もしあの人になれたら

結城叶が入れ替わらなかったら、と考えていた頃

有栖紗良は…

ー私を疑わないの？ー

結城さんが困ることは、何とか遠ざけていこう

それが私のためにも、結城さんの為にもなる

次の日

少し離れたところに結城さんが…

今のところはバレてなさそう…

でも結城さん、なんで自分から蒼羽君に…？

それは…

だから蒼羽くんとは近づけようとしなかったのに…怪しまれてる

耐えて…結城さん！

何とか大丈夫だったみたい

よかった

でも、変な風に思われてないかな？

私と蒼羽くん、妙に距離が近いなー…とか

な、何かいい方法を思いつかなきゃ…！

ここまで来て疑われるのは…！

その役、私がしても宜しいでしょうか？

突然、声がした

助けて…くれたの…？

私が茶道部でしっかり出来ているのか、見に来てくれていたんだ。

それで私がピンチだったから…

ごめんなさい…紗良ちゃん

紗良ちゃんの茶道は、魅入ってしまうほどに美しいものだった

ほんと、なんでも出来るんだから…

ﾊﾟﾁﾊﾟﾁﾊﾟﾁ

紗良ちゃんに拍手が送られた

顧問の先生は、心から感謝しているように感じた

よっぽど茶道が好きなんだな

場違いな気がしてならなかった

逃げたい