幸せそうに眠る双子のクリスマス

むかーしむかしあるところに

2人の双子がいました

その双子の世界にはその双子しかいなかったのです

2人にお家なんてありません

2人に食べ物なんてありません

2人にお金なんてありません

「いむくん死なんといてな？」

これが初兎くんの口癖でした

親に捨てられたあの日から

2人はずっと2人きりでした

何日も何日も雪が続きました

その次の日も次の日も

ほとけくんの熱は治らず、悪化していく一方でした。

それもそのはず。

だって2人には家がないんだから。

2人には病院に行くお金がないんだから。

12月23日

しょうくんはいむくんをおんぶしました

いむくんの弱い弱い心臓の音を聞きながら

しょうくんは歩き始めました

さっきまでしょうくんの背中に弱く弱く伝わっていたいむくんの心臓の音が

いつのまにか伝わらなくなっていました

12月23日、なんの特別の日でもない日。

1人の双子の片割れが亡くなりました。

その双子に会いにいくために

12月25日、世間がクリスマスで賑わっている日。

もう1人の双子の片割れが亡くなりました。

生まれ変わりたいですか？

生まれ変わったらあなたも、ほとけくんも、幸せになれます。

暖かい家があります。

お金があります。

ただ、2人が出会えるかわかりません。

それでも、生まれ変わりたいですか？

…そうですか

もし、出会ってしまったら

これから先、この人と一緖にいたいと思ってしまったら

貴方達は…

12月23日

なんでやろ、、

なぜか毎年、クリスマスが近くなると1人でイルミネーションに来てしまう

1人で見ているのに、、

まるで誰かと一緖に見ているように

その誰かを待っているように、、

見知らぬ人から突然名前を呼ばれた

怖いとかそいう感情よりも先に、、

「やっと」「やっときてくれた」

むかーしむかし、あるところで

僕はこの人の人生で

この人は僕の人生だったような

そんな気がした

むかーしむかしのあの場所に

戻りたいですか？

…わかりました

僕らがいちばんっ！

むかーしむかしあるところに

2人の双子がいました

その双子の世界にはその双子しかいなかったのです

2人にお家なんてありません

2人に食べ物なんてありません

2人にお金なんてありません

今その双子はずっとずーっと眠っています

その寝顔はとてもとても幸せそうな

そんな寝顔だったそうです