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あてんしょん ・irxs様の名前等をお借りした二次創作(nmmn)となっています。 ・主に赤さんと黒さんでの物語進行となります。 ・軽度の暴言等、不快に思われる描写がある可能性があります。 以上の要素が苦手・嫌いな方は、この時点でのブラウザバックをお願いします。 いたずらでの通報等はお控えください。誤字脱字等、何か至らぬ点がありましたら、コメントにてご報告ください。 その他、内容に触れるコメントをして頂く際は、直接ご本人様達のお名前を出さずメンバーカラー等での表記を厳守してください。 検索避け及びnmmnのルール違反にならないよう、ご協力をお願い致します。 こちらの作品はnmmnとなっておりますので、拡散・無断転載等は禁止します。もし発見した場合、コメントでの注意喚起を致します。それでも同じ方が何度もされているようでしたら、ブロック・通報致します。
2月14日。
世間は、バレンタインだのチョコだの彼女だのと、五月蝿く喚いていた。
しかしそれは、俺も同じことだった。
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いつもの講義室で、あの人を待ち伏せする。
なんだか、意味もなく恋に焦がれる乙女になったようで、そんな自分が少し気持ち悪く感じた。
でも、あの人を見た瞬間、それはどうでも良くなった。
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彼は咲園悠佑(さきそのゆうすけ)。
所謂「本命」だ。
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いつもの調子で、幾つか言葉を交わす。
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彼にしか聞こえないよう、声を潜める。
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彼とは昔からの仲で、信頼している。
俺のこんな毒々しい一面は、彼以外に見せる訳にはいかない。
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触れられなかった手作りチョコを哀れむかのように、彼は眉を顰める。
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俺が自分なりの心慮を述べると、彼は少し呆れたかの様に小さく吐息を着き口を開いた。
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彼と2人で話し込んでいると、同じゼミの一人がこちらへ近寄って来た。
水卜
先刻までの攻撃的な俺は封じ、声色を変えて愛想良く話す。
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水卜
水卜
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昔から俺はこんなものだ。
相手を選んで顔を使い分けるのが俺のやり方。
自分で言うのも何だが、世渡り上手な方だと思う。
不思議な事に、こういう時は可愛げのある言葉がすらすらと出て来るから、この性格は便利だ。
水卜
水卜
水卜
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水卜さんに連れられやって来たのは、まだ人気の無い構内のカフェだった。
水卜
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大体の見当は着いているが、敢えてとぼけてみせる。
水卜
水卜
水卜
水卜
水卜
水卜
そう言って俺に差し出されたそれは、丁寧にラッピングされていた高級チョコレートだった。
こんな高価な物をゼミ中に配っているとは考えずらいから、これは俗に言う「本命チョコ」だろうと、直ぐに分かった。
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水卜
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水卜
水卜
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子供の様に喜ぶ顔をしてみせる。
こんな事をして、周りからすれば思わせぶりだの何だの思われるかも知れないが、そんなの知った事じゃないから俺は対して気にしない。
水卜
水卜
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俺は貰ったチョコをポケットにやや強引に入れ、彼の居る講義室へ二人で戻った。
水卜
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水卜さんに手を振り離れると、後ろから聴き慣れた彼の声が聞こえる。
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どうやって渡そうか。
そんな事をふと考え、少しの間空を見つめる。
いつもあの調子の俺がイベントに参加するなんて気持ち悪がられるのは最初から分かっていたから、特に何も考えていなかった。
いざとなると、渡し方が分からない。
いやはや、これは困ったな。
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丁度彼が話し終えたタイミングで、突然俺のスマホが揺れる。
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半ば強引に話を切り上げ、俺達は各自席に着いた。
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結局、上手く口実を作れないまま、バレンタインが終わろうとしていた。
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そもそも、端から俺がバレンタインなどと言う程度の知れた馬鹿なイベントに参加するなんて事自体、おかしな話だ。
わざわざ無駄に時間を掛けて作ったチョコドーナツは、帰って自分で消化して仕舞おう。
そう思っていた時だった。
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どこかで見た記憶のある水色の髪をした青年が、辺りをキョロキョロと見回していた。
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記憶が蘇り、その人の事を思い出す。
確か、同じゼミに居る、
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俺がそう言うと、清寺さんは驚いた様に目を見開いた。
十中八九図星なのだろう。
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その名前を聞いた瞬間、俺も若干肩が跳ねた。
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この人が探している理由は、恐らくバレンタインの何かを渡す為だろう。
態々そこまでして渡そうとする何て分からない、と昨年の俺なら言っていただろうが、今年は人の事を言えない。
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我ながら、何馬鹿な事を言っているのだと思った。
こんな事が、プレゼントを渡す人達の馬鹿騒ぎを助長させると分かっているのに。
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そう言うと、清寺さんは目を輝かせた。
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道中、ふと気になってさり気なく聞いてみる。
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そう言えば、本人からそう聞いてはいなかったな、と思う。
でも、反応を見るに俺の推測は当たっているそうだから、適当に言葉を返す。
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清寺さんは、少し恥ずかしそうに言葉を詰まらせるも、小さく呟いた。
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予想は見事に的中していた。
それと同時に、何故か胸の辺りがチクリと痛んだ気がする。
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そう言いながら、清寺さんは鞄から綺麗にラッピングされた袋を取り出す。
その中身は凝っていて、どうやらチョコレートのカップケーキらしく、沢山のアラザンやホイップクリームでデコレーションされていた。
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思った事がつい口から出てしまった。
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自分でも何を思ったのか、俺は自分の鞄の底からラッピングしたチョコドーナツを取り出す。
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あぁ、俺は何馬鹿な事を言っているんだろう。
思っても無いはずの言葉が次々と発せられる。
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俺って性格悪いな、と思った。
余計なお節介を焼くなんて。
ただ、板チョコを溶かして適当に固めただけの物を他人に託すなんて。
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そう。これで良かった。
俺が伝えたかった気持ちは、彼にとっては清寺さんからの気持ちになる。
それだって間違っていないのだから。
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まだ「友達」でいたいのに。