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特に理由なんてない。
気づいたら好きになっていた。
ただそれだけの事だった。
ただ一足遅かっただけ。
俺が華太を好きになった頃には、ちゃんかぶはもう南雲の兄貴のものになっていた。
欲しいかと尋ねられたなら、欲しいと反射的に答える程には、ちゃんかぶの事は好きだ。
じゃあ、ちゃんかぶの幸せを壊してまで自分の手元に置きたいかと言われれば答えはノーだ。
好きだからこそ、ちゃんかぶには幸せになって貰いたい。
だから、この想いは秘めたままでいるつもりだった。
キャバ嬢
通話
20:11:00
キャバ嬢
南雲梗平
小峠華太
キャバ嬢
南雲梗平
南雲梗平
小峠華太
南雲梗平
小峠華太
青山琉己
自分の心を殺してまで気丈(きじょう)に振る舞う、ちゃんかぶの姿に胸を締め付けられる。
南雲梗平
通話
23:03:05
南雲梗平
南雲梗平
小峠華太
南雲梗平
南雲梗平
小峠華太
南雲の兄貴はちゃんかぶと顔を合わすことなく、断りだけを告げて、事務所を出ていった。
なんでだよ!
あんたはちゃんかぶの事好きなんじゃなかったのかよ!?
ちゃんかぶから、あんなにも直向きな愛情を向けられているのに、どうしてこんなにも無下に扱える?
喉から手が出る程に、俺はちゃんかぶが欲しいのに、あんたはぞんざいに扱う。
あんたにとって、ちゃんかぶは恋人?都合のいい女?
ちゃんかぶが傷つく姿を見る度に俺の心に妬み嫉(そね)みが、どんどんと積もっていく。
青山琉己
小峠華太
小峠華太
小峠華太
平然と振る舞う、ちゃんかぶをこれ以上見ていられなくて
青山琉己
小峠華太
青山琉己
俺はちゃんかぶを事務所のソファに押し倒していた。
昨日はこれが最善だと思ったのに
朝、目を覚ますと後悔が押し寄せてきた。
いたたまれず、ちゃんかぶに合わす顔がなく、背中を向けてソファに座り直す。
青山琉己
小峠華太
ちゃんかぶは何も答えなかった。
人は欲深い生き物だ。
一度手に入ってしまえば、なかった事には出来ず、その後はなし崩になっていった。
俺達は、あの日を境に歪な関係を築いた。
南雲の兄貴がちゃんかぶを無下にすれば、ちゃんかぶは俺のもとにやってくる。
あんなにも、ちゃんかぶの幸せを願っていたのに
気づけば、俺は南雲の兄貴が他の女に現(うつつ)を抜かす事を心の底で願うようになっていった。
俺、南雲の兄貴、ちゃんかぶの順で横並びにバーカウンターに座る。
南雲梗平
小峠華太
青山琉己
何でもない会話を続けながら、南雲の兄貴の背中の後で、ちゃんかぶと指を絡めて手を握る。
南雲梗平
小峠華太
会話に花が咲さき、酒がすすむ。
ほどよく酔いが回ったとこで、この日はお開きになった。
名残惜しいが、俺はちゃんかぶと手を離した。
どんなに好きでも、ちゃんかぶは南雲の兄貴の物。
店から出ると南雲の兄貴に連れられて、ちゃんかぶもネオン街の中に消えていった。
今日は揉め事もなかったので、早く帰宅できた。
リビングのソファにもたれかかり、テレビをみていた。
南雲梗平
通話
22:05:02
スマホが鳴動し、画面を確認すると南雲の兄貴から電話がかかっていた。俺は通話ボタンを押す。
青山琉己
南雲梗平
青山琉己
南雲梗平
青山琉己
南雲梗平
南雲梗平
脈絡(みゃくりゃく)のない事を尋ねられる。
青山琉己
南雲梗平
南雲梗平
青山琉己
南雲梗平
南雲梗平
青山琉己
南雲梗平
まるで明日の天気を尋ねるような気楽さで、南雲の兄貴は俺に華太との事を尋ねてきた。
青山琉己
まさか気づかれてるなんて思ってなかったから、言葉につまる。
南雲梗平
あんたの恋人と俺は寝てるんだぞ?!
青山琉己
南雲梗平
青山琉己
南雲梗平
なんで、そんな風に平気でいられる?
