一覧ページ

LINE1211

第1話 - あ

2023年10月05日

#恋愛

結城　真矢

ヤスコ

サトミさん！

ヤスコ

今日も、あなたの家の犬、私に吠えてきたんだけど

ヤスコ

突然のことだったから、びっくりして持っていた買い物袋、落としちゃったじゃない

サトミ

それは、すみませんでした

サトミ

今度からはよく見ておくので

ヤスコ

もう、外の庭に放しておくの止めたら？

ヤスコ

もしも柵を超えて道路とカに飛び出しちゃったらどうするの？

ヤスコ

もしそうなったら、あなたも私だけじゃなくて近隣の人と不仲になるでしょ

サトミ

あんまり家の中にいると、窮屈に感じでストレスになる、って聞いたことがあるので

サトミ

なるべく、家の外に出してあげた方がいいと思うんです

ヤスコ

外に出しておきたいなら、もっとちゃんとしつけをしてよね

ヤスコ

良い迷惑、してるんだから

ヤスコ

いい！？

サトミ

はい、分かりました...

ヤスコ

本当に、これだからペットは嫌なのよ

ヤスコ

過去にだって、あなたの家の犬が私に飛びついてきたことがあったでしょ？

ヤスコ

特に大きなけがはなかったし、よかったけど...

ヤスコ

もう少し年配の方だったら、大けがになるのよ？

サトミ

気になる人には飛びついてしまうクセがついてしまって...本当にすみません

ヤスコ

なに？それ...

ヤスコ

そんなペット、最悪じゃないの

ヤスコ

ちゃんとしつけができないんだったら、私が外に外出する時は庭に放しておくの止めてくれる？

サトミ

なるべく、放さないようにします

ヤスコ

なるべく、じゃなくてそうしてね

ヤスコ

絶対だから

サトミ

でも、学校の子供たちが帰る下校時間には話させておいてもらえませんか？

サトミ

子供立ちと触れ合うのがすごく楽しみみたいで、いつも嬉しそうにするんです

ヤスコ

下校時間、って3時とか4時とかじゃない

ヤスコ

無理に決まってるでしょ

ヤスコ

私が買い物に行く時間なんだから

ヤスコ

タイムセールの時間がその時間帯なこと、知ってるでしょ？

サトミ

じゃあ、帰る時間を少しだけずらしていただくとか...

ヤスコ

どうしてサトミさんの都合に合わせて私が動かないといけないの！？

ヤスコ

そんなの、無理に決まってるでしょ！

ヤスコ

ふざけたこと言わないでちょうだい！

サトミ

ふざけいてるんじゃなくて、私は真剣にヤスコさんに相談しているつもりなんですが...

ヤスコ

相談、って...迷惑をかけている立場で、そんな相談なんてできるとか思わないでくれる？

ヤスコ

あなたが私に相談できることなんてないの！

ヤスコ

いい！？

サトミ

じゃあ、言い方を買えますけど、うちの子も喜ぶだけじゃなくて、

サトミ

子供たちもうちの犬に会えること、楽しみにしているんです

ヤスコ

他の人とスキンシップを取ることもすごく大事ですし、

サトミ

子供たちのことも考えて、放してあげるのはだめですか？

ヤスコ

ダメに決まってるでしょ！

ヤスコ

子供たちのことなんか、知らないわよ！

ヤスコ

迷惑が掛かっている人のことを、一番に考えるのが普通じゃないの？

サトミ

そう、なんですかね...

ヤスコ

なに？何か文句でもあるの？

サトミ

文句、っていうか...近所なんですし、話し合いをしたらいいんじゃないですか？

サトミ

そんな、一方的に私のことを責められても、困ります

ヤスコ

別に、責めてなんかいないわよ

ヤスコ

とにかく...ほぼ決定事項、っていうことでよろしくね

ヤスコ

じゃあ、そういうことで今度から気を付けて

~3日後～

ヤスコ

ちょっと、サトミさん！

ヤスコ

私が言ったこと、もう忘れたわけ！？

サトミ

今日、ヤスコさんがいつも買いものに行く時間にうちの犬を出すのは避けたと思うんですが...

