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心残り-参-(完結)

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心残り-参-(完結)

1 - 心残り-参-(完結)

2019年05月14日

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カナの家

マコト

緊張する…

タツキ

いいか?
押すぞ?

マコト

あぁ

ピンポーン

カナの母

はーい

カナの母

どなたですか?

タツキ

あ、こんにちは

タツキ

突然すみません

タツキ

ええと…カナさんは
いらっしゃいますか?

カナの母

えぇ…いますけど…

カナの母

どういった
用でしょうか?

マコト

めちゃくちゃ
怪しまれてるな…

タツキ

すみません、
実は用があるのは
自分ではないんです

カナの母

はぁ?

タツキ

あの、
これを…

手に持っていたものを差し出す

カナの母

!!

カナの母

なんでこれを…

タツキ

これの持ち主から
依頼を受けまして

タツキ

カナさんに
会いに来たんです

カナの母

タツキ

あ…あの…

カナの母

これの持ち主が
カナに会いたいと

カナの母

そう
言っているんですか?

タツキ

はい

タツキ

ただ、
その方はすでに…

カナの母

えぇ

カナの母

一昨日死にました

マコト

タツキ

信じてもらえるか
わかりませんが

タツキ

自分はマコトくんから
先ほど話を聞きました

タツキ

そして、
最期に伝えたいことが
あるとのことで…

タツキ

怪しいのも
不躾も承知しています

タツキ

ですが、
一度だけカナさんに
お会いできませんか?

カナの母

カナの母

ちょっと
待っていてください

タツキ

はい

5分後、扉が再度開いた

カナの母

すみません、
玄関先でお待たせして

タツキ

いえ

タツキ

それで、あの…

カナの母

どうぞ

タツキ

え?

カナの母

カナが会いたいと

タツキ

あ、
ありがとうございます!

マコト

カナの母

カナ

カナの母

こちらが…

タツキ

こんにちは
タツキといいます

カナ

こんにちは

カナの母

カナ、お母さん
部屋にいるから…

涙ぐんでいるように見えた

カナ

わかった

カナ

それで、
お話というのは?

タツキ

はい、
本来であれば

タツキ

マコトくん本人の口から

タツキ

伝えられるのが
一番良いのですが

タツキ

そうもいかないので

スッと封筒を差し出す

カナ

タツキ

マコトくんの代筆で
自分が書いていますが
紛れもなく本人の言葉で
書いてあります

カナへ

突然死んでしまって 僕自身まだ困惑してます。

でも、 ずっといるわけにはいかないから 成仏しようと思います。

カナ、

カナがつけてくれた 「マコト」っていう名前 大好きでした。

カナと行く朝と夕方の 川の散歩 大好きでした。

カナの投げてくれる ボールを取りに行く遊び 大好きでした。

カナが体洗ってくれるの 大好きでした。

カナと一緒に寝る布団 暖かくて大好きでした。

僕がゴロンッてしたときに ワシャワシャしてくれるの 大好きでした。

カナがギューってしてくれるの 大好きでした。

僕はカナが 大好きでした。

カナも僕のこと 好きでいてくれたら嬉しいな。

それから、 結婚おめでとう。

子供いっぱいつくって 幸せな家庭を築いてね。

カナの子供かぁ 一緒に遊びたかったなぁ。

君のお母さんと ここを散歩したんだよって 教えてあげたかったなぁ。

なんて、未練残したら また成仏できなくなっちゃうね。

さて、この手紙を読み終えている頃 僕はもうそこにいないと思います。

くれぐれも体に気を付けて、 旦那さんと幸せな 心残りのない人生を歩んで。

こっちに来るのは ゆっくりのんびりでいいから。

辛いときこそ笑顔を忘れないで。

笑顔を絶やさないで。

僕は 君の笑顔が大好きでした。

マコト

読み終えるとカナの目から 大粒の涙が溢れてきた

カナ

マコト…

カナ

マコトぉ…

タツキ

カナさん、
マコトくんは先ほど
成仏しました

タツキ

最期に一言、

マコト

今までいっぱいいっぱい
ありがとう

タツキ

…と

10分後、 カナが泣き止み、 タツキは線香をあげて 帰ることとなった

カナの母

今日は本当に
ありがとうございました

タツキ

いえ、
そんな大したことは

カナ

タツキさん

カナ

この写真持っていって
くれませんか?

タツキ

これは…
マコトくんですか?

カナ

はい、
マコトがいなくなる
一週間ほど前の写真です

タツキ

そうですか…

タツキ

嬉しそうな顔を
してますね

カナ

マコトの
こんなに嬉しそうな顔は
2枚だけなんです

カナ

いつもカメラのほうを
向いてくれなくて(笑)

タツキ

そうなんですね

タツキ

では、
ありがたく頂戴しますね

カナ

はい、
道中お気をつけて

タツキはマコトの写真を手に マコトに聞いていた 川の散歩道から帰っていった

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