南雲梗平
電話の向こうから、途切れ途切れの息遣い混じりの、ちゃんかぶの声が聞こえてくる。
小峠華太
甘くねだる声。この声に聞き覚えがある。
南雲梗平
小峠華太
それは褥(しとね)を共にする時のちゃんかぶの声。
青山琉己
その瞬間、俺は鈍器(どんき)で頭を殴られたかのような衝撃を受けた。
南雲梗平
どんなに俺が抱いたとしても、ちゃんかぶは南雲の兄貴の物。
小峠華太
そして、ちゃんかぶの一番は南雲の兄貴。
南雲梗平
南雲の兄貴がいる以上、それは覆(くつがえ)る事のない事実。
南雲梗平
電話が切れた。
俺は急いだ。
息を切らせて、香月ちゃんとの待ち合わせ場所に急ぐ。
香月ちゃんのケー番は知っているが、会って確かめないといけない事がある。
三丁目のバーに着くと、可愛らしく着飾った香月ちゃんがいた。
プライベートでは、香月ちゃんは一切女装をしない。
香月紫苑
それなのに、今日はなんで女装なの?
それは何のため?誰のため?
青山琉己
全速力で走ってきせいか、息があがって流暢(りゅうちょ)に話せない。
香月紫苑
悲しげに細められた目。
青山琉己
緊張から口の中が、カラカラに乾いていく。
逸る鼓動に落ち着けと命令を下す。
香月紫苑
知りたくない。聞きたくない。
けれど、聞かなきゃいけない。俺は知らなければいけない。
青山琉己
香月紫苑
一瞬驚いたものの、直ぐに香月ちゃんの表情は照れくさそうなものへと変わった。
香月紫苑
青山琉己
香月紫苑
頬を薔薇色(ばらいろ)に染めて話す、香月ちゃんの姿はまさに恋する乙女そのものだった。
青山琉己
なんで?どうして香月ちゃんなんだよ!
香月ちゃんは関係ないだろ!なのに何故香月ちゃんを選んだ?
それとも、これは俺が華太を抱いた代償だというのか?
香月紫苑
何がいけなかった?
香月紫苑
俺はただ人を好きになっただけだ。
華太を好きになった事?
香月紫苑
人を好きになることが罪なのか?
そんな言葉が俺の中で、堂々巡(どうどうめぐ)りを繰り返す。
香月紫苑
切羽詰(せっぱつ)まったような香月ちゃんの声で、はっと我に返る。
香月紫苑
香月紫苑
安堵する香月ちゃんの表情に弾かれて、俺は香月ちゃんを抱き締める。
青山琉己
青山琉己
青山琉己
俺の腕の中で居心地悪そうにしていたけど、何かを察して、俺の行動の理由も尋ねる事もせず、ただ香月ちゃんは俺の腕の中にとどまってくれた。
心に呼応(こうお)するかのように、ぽっり、またぽっりと心の雨が涙となって流れ出す。
余りの理不尽さに、俺は子供のように涙した。
俺の身勝手な恋は誰も幸せをにしない。
ただ不幸を連鎖させるだけさせて、俺の恋は散った。
これが夢ならば良かったのにな。
おわり
あとがき リク一件仕上がったので、少し息抜きがてらにバッドエンド物書いてみた。 幼稚園のリク貰った時点で、構想は出来てて、最初は浅倉との三輪車対決のみだったんだけど、CP要素足りないから足しておこう、これだと天羽組が圧勝してる感じだから、天王寺組の活躍シーンを足しておこうと足していく内に16000字越えてた(ヽ゚д゚)バスのやつおまけでつけよう思ったら、こっちも長くなっちゃって、確実に2万字越えるので結局分けることにした。仕上がるのいつやろな。 あと分かりにくいので捕捉しとく。別に南雲は怒ってはない。香月ちゃんを選んだのは、青山と華太双方ともに親しい関係だから選んだだけ。理由は単純明快(たんじゅんめいかい)華太の視線を自分に惹き付ける一貫にしか過ぎないってだけ。
おまけ
ベッドに座り、スマホを弄る。
小峠華太
南雲梗平
小峠華太
南雲梗平
小峠華太
南雲梗平
南雲梗平
俺の足の間に座るように、ポンポンと叩く。
渋々といった様子ではあるが、華太は俺の足の間に座る。
俺は華太を抱きかかえたまま、スマホを起動させ、メール画面を見せる。
小峠華太
香月からのメールをみて
華太の体が強張る。
『昨日は大事な用が出来ていけなくて、ごめんね。青山とは何もないよ』とだけ、返信する。
華太に香月とのラインのやり取りの全てを見せる。
業務報告のような淡々とした文字の羅列が並んでいるだけのメールを見て、華太の体から力みがとれていく。
華太に送るメールは、何時も情熱的だからな。
小峠華太
南雲梗平
小峠華太
南雲梗平
小峠華太
南雲梗平
朝焼けに照らされながら、二人揃ってベッドに体を預けた。
おわり