テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
246
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
朝、あたしは少しだけ早く教室に来ていた。 窓の外はまだ白くて、空気が冷たい。 机に頬杖をつくと、腕の内側が少しだけひやっとする。 その感覚が、なぜか落ち着かなかった。
あい
後ろから声。 振り返ると、愛が立っている。 いつも通りの顔。 でも今日は、少しだけ距離が近かった。
あい
愛は席に座りながら言う。
あい
なつめ
あたしはすぐに答えた。 でも、少しだけ間が空いたのに気づく。 愛はあたしの顔を見ている。 じっと。
あい
なつめ
あい
その言葉は軽いのに、 なぜか少しだけ重かった。 あたしは自分の腕を見る。
なつめ
あい
愛は当然みたいに頷く。
あい
その「いい」が、 何に対してなのか分からない。 でもあたしは、何も聞き返せなかった。
昼休み。 愛はあたしのお弁当を横から見ている。
あい
なつめ
あい
なつめ
愛は少しだけ首をかしげる。
あい
そのあとすぐ、
あい
と続ける。
あい
なつめ
あい
あい
あたしは笑おうとした。 でも笑い方が分からなくなる。
なつめ
あい
愛は少しだけ笑う。 冗談みたいな顔。 でも目だけが冗談じゃない。
放課後。 帰り道。 夕方の空は薄くて、光が地面に沈んでいる。
あい
あい
なつめ
あい
なつめ
あい
愛は少しだけ間を置く。 そして、
あい
とだけ言う。 軽い。 その言葉が、 なぜかずっと残る。
その夜。 あたしは風呂上がりに鏡を見る。 髪が少し湿っている。 肩の線が、いつもよりはっきり見えた。 ふと、 自分の腕に目がいく。 白い。 細い。 でもそれが「いいこと」なのか「悪いこと」なのか分からない。
翌日。 愛は何も変わらない。 リボンはきれいに結ばれている。 髪も整っている。 笑い方も同じ。 でもあたしは気づいた。 愛がときどき、 あたしの腕を見ていることに。 そしてその視線が、 「かわいい」とも 「心配」とも違う何かであることを、 まだ言葉にできないまま、 また一日が始まっていく。