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コメント失礼します 迷言連発装置☔フォローしてくれてましたよね… データ消えたんであの垢ではもう投稿できません すみませんほんとに この垢でもう一度投稿し直します😭
副管理人の柊木渚です♡ これが、最後の投稿です。 今日は、沢山更新させて頂きました♪ また、後日更新させて頂きます。 いいね👍コメントお待ちしております。 有難うございました♡ では、失礼します〜♪
今思えば、任務の時から様子がおかしかった。もともと色白な人間だと思ってはいたが、今朝の悟はいつにもまして白く見えた気がする。
五条悟
後ろから名前を呼ぶ声と制服の裾を引っ張られる僅かな感覚。振り向いた時にはすでに悟の体は傾き始めていて……
夏油傑
私は抱きしめるようにその体を受け止めた。その衝撃で悟のサングラスが地面へ落ちていく。それを受け止めることは叶わず、カチャリという小さな音が響いた。
夏油傑
腕の中の悟は何かに耐えるようにぎゅっと目を瞑ったまま浅い呼吸を繰り返す。額にはじんわりと汗をかいていて、血の気のない真っ白な顔を見れば調子が悪いことは一目瞭然だった。
夏油傑
五条悟
問いかけても返ってくるのは苦痛に堪える声。そして、私が支えていても立っているのがやっとのようで、覚束ない足が一歩、二歩、と無意味に地面を踏み出した。
夏油傑
全体重を預かるようにその体を支えれば、悟が少しだけ顔を上げた。そのあまりの顔色の悪さに動揺を隠せずにいると、悟が唇を震わせながら息を吐くような微かな声で言った。
五条悟
夏油傑
私が問いかければ、悟は小さく頷いた。しかし、そのまま俯いた顔を私の肩に埋めるようにして、苦しそうに浅い呼吸を繰り返した。
補助監督の迎えが来るのは約一時間後。 こんな状態の悟をそれまで待たせるわけにもいかず、私は慌てて硝子に連絡した。電話口で悟の症状を伝えると、すぐに迎えを行かすと言ってくれて他の補助監督が来てくれることになった、のだが。
五条悟
私の膝を枕にして横になった悟は私のお腹に顔を埋めるようにして、時折消えそうな声で「痛い」と呟く。滅多に弱音を吐かない悟が言うのだから、とてつもなく痛いに違いない。
夏油傑
励ますように声をかけながら悟の背中をさすっていると、突然、悟がものすごい力で私の腰に抱きついてきた。
五条悟
夏油傑
五条悟
そう言うと痛みに堪えるように全身を強張らせる。私はどうすることもできず、抱きついてきた悟を受け止め、その背中をさすりながら痛みが落ち着くのを待っているしかなかった。
五条悟
しばらくすると悟の体から力が抜けていって、力なく腕が投げ出された。悟は胸を上下させながら浅い呼吸を繰り返す。
夏油傑
硝子がいたら、とどうにもならないことを考えずにはいられなかった。私は何もしてやれない情けなさでいっぱいになりながら、汗と涙でびっしょりになった悟の顔を拭ってやった。ところがその瞬間、悟が慌てた様子で体を起こした。
夏油傑
五条悟
声をかけるのと同時だった。悟が激しく嘔吐した。ビチャビチャと音を立てながら水っぽい吐瀉物が地面に広がっていく。悟の制服も続け様に溢れてきた吐瀉物でドロドロになっていった。
五条悟
五条悟
悟は自力では体を支えられず、嘔吐しながら座っていたベンチから崩れ落ちそうになる。私が咄嗟に肩を掴めば、悟はその衝撃で再び胃の中身を吐き出した。
五条悟
悟は何度も何度も嘔吐を繰り返した。痙攣するように体を強ばらせて、その度に胃の中身を吐き出そうとする。私は初めて見る悟の姿にどうすればいいのか分からなくなった。
夏油傑
