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朝の光は、昨日より少しだけ明るかった。 あたしは鏡の前で髪を整えていた。 少し伸びてきた前髪を、指で何度も触る。
あい
後ろから声。 振り返ると、愛が立っていた。 制服のリボンは、今日もきれいに結ばれている。
あい
愛は当然みたいに言う。
あい
あたしは少しだけ間を置いて、
なつめ
断る理由は、今日もない。
昼休み。 教室はうるさい。 でも愛の周りだけ、少しだけ音が落ちている気がした。
あい
愛はお弁当を開けながら言う。
あい
なつめ
あたしは笑おうとしたけどうまく笑えない。
愛はあたしの手を見ている。 じっと。
あい
なつめ
あい
少しだけ間。 でも責めているわけじゃない声。 ただ確認しているだけみたいな。
放課後。 二人で歩く帰り道。 夕方の光が長い影を作る。
あい
あい
あたしは自分の髪を触った。
なつめ
愛は少しだけ嬉しそうに笑う。
あい
なつめ
あたしが聞くと、 愛は前を見たまま、
あい
とだけ言う。 その言い方は軽い。 でも、少しだけ真っ直ぐすぎる。 かわいい、という言葉が胸の中に残る。 嬉しいのか、落ち着かないのか分からない。
駅の近く。 愛が急に立ち止まる。
あい
なつめ
愛は少しだけ近づく。 距離が、いつもより近い。
あい
愛は小さく笑って言う。
あい
あたしは一瞬固まった。
なつめ
あい
愛はすぐに笑う。 でも、その笑い方が少し遅れていた。 あたしも笑った。
なつめ
あい
愛は嬉しそうに言う。 でもまだ少しだけ、あたしの顔を見ている。
その夜。 あたしはシャワーを浴びながら、 今日の会話を思い出す。
「かわいい」 「疲れてる」 「ちゃんと食べてる?」 全部、優しい言葉のはずなのに。 少しだけ、逃げ場がない感じがする。
鏡に映る自分を見る。 まだ普通。 まだ変わってない。 そう思いたいだけかもしれない。