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仕事終わり、急いで 待ち合わせ場所へ向かう。 直弥から「先に着いた」って 連絡が来てたから、少しでも 早く行こうと足を速めた。
だけど――遠くから見えた光景に、 俺は一瞬で血の気が引いた。
直弥が、見知らぬ男二人に 囲まれている。 しかも、そのうちの一人が 直弥の腕を掴んで、離そうとしない。 その瞬間、頭が真っ白になった。
哲汰.
気づいたら全力で走り出していた。
哲汰.
怒鳴り声とともに二人の間に割り込む。 直弥を掴んでいた男の手を、 力いっぱい振り払った。
モブ1.
哲汰.
鋭い声で言い放ちながら、 すぐに直弥の前に立って庇う。 直弥が怯えた顔で俺を見上げていて、 その震えが痛いほど伝わってきた。
哲汰.
そう言って、直弥の手を 強く握りしめる。 そしてそのまま一言も言わず、 男たちを無視してその場を離れた。
直弥.
しばらく歩いてから、直弥が小さく 息を吐くのが聞こえた。 さっきまで震えていた手が、 まだ冷たいままだ。
本当はこの後買い物に行く 予定だったけど、 今の直弥の顔を見てたら、 とてもそんな気分になれなかった。
哲汰.
直弥.
弱々しく返事をする直弥を見て、 胸が締めつけられる。
俺はまっすぐ自分の家に 直弥を連れて帰った。
部屋に入り、二人きりになった瞬間、 張りつめていた空気が緩む。
哲汰.
俺が静かに言うと、 直弥は少し潤んだ瞳で俺を見つめた。
直弥.
その言葉に胸が熱くなる。 俺なんかより、よっぽど怖かった はずなのに、 それでも俺を安心させるようなことを 言ってくれるなんて。
哲汰.
俺はそっと直弥の手を取る。 さっき男に掴まれて赤くなっている 手首を見た瞬間、怒りと悔しさが 込み上げた。
哲汰.
震える指先で、そこにそっと 唇を落とす。
哲汰.
キスをしながら、心の中で強く誓った。
直弥.
直弥が俺の名前を呼ぶ声が震えていて、 その声が愛おしくて、俺はもう一度 強くその手を握りしめた。
哲汰.
直弥に触れるのは俺だけでいいから。