コメント
4件
おおお新しいの始まった!!なんか意味深で好きです…() なんかぐっさぁぁぁぁって刺さります(?)
新連載ありがとうございます! 設定が細かく、今までにない雰囲気でとても面白かったです。 続き楽しみにしています✨
新しい連載ありがとうございます!✨ 世界観があたしい感じがして今後の展開が楽しみです! 続き楽しみにしています!(˶' ᵕ ' ˶)
開いていただきありがとうございます! この作品は、🎲様(赤黒主演、桃助演)の物語となっております。 この作品には、 ・年齢操作 ・関係操作 ・病み要素 ・暴力表現 ・刺激の強いシーン の以上5つが含まれますので、 苦手な方は閲覧をお避けください。 この作品は、本人様や関係者様、 現実に存在する固有名詞とは全く関係のない 完全なるフィクションです。 その方々に対する迷惑行為は固く禁じます。 また、拡散や使用等、 この作品に対する迷惑行為もおやめください。 ここまでをご理解いただいた方のみ続きをご覧ください。
コツ。コツ。 自分の靴が立てる音が、 この広すぎる建物に響いていく。 こんな所どうやって買ったのか、と 疑問が湧いてこない訳ではないが、 俺には関係ないことだと割り切った。
誰もいない広間の、天井に向けて。 俺は少し声を張ってそう言う。 コト、と物音がして、 後ろから聞こえてくる足音。 なんだか、懐かしい感覚だ。
直々に呼び出しが来るなど、 久しぶりのことなのだから。
背後から聞こえる、重みのある声。 振り返り、顔を確認してから膝を付く。 焦っている訳ではないであろうその表情に、 緊急事態ではないことを察した。
ふっという笑いが響く。 どうやら、今日は上機嫌らしい。 やりやすくて何よりだ、と他人事のように思った。
足音が離れていき、 俺はすっと立ち上がる。 指令の資料やらがあるのだろう、 この手順はもう慣れたものだ。
合点がいき頷けば、 履歴書やら身分証明書が手渡される。 パスポートまで付いているのを見て、 海外の会社だろうかと眉を顰めた。
顎で履歴書を示され、 俺はその文字列に目を通す。 会社名は大手企業。 そこに、まあまあの学歴と資格。 そして、俺の偽名と顔写真。
赤瀬りうら
ニヒルな笑みの彼が浮かぶ。 俺とは真逆のタイプの、 正直言って少し面倒な先輩。 まあ、特に気にする奴でもないが。
もう一枚、手元には違う人間の履歴書がある。 それを見れば、狙いの男の顔は 簡単に覚えることができた。
黒木悠佑
いかにも優しそうな男だ。 身内が悪事を働いていても、 警察に売ることができないような、そんな奴。
書類をまとめて封筒に入れ、 簡単に盗まれないような場所へとしまう。 背を向けて階段へと歩き出して数秒後、 後ろを振り返ればもう人はいなかった。
一体どんな人物に仕立てようか、と 考えを巡らせていく。 懐へ入るような人物の方がやりやすいだろう。 まあ、無難なタイプだな。
目の前に見える階段へ一歩踏み出せば、 退場を告げる鈴の音が、チリンと音を立てた。
階段の中程で声をかけてきたのは、 同業者らしからぬ陽気な男。 そして、珍しい名前を付けた張本人である。
肩を小突いてくる彼を、 俺はスルーして階段を降りてやる。 こういうノリは嫌いだ。 さっさと戻って準備をしたい。
…けれど。 彼はなんだかんだ、 鋭いことを俺に言ってくる。
くすっと笑う彼に、 俺は返す言葉を探すように口を開く。 しかし、一枚上手である彼に返す言葉は、 どうやったって見つからなかった。
俺の名前はライア。 勿論、偽名ではある。 そういえば、これをつけたのも彼だった。
"ライア。"
"これ、今日からお前の偽名な?"
嘘が上手いから、と彼は言った。 俺の初指令の際に、 新人の付き添いという任務を 彼がこなしていた時だった。
でも、彼は。 「ライアー」とは言わなかったのだ。
正しいのだろうそのアドバイスに、 俺は首を振って階段を一段降りる。 感情などという、くだらない、 とうの昔に捨て去ったものを、 今更どうして持つのだろうか。
にこ、と同業者らしからぬ笑顔で、 彼は俺に笑いかける。 …彼は本当に、そう思っているのだろうか。
俺が問いかければ、彼は笑った。 呆れたような、分かりきっているような笑みで。
「ライア、ハイド。早急に退場命令。」
アナウンスが響く。 俺と、彼の名前。 「ハイド」という言葉の意味を、 俺は知っている。
「隠す」
そう言いつつ階段を降り始める彼。 俺は彼を、「ハイド」と呼んだことはない。
完全な彼が、嫌だから。 少しだけ見え隠れする彼の心情は、 隠れてなんかいないから。
…でも、俺の嘘は。 きっともっと、彼より不完全なんだろう。
悠々階段を降りる彼に会釈をし、 俺は駆け出す。 階段の手すりに足を軽くかけ、 エントランスにあるソファの背を越え、 壁を少し蹴れば、もう外だ。
…今日、任務が始まった。
「ライア -その線で⬛︎して-」 第一話