無意識にかけた言葉は嫌に無責任なもので、声だって情けなく震えていた。私はただただ震える手を誤魔化すように悟の背中をさすり続けるしかなかった。
悟は何度も何度も嘔吐を繰り返した。痙攣するように体を強ばらせて、その度に胃の中身を吐き出そうとする。私は初めて見る悟の姿にどうすればいいのか分からなくなった。
半時間後、迎えに来た補助監督は悟を見るなり慌てた様子で近くの病院へ車を走らせた。悟は車の中でも嘔吐を繰り返しながら、堪え難い頭痛にのたうち回る。
五条悟
狭い車内で怪我をしないように悟の体を押さえつければ、悟は痛みから逃れるように私の手を振り払おうとした。
五条悟
夏油傑
だけど、次第にその力が弱まっていって、最後には全てを諦めたかのように動かなくなってしまう。
夏油傑
ダラリと投げ出された悟の腕はやけにひんやりしていて、その手を握っても握り返してはくれない。
夏油傑
焦りから思わず大きな声を出してしまうと、悟は私の声が頭に響いたようで辛そうに顔を歪めた。
五条悟
夏油傑
囁くように声をかけながら励ませば、悟が弱々しい力で私の手を握り返してきた。私は悟をどこにも行かせないよう祈るようにその手をしっかりと握り続けた。
病院に着くと悟は慌ただしく処置室へと運ばれていった。私はそれを見送ると呆然と廊下に立ち尽くした。硝子も後から来てくれた。
家入硝子
夏油傑
硝子に促されて廊下の長椅子に腰掛けるも、心がざわついて落ち着いていられなかった。 ドアの向こうから物音が聞こえるたびに、真っ青になった悟の顔が思い浮かんで、何もできなかった自分を悔やむしかなかった。 重苦しい空気の中、硝子と2人で廊下で待つこと数十分。中から出てきた看護師さんが悟のいるベッドへと案内してくれた。
夏油傑
恐る恐るカーテンの中を覗くと、悟は酸素マスクをあてがわれて、点滴に繋がれながら眠っていた。悟が息を吐くたびに酸素マスクが白く曇る。苦しそうにしていた呼吸は落ち着いた様子だった。
ベッド脇の椅子に腰掛けようとすれば、看護師さんに「先生からお話が……」と声をかけられる。どうしようかと悟と看護師さんの顔を交互に見つめれば、硝子が私の肩をポンと叩いて隣の診察室へ向かっていった。
夏油傑
二人きりになったカーテンの中で改めて悟の顔を見れば、先ほどより顔色が良くなった気がしないでもないが、いつにも増して色の白い悟の顔で目の下の青黒いクマが嫌に目立っていた。
夏油傑
目元に涙の跡が残っていることに気づいて、そっと指で拭ってやれば、少し高い体温が伝わってきて思わず眉を顰めてしまった。
いつから発熱していたのだろうか。 どうして気づいてやれなかったのか。 そばにいたはずなのに、何もしてやれなかった自分が情けなくて、みっともなくて。 何もできない自分が悟のそばにいて、何の意味があるのだろうかと考えずにはいられなかった。
五条悟
夏油傑
五条悟
夏油傑
五条悟
悟は両手を使って一生懸命目元を押さえようとする。手を動かしたせいか、その左手の手の甲に繋がった点滴の管に血液が逆流していくのが見えた。
夏油傑
夏油傑
私が悟の手を元に戻して、片手で目元を覆ってやれば悟が少し安心したように息を吐いた。逆流しかけた血液も再び悟の中に戻っていく。それを見て安心していると、悟がもう片方の手をきゅっと握ってきた。
夏油傑
五条悟
夏油傑
見えなくても分かるように悟の手を握り返しながら言えば、再び小さな寝息が聞こえ始めた。
しばらくすると、硝子が処置室へ戻ってきた。しかし、何やら見慣れぬ封筒を片手にどこか浮かない顔をしてベッド脇に立ち尽くす。
夏油傑
硝子は持っていた封筒を鞄にしまうと、私の隣の椅子に腰掛けた。そして、悟の目元を押さえる私の手を見ると静かに話を始めた。
家入硝子
夏油傑
家入硝子
