「死ね」って言うなら殺してくれ。〚完結〛

今日も、どうせ母さんは居ないはず

なら、大丈夫。

昔は、すっごい優しかった。

父さんも、母さんも

2人とも、自覚するくらい

俺の事を愛してくれてた。

でも

でもね。

父さん、浮気してたんだ。

その理由が、「母さんがうるさいから」

たったそれだけで浮気。

それでも母さんは父さんに粘着してたよ。

うざったらしく感じるくらい。

その浮気が発覚してから

父さんと母さんはよく喧嘩して

俺にまで八つ当たりしてきたんだよね。

こうでも言ってないと、壊れるんだ。

これが愛情だって思わなきゃ

苦しくなっちゃうんだ。

死ねって言われた側は死ぬ勇気なんて無い。

死ねって言った側は、殺す勇気なんて無い。

理不尽だと思う、この世の中は

狂ってると思う。

今まで、ずっと頑張ってきた。

我慢してきた何かが

切れてしまった気がした。

辛さを溜め込んでいた器が

母の暴力で壊された様な気がした。

いつか、死ねますように。

カーテンの隙間から差し込む光で目を覚ました。

普段なら良い目覚めだろう。

今の俺にとっちゃ、

こんな朝ですら嫌らしい。

「　ーーーーー、ーー！？　」

「　ーーー！！！？　」

リビングの方から男女の怒鳴り声の様な

泣き叫ぶような、そんな声が聞こえた。

また、母さんとその彼氏だろう。

そう呟いて、数秒してから

俺は覚悟を決め階段を下りリビングへ向かった。

昨日言われたことなんて

分かりきってた。

俺が邪魔だから

母さんが好きな人と再婚できないんだ。

学校に行っても嫌われる

でもそれは慣れてる。

だから、我慢できる。

俺は制服に着替えて

荷物を持って、母さんと男を横目に

家を出た。

正直もう、帰りたくないや…っ。

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