ヤスコ

今日は、私は帰ってきたのは5時くらいだったの

ヤスコ

おかげでまた吠えられて、びっくりして卵落として、割れちゃったじゃない！

サトミ

え、でも...買い物の時間をずらすのは難しい、ってヤスコさんが言ったんですよ？

サトミ

だから、私が時間をずらして5時からうちの子を庭に出してあげることにしたんです

ヤスコ

今日は、たまたま4時まで用事があったから買い物の時間が遅れちゃったの

ヤスコ

それくらい、臨機応変に対応しれくれないかしら？

サトミ

そんなこと...無理ですよ

サトミ

だって、そっちから頼んできたから、私も言うこと聞こうと思って5時に放したのに...

サトミ

それに、私も今日は5時前後は忙しくて、あまり外の様子は見れなかったんです

サトミ

なので、そんなヤスコさんのことばかり...気にしてなんかいられないですよ

サトミ

それに、私が犬を飼ってもいいですか、って聞いた時に了承してくれたのは、

サトミ

ヤスコさんだったじゃないですか

ヤスコ

こんなに行儀が悪い子だなんて、思ってなかったの

ヤスコ

私にだけ以上にかみついて来たりするし...

ヤスコ

本当に、どんなしつけしてるのかしら？

サトミ

うちの子は、色んな犬種がある中でも結構優秀な犬種ですよ

ヤスコ

人にとびかかって来たり、吠えたりする犬が賢いの？

ヤスコ

そんなこと、あるわけないでしょ

サトミ

本当ですよ

サトミ

この前だって、私が探していたハンカチも、探してくれたんですから

サトミ

私は、あの子を自慢の子だと思ってるので

ヤスコ

ほんと、親バカね

サトミ

そんな、犬なんて適当にいろんなもの探り当てる生き物なんだから、

ヤスコ

たまたま見つけただけなんじゃないの？

サトミ

そんなことないですよ！

サトミ

今までだって、私の探してたものを見つけてくれたんですから

サトミ

しっかり者です

ヤスコ

しっかりものなら、やっていいことと悪いことの判別くらい、

ヤスコ

理解させておいてもらえる？

ヤスコ

それでもしできないんだったら、私だって今後対策を考えるからね

ヤスコ

よろしくね

～2日後～

サトミ

ヤスコさん、少しお話があるんです

ヤスコ

私も、話があって今連絡しようと思っていたの

サトミ

じゃあ、ヤスコさんからどうぞ

ヤスコ

昨日、私が買い物から帰ってきたらまたあの子、私に飛びついてきたのよ！

ヤスコ

しかも、今度は鼻をすりつけて嗅いできて...気持ち悪くてしょうがなかったわ！

サトミ

やっぱり...うちの犬は正しかったです

ヤスコ

は？何が？

サトミ

昨日、ゴミ回収の日でしたよね？

ヤスコ

え？そうだけど...それがどうかしたの？

サトミ

昨日、ヤスコさんが出していたゴミの中を、うちの子がなぜか漁ってたんです

サトミ

そしたら、あの子がその袋の中から、私が捨てたはずの香水のボトルを持ってきたんですよ

ヤスコ

え？あら...そうなの？

サトミ

そうなの...って...

サトミ

私、使っている途中で飽きちゃったからあと少し残ってたけど捨てたんです

サトミ

どうして、ヤスコさんが私が捨てたはずのもの、持っているんですか？

ヤスコ

違うわよ！

サトミ

あれは、私が自分で買ったものだから

サトミ

別に、サトミさんのゴミ袋から漁って取り出したわけじゃないの

サトミ

そうなんですか？そんなの、信じられないですけど...