家入硝子
夏油傑
家入硝子
家入硝子
そう言って、硝子は鞄へと目線を落とす。私は先ほどの封筒の正体を知って安心したものの、やはり悟の状態が良くないことに変わりはなく、そのまま黙り込んでしまった。
家入硝子
家入硝子
夏油傑
困ったように笑いながら言えば、硝子がやけに真剣な眼差しで見つめ返してくる。思わずその表情にドキッとしていると硝子は私の目をまっすぐに見つめたまま言った。
家入硝子
それから、小一時間ほど悟の点滴が終わるのを待った。悟は苦しそうにしていた呼吸も落ち着いてきたようで、先に酸素マスクを外してもらうと手のひらにバシバシとまつ毛が触れてきた。
夏油傑
五条悟
夏油傑
悟に声をかけながらそっと手を離そうとすれば、悟は眩しそうにぎゅっと目を瞑る。それを見て目元に影を作ってやると、悟がパチパチと瞬きを繰り返した。
五条悟
夏油傑
五条悟
夏油傑
五条悟
夏油傑
悟は再び目を閉じるとすぐに寝息を立て始める。よほど疲れていたようで、そのあと点滴を抜いてもらっている間も眠ったまま。 ところが、このまま眠っている間に次の病院へ運んでしまおうかと硝子と話していると、悟の目がパチリと開いた。
夏油傑
五条悟
夏油傑
悟を寝かしつけるようにトントンして様子を見るも、私たちの様子から何か察したのか寝ようとはしない。そして、訝しげな顔をして私たちの顔を見つめてきた。こうなってしまえば、誤魔化すのは難しい。硝子も観念したのか、悟の頭を撫でて、言い聞かせるようにこれからのことを話し始めた。
家入硝子
五条悟
家入硝子
五条悟
家入硝子
五条悟
家入硝子
その後、悟は硝子が何を言っても「嫌だ」の一点張りだった。私が無理やり抱き抱えて車まで運ぼうとすれば、精いっぱい抵抗してくる。このまま無理やり病院へ連れていっても、検査を受けさせるのは難しいだろう。
夏油傑
五条悟
夏油傑
五条悟
夏油傑
五条悟
夏油傑
五条悟
いつにも増して駄々を捏ねるなぁと思っていると、悟がやけに瞬きを繰り返していることに気づいた。瞼がくっつきそうになると、慌てた様子で目を開く。
夏油傑
五条悟
夏油傑
夏油傑
五条悟
悟は「違う」とは言いながらも、やっぱり瞼は重たいようで、それに抗うように目を開こうとする。まるで小さな子どものような精いっぱいの抵抗を見せられれば、こちらが折れるしかなかった。隣にいた硝子も困ったように笑っていて、私が目配せすれば小さく頷き返してくれた。
夏油傑
家入硝子
夏油傑
五条悟
夏油傑
その後は私が半分夢の世界の悟を背負って病院を出た。悟は車でもぐっすり眠っていて高専に帰ってきても目を覚さなかった。帰ってからは疲れが出たのか熱が上がってきて、ぐったりとベッドに沈み込む。それでも、目を覚ますと「検査、傑も一緒……?」と捨てられた子犬のような顔をして聞いてきた。その頭を撫でながら「もちろん、そうさ」と答えれば、悟は安心したように再び眠りに落ちていった。
翌朝、悟はすっかり熱も下がって、思ったより元気そうにしていた。頭痛も落ち着いているようで、普段通りに朝食をとることができた。心配して様子を見に来た硝子も「ちゃんと調べてもらえよ?」とだけ言い残して帰っていく。
夏油傑
五条悟
約束通り、悟は大きな総合病院へと連れて行かれた。窓口で紹介状を提出すれば、担当の診療科を案内される。待合室でソワソワと落ち着かない時間を過ごした後、診察室で簡単な問診を受けると悟は血液検査と脳のMRI検査を受けることになった。
夏油傑
中央採血室を前にして顔を曇らせた悟に声をかければ、「へーきだっつの!」とぶっきらぼうな返事をする。それなら、と悟の背中を見送ったのだが、悟はしばらく経っても戻ってこない。
