零シリーズ

私達は地図を見る。

私達は立ち上がり、 ゆっくりと歩き出す。

Aiはひたすら、スマホの電源を 長押しする。

しばらく、歩くと…

ｰｰｰ彼岸湖についてｰｰｰ 日上山の山頂、大禍境にあるカルデラ湖。白い砂に覆われた美しい砂浜と、 1年を通じて湖面が霧に包まれる。 湖の奥には隠世があり、年に数回、 湖面に夕日が沈む際には霧が晴れ、 隠世と現世が繋がると言う 言い伝えがある。 逆に、死へと近づいた人は、その山に入り、隠世へ渡る子供達の霊が寂しくないように、現世の子供達を連れて行かないように、という意味が 込められている。

死者の山…ってこと？

出口を探してから約40分。

Aiが転んでしまう。

Aiは、左足を捻ってしまった。

…しかし、Aiが転んだ所は 何も無い普通の道。

どうして、何も無い所で転んだのかな？

そう思いながら、Aiの左足の状態を 確認するために、タイツを捲る。

その時に見てしまった。

左足には、身元不明の 女の人の幽霊がAiの足に しがみついていたのだから。

目が覚めると、そこは 病室みたいな部屋だった。

手探りで、懐中電灯と射影機の 生存を確認する。

身の回りを見てみる。

私達は、ロビーにある 案内図を見た。

このホテル__水籠温泉一縷荘は 1階〜4階･地下1階と地下2階が あるらしい。

ｰｰｰ水籠温泉一縷荘ｰｰｰ 1階 ロビー 2階〜4階 客室 210号室〜220号室 310号室〜320号室 410号室〜420号室 地下1階 浴場 地下2階 食事処 極楽ノ間

Mokaに聞いてみた。

Mokaは、見ての通りあまり幽霊を 怖がらないらしい。

お姉さんのMoeさんは、 めっちゃ怖がるらしいけど…