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付き合ってちょうど1年が経った。 俺と颯斗は、キスまではしていたけど、 それ以上はまだ一度もなかった。
颯斗は俺にとって大切で、 無理に進めようとは思わなかった。 でも……そろそろ、 颯斗の気持ちも聞いてみたい。 そんな想いが募って、 勇気を出して口を開いた。
玲.
一瞬、颯斗が目を見開く。 驚きと戸惑いが混ざった表情。 俺も緊張で心臓が早鐘を打っていたけど、 颯斗の反応を待った。
颯斗.
少し間をおいて、颯斗は小さく頷いた。
その返事を聞いた瞬間、 嬉しさと同時に、不安が胸をよぎる。 本当に大丈夫なんだろうか―― でも、颯斗が決めたことなら、 俺は尊重しよう。
玲.
颯斗.
俺がそう言うと、颯斗は小さく頷き、 二人で寝室へ向かった。
ベッドの前で少し迷ったような 仕草を見せたあと、 颯斗はパジャマのままベッドに横たわった。
部屋には微妙な沈黙が流れる。 颯斗の上に乗る。 颯斗の顔をちらりと見た。
玲.
声をかけようとしたその時――
颯斗.
玲.
思わず呟くと、颯斗が肩を震わせて 泣いている。
玲.
颯斗.
慌てて身を乗り出す。 でも颯斗は涙で言葉が出ないみたいで ただしゃくり上げて泣いてる。
玲.
理由が分からないまま、俺はとにかく 颯斗を落ち着かせることを優先した。 そっと抱きしめて、背中をゆっくり 撫でながら、耳元で優しく囁く。
玲.
颯斗.
颯斗は俺の胸に顔を埋めながら、 まだ震えていた。 その涙が、胸の奥に深く刺さる。
玲.
そう思ったら、俺はただ強く 抱きしめることしかできなかった。