どうしたのだろうかと様子を窺っていると、中から出てきた看護師さんに悟が採血で気分が悪くなって、中で休んでることを告げられた。私は慌てて悟のもとへ駆けつけた。
夏油傑
採血室の端に置かれたベッドのカーテンを開けると、悟が血の気のない顔をしてベッドに横たわっていた。
夏油傑
五条悟
さっきまでの威勢はどこかへ行ってしまったようで、頭を撫でようと手を伸ばせば、擦り寄るように悟の方から頭を寄せてきた。
夏油傑
白い髪を梳きながら言えば、悟は強がって「別に……」だなんて否定してくる。だけど、体は正直なようで、緊張していましたと言わんばかりガチガチに体を強張らせていた。
夏油傑
仕方ない、仕方ないと慰めるように頭を撫でたり、背中をさすったり。しばらくすると、緊張が解けてきたのか、悟がウトウトするようになった。真っ白だった頬にも血の気が戻ってきたようで、体調も落ち着いてきたように見える。
夏油傑
五条悟
夏油傑
五条悟
夏油傑
ぼんやりした様子の悟の背中を支えて、靴を履かせればされるがまま。そのまま悟の背中を押した。
その後は悟が寝惚けているうちにMRI検査まで終わらせてしまおうと検査室へ連れて行った。ところが、検査着に着替えさせているうちに目が覚めてきたのか、駄々を捏ね始める。
五条悟
夏油傑
五条悟
夏油傑
五条悟
夏油傑
言い訳がましいとは思いながらも、本当にお腹が痛かったらかわいそうだと思って、悟をトイレに連れて行くことにした。ところが、手を引いても背中を押しても仰反るばかりで、悟がその場を動こうとしない。
夏油傑
悟の顔を覗き込むようにして問えば、悟が潤んだ瞳で見つめ返してくる。
五条悟
夏油傑
五条悟
夏油傑
五条悟
夏油傑
五条悟
良心を弄ばれて困惑したのか、適当に言いくるめて検査室に向かわせれば、悟はチラチラとこちらを振り向きながらも中へ入っていった。途中で出てきたりしないか心配していたのだが、それは杞憂に終わった。 半時間ほど経って検査が終わると悟は寝惚け眼を擦りながら検査室から出てきた。
夏油傑
五条悟
待合室まで移動して長椅子に腰掛ければ、悟は私に寄りかかってすぴすぴと寝息を立て始める。昨日の今日の話だし、まだ本調子ではないのだろう。帰ったらゆっくり休ませてあげないとな…… そんなことを考えながら、着ていた上着を悟の肩にかけてやった。
しばらくして検査結果が出ると軽い貧血を指摘されるも、その他で異常が見つかることはなかった。そういうわけで、悟は無事に高専への帰路に就くことができた。
夏油傑
五条悟
夏油傑
五条悟
悟は帰りの車の中で買ってもらったビスケットをご機嫌な様子で口へ運ぶ。私がボロボロ落ちてくる食べこぼしを拾い集めるのに忙しくしていれば、悟が何か言いたそうな顔をしてビスケットを差し出してきた。
五条悟
夏油傑
五条悟
夏油傑
悟はまるで某ジブリ映画の傘を差し出す少年のような強引さでビスケットを私の口の中に突っ込んでくる。それをすっぽり口の中に収めれば、悟が嬉しそうに笑った。
五条悟
夏油傑
五条悟
恥ずかしくなってきたのか、悟は窓の外へと視線を移しながら「昨日も、そばに、いてくれてたし……」と口籠もる。その耳は真っ赤で、サングラスの隙間から見えた頬だって赤く染まっていた。
夏油傑
私はそばにいて何もできずにいたけれど、君をそうさせるだけの意味があるのなら……
五条悟
夏油傑
悟は手に握ったビスケットと私の顔を交互に見つめながら驚いた顔をする。
五条悟
夏油傑
五条悟
夏油傑
後部座席でどうでもいい言い争いを始めると、補助監督が呆れたようにため息を吐く。だけど、ルームミラーに映ったその顔は心なしか嬉しそうで。私はまだ悟の隣でこうしていればいいのだと、気付かされたような気がした。