

コーチ

ひろと、、お前本当に成長したよな…。これからもお前がチームを引っ張るんだぞ。

ひろと

コーチやめて下さい。僕なんかより、梨紅くんの方が上手いですよ。

できる子はよく謙遜をする。ひろとが努力をしてサッカーが上手くなったのは凄いが、憎いという気持ちがどんどん僕の中で溜まっていった。

時は流れて、1年の中でも大事な夏の大会がやってきた。

藤田　梨紅(ふじた　りく)

今日は…親戚や友達が見に来てくれてるんだ。頑張らないと、、、頼む。失敗しませんように。

最初は順調で僕達の方が点が多かった。けれど、それは僕が試合に出る前のこと。

藤田　梨紅(ふじた　りく)

(まずい……またミスっちゃった…。)

ひろと

どんまい。まだ、頑張れますよ！

藤田　梨紅(ふじた　りく)

(どんまいって……もう無理じゃん…。)

梨紅の友達A

はぁ…もう勝てなくね…。俺達の今までの練習が……じゃなくて梨紅以外の今までの俺達の練習が…。

梨紅の友達B

梨紅に聞こえるだろ！

結果は僕達は負けてしまった。原因は、僕にある。帰りのバスの重い空気とみんなの暗い顔が僕は忘れることができなかった。

帰りのバスの中

コーチ

……次があるさ！なんてたってひろとが居るんだからな！

梨紅の友達A

…正直、梨紅が居ると勝てねぇよ。…梨紅には申し訳ないけど、サッカー辞めてほしい。

梨紅の友達B

おい…辞めろよ、梨紅だって…g

梨紅の友達A

お前だって本当は梨紅が居ないほうが勝ちやすいとか思ってるくせに…っていうかここにいる全員が思ってるよ。

コーチ

…いい加減にしろ、言っていい事と悪い事の区別もお前らはつかないn…

藤田　梨紅(ふじた　りく)

コーチ…いいんです。僕はもう辞めますので。

ひろと

…そんな！

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