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 馬車が止まると、扉が開けられた。俺たちを迎えたのは、きらびやかな服装を身に纏った人々と、無数の目だった。  みんなが俺たちを見ている。いや、正確には俺を見ている。

アソビ

なんだよ、この注目……

バリトン

気にするな。ただの好奇心だ。

アソビ

好奇心って……そりゃ俺、異世界人だからか?

バス

半分はそうだろうな。

アソビ

ウワァ……緊張するぅ……

テナー

アソビくん、深呼吸して。大丈夫、僕たちがいるから。

アソビ

あ、ありがとう……

俺たちは王宮の廊下を進んでいく。壁には金色の装飾が施され、見たこともないような美術品が並んでいる。歩いているだけで息が詰まりそうだった。

テナー

緊張してるの?

アソビ

さっきからそう言ってるじゃん!

アソビ

そりゃあするだろ!俺、なんでこんなとこにいるのかわかんねーし!

テナー

大丈夫だよ。王族の人たちは意外と親切だからさ。

テナー

(可愛いなぁ……)

バス

んじゃ、俺とバリトンは取り敢えず、王様に色々説明してくる。

テナー

わかった

バス

テナーはそいつ連れて、管理人のところに行って、ちゃんと才覚があるかどうか診て貰え

バリトン

じゃあ、また後でね。二人とも

アソビ

あ、あぁ……

テナー

失礼します。メゾ様。
例の者をお連れしました。

メゾ

ありがとう。カウンターテナー。
そんなに畏まらないで、ゆっくりしていきなさいな。

アソビ

え、えっと……

メゾ

はじめまして。私の名前は、メゾ・オータム。

メゾ

王室の学徒隊の指揮者をしていますの。

アソビ

あ、アソビです……

アソビ

よろしく……お願いします……

 そう言って微笑む彼女に、俺はどう返せばいいのかわからなかった。ただ、その瞳には、どこか計算された興味の色が見えた。  俺の胸の中で、不安がまた一つ膨らんでいった。

テナー

あれ?メゾ様……

テナー

『管理人』さんは?

メゾ

ごめんなさいね。
彼は今、別の仕事が立て込んでいるのよ。

テナー

そっかぁ……

メゾ

代わりに私が診ますから。安心して頂戴

アソビ

は、はぁ……

 柔らかな声が耳に届いた。振り向くと、メゾ先生が微笑みながら俺を見ていた。その笑顔はどこか母親のような包容力を感じさせる。

メゾ

アソビ君……だったかしら?

メゾ

私ね、貴方の声を聞いてみたいの。

アソビ

は、はぁ……

メゾ

貴方の……本当の声を……

アソビ

本当の……声?

 その言葉に、一瞬だけ場の空気が揺れたような気がした。  戸惑う俺を見て、メゾ様?は静かに近づいてきた。少しだけ背をかがめて目線を合わせる。

メゾ

大丈夫……
声を聴かせて頂戴

アソビ

ぐ、具体的にどうすれば……

テナー

メゾ様が喉元をみるから、なんか歌ったらいいんじゃないかな?

アソビ

じゃ、じゃぁ……『愛しい女よ、せめて私を信じて』……

【Carlo Mio Ben】和訳 愛しい女よ せめて私を信じて あなたがいないと心が弱ってしまう 愛しい女よ あなたなしでは心が弱ってしまう あなたに忠実な男は いつもため息ばかり やめておくれ 残酷なひと あまりにも酷い

テナー

……っ!?

メゾ

最初から完璧にできる人なんていないわ。みんな最初はそう。でもね、声にはその人の心が表れるのよ。

メゾ

でも、あなたがどんな声を持っているのか、私にはわかるの。

テナー

先生……それって……

メゾ

そう……ほんの少しだけ……いや……

アソビ

・・・??

メゾ

カウンターテナー。
貴方も感じたでしょう?

テナー

は、はい……。
声に、強い魔力の波……

メゾ

……間違いなく、『テノール』。

メゾ

カンターヴィレに見初められ、招かれた主人格で間違いないわ。

アソビ

え?

アソビ

えぇぇぇ!!??

アソビ

テノール……え?
俺、『アルカノーレ』ってこと?

テナー

う、うん。多分……?

メゾ

間違いないと思うわ。
声帯を主軸に回る魔力の流れ、その魔力量……

メゾ

歴代の『テノール』よりも強く、声がはっきりとしている……

メゾ

貴方の歌声には、しっかりと『アルカノーレ』の力が宿っている。

メゾ

それだけは間違いないわ

アソビ

……( ゚д゚)ポカーン

 その言葉に、俺は息を呑んだ。だって、俺は自分がアルカノーレだとは思ってなかった。  テナーが目を見開き、驚愕の表情を浮かべる。

テナー

先生、それってつまり……

メゾ

おそらく、音楽の才が元々あって……

メゾ

歌声は、すでに完成されているのでしょうね。

メゾ

他の館の子たちや王室も、この事を黙って見過ごすことはないでしょう。

アソビ

う、うそ……

アソビ

嘘だろぉぉぉ!!??

バス

おう、終わったぞ。
テナー、そっちはどうだった?

テナー

そ、それについてなんだけどね……メゾ先生が……

メゾ

おひさしぶりですね。バリトン。バス。

バリトン

あ、先生!お久しぶりです!

メゾ

その、彼についてなんですが……
『アルカノーレ』であることは間違いないと私の方で判断させていただきました。
ただ……どの才格を持っているまでかは、『調律者』の目が無いと判断できません。

バリトン

なっ……!

バス

やっぱりか。

メゾ

それに、彼は元々……音楽の才に恵まれていたようです。
歌声は既に力を行使できるほど完成されている。

バス

他の国や館の奴らも黙ってねぇってか

メゾ

おそらく。

アソビ

・・・・・

テナー

だから、どの才格を持ち合わせているか分かんないから、しばらくの間、僕たちの館で保護しようってわけ。

バリトン

わかった。そうしよう

バス

まぁ、唯の声持ちじゃねぇのは分かりきったことだっただろう。

バス

そうするしかねぇだろ

アソビ

じゃあ……

テナー

まぁ、僕たちと一緒に過ごすってことだよ。
よろしくね、アソビ

アソビ

……うん
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