サトミ

だって、私がボトルにつけてしまった傷の位置まで、全く同じだったんですよ

ヤスコ

そんな偶然、起きますかね？

サトミ

別に、可能性はゼロじゃないでしょ

サトミ

私、すごく気になってたんですよ

ヤスコ

何が？

サトミ

なんで、うちの子がヤスコさんにだけ頻繁に飛びつくのか

サトミ

だって、本当に気に入った人や、自分が興味関心があるもの、人にしか興味示さないんです

サトミ

ずっとヤスコさんの何が気に入っているんだろうな、と思っていたら、

サトミ

香水の匂いだったんだ、って思ったんですよね

サトミ

うちの子、匂いには本当に敏感なんですよ

ヤスコ

だから、そんなのたまたま起きたことでしょ？

ヤスコ

私が来ていた服の柄とかが、なんか興味を示すようなものだったんじゃないの？

ヤスコ

犬の思考なんて。あなただってよく分からないでしょ

サトミ

そしたら。これはどう説明するんですか？

サトミ

隣人の方が、この前ヤスコさんが私が捨てた不燃ごみの中身をのぞいてた、って言うんですよ

サトミ

他の方の目撃情報もあるみたいなんですけど...これはどう説明できますか？

ヤスコ

その日は確か...あっ！そうよ！

ヤスコ

カラスが粗しに来てて、ゴミがあなたの家の前て散らかっていたから...

ヤスコ

私が片づけておいてあげたのよ

ヤスコ

だから、感謝してよね

サトミ

でも、不燃ゴミですし、生ごみじゃないですよ？

サトミ

カラスが気になるものなんて、中に入っていないと思うんですけど...

ヤスコ

不燃ごみにだって、気になるものがあったんじゃないかしら？

ヤスコ

カラスの気持ちなんて、分からないでしょ！

サトミ

そんなにしらばっくれるなら、今から抜き打ちでヤスコさんの家に行ってもいいですか？

ヤスコ

え？なんでよ？

サトミ

この前、遠目に見た時にヤスコさんが私が捨てたはずの服を着ていた気がしたんですよね

サトミ

でも、その時は仕事で疲れてて、私の見間違いかな、と思ってんですけど

サトミ

ご近所さんからヤスコさんのことを聞いて、そうじゃないのかも、って思ったんです

ヤスコ

特にやましいものがないなら、今から家に入ってもいいですよね？

ヤスコ

今は、少し散らかってるし、見せれるものなんてないから、難しいかもね...

サトミ

とか言って、本当は私が捨てた小物とか、アクセサリーとか...

サトミ

捨てたものの中から取ってるんじゃないですか？

ヤスコ

そんなこと...するわけないでしょ！

ヤスコ

適当なこと、言わないでくれる？

サトミ

適当じゃないですよ

サトミ

前にも言ったと思いますけど、うちの犬は臭いにはすごく敏感なんですよ

サトミ

飼い主の私の匂いがヤスコさんからしてきて、それに興味津々だったんじゃないですか？

サトミ

アクセサリーとか、小さなものでも私の匂いがついているもの、身につけていたら、

サトミ

犬は結構反応するんですよ

ヤスコ

そんなこと...あるわけないでしょ

サトミ

だから、言ったじゃないですか

サトミ

うちの子はしっかりしつけしてありますし、

サトミ

嗅覚にも敏感なんですよ

サトミ

飛びついていたのも、吠えていたのも、

サトミ

ヤスコさんが私のものを持っているから注意して、っていう警戒アラートみたいなもの、

サトミ

出していたみたいですよ

サトミ

そういうことなので、今から家に入ってもいいですか？

サトミ

そうじゃなきゃ、警察を呼んでもいいですけど...

ヤスコ

警察なんて、そんな大事にすることじゃないでしょ！？

ヤスコ

もう、分かったわよ...家にいるから上がっていいわよ

サトミ

じゃあ、今から上がらせていただきますね

サトミ

それじゃあ

～後日談～

サトミ

その後、ヤスコさんは私が捨てたはずのものを黙って取っていっていること、認めました

サトミ

アクセサリーや香水、気に入ったものを私に見つかれないように身につけていたらしいです

サトミ

それを反省して、今後はもう私の犬のことを馬鹿にしない、と誓ってくれました

サトミ

今は犬を庭に放す時間についても特に文句は言ってきません

サトミ

私からヤスコさんの態度を改めることができて、すごく生成しています

この作品はいかがでしたか？

0件

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう！

結城　真矢

プロフィール

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい！がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

LINE1211

第1話 - あ

作者の他の作品すべて見る

#恋愛の新着小説
一覧

関連するタグ

LINE1211

第1話 - あ

作者の他の作品すべて見る

#恋愛の新着小説一覧

関連するタグ

#恋愛の新着小説
一覧