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ふと里志は訊く。
里志
愛夜子
里志
コーヒーを吹きそうになる里志。
里志
愛夜子
里志
愛夜子
里志
おなかを満たされた二人は、再び夕方までずっと互いの肌を恋しがり、離れなかった。
そうして夜の7時。ベッドで愛夜子の頬をそっと撫でながら里志が言う。
里志
愛夜子
愛夜子は髪の毛をとかしポニーテールに結んだ。赤いミニのワンピースに着替えた。それはリボンがあちこちに施されたキュートなデザインだ。そうしてメイクを直した。深く愛し合ったので、お化粧は汗で取れていた。 里志は、こんなカワイ子ちゃんを連れ歩くのが、正直言って鼻が高い。
里志
里志が、メイクをしている愛夜子に尋ねた。
愛夜子
里志
愛夜子
里志
愛夜子
***
車に乗り込み、街灯りの中を二人は行く。途中、ルーリラの前も通った。歓楽街を外れ、少し車を走らせた幹線道路沿いにそのお店はある。
店に到着。 店内に入るとメニューを開いた愛夜子はすぐ閉じた。
里志
愛夜子
里志
*
――――またフラッシュバックした。 山あいのトンネルの中、麻矢子が運転する車の後部座席に愛夜子が乗っている。 トンネル内のオレンジの灯りを見て「飴みたい」と愛夜子がつぶやいた光景が。
*
愛夜子と里志は笑い合い「おいしいね」と喜んで、素晴らしいお夕飯を食べた。 ちなみに里志は天津飯と唐揚げを食べた。
愛夜子
スリムな愛夜子のおなかだけがちょっぴりプクッとしているような……。里志も満たされている。愛夜子といると全部が満たされる。
愛夜子
と愛夜子。
里志
愛夜子
と言って笑う愛夜子。
胸を締めつけられ、里志は束の間なにも言えない。が、口を開く。
里志
愛夜子
こんなに怒った顔を初めて里志に見せた愛夜子。
愛夜子
里志
愛夜子
里志
愛夜子は涙をため、言う。
愛夜子
里志
愛夜子
と言いかけ、黙る愛夜子。
愛夜子
望子と中途半端なままの自分になにが言えるだろうかとハッとする里志。
里志
胸がヒリヒリする。あたしは、自分の嫉妬心に負けたくない。悲しい
愛夜子
瞳にたまった涙がついには溢れ出す愛夜子。
二人静かに車に乗り込んだ。 沈黙の中神妙な面持ちの二人。
――――なぜだろう? 今、愛夜子の脳裏に見えた。風車を吹き、クルクル回し、キャッキャと笑う座敷童。
***
愛夜子のマンションに着くと21時を回っていた。
愛夜子
助手席を降りようとする愛夜子。
里志
すぐそこのパーキングへ里志は車を停めた。
二人は歩く時くっつき過ぎ、時々バランスを崩した。
「クスッ」と笑うが、夜にその声は吸い込まれ、やがてシャボン玉のように消える。
――――玄関に着いた。鍵を開け二人で部屋に入る。
愛夜子も里志も溜まり切った水瓶の水が溢れるかのように口づけを始めた。愛夜子の肌を大切に触る里志。愛夜子は両手を、里志の腰に当てた。瞳を閉じのけぞって行く。 神秘的な愛夜子はそのまま芸術作品になってしまいそうだ。
愛夜子
小さく言葉にする。
里志
愛夜子
名残り惜しそうな里志。しかし、明日は仕事だ。
里志
里志はまた、お店に来るかもしれないな
愛夜子はそう思った。自分が嫌だと言ったけれど、里志も嫌と言い、独り占めしたいと言った。
早く、彼女と別れて欲しい
それが愛夜子の正直な願いだ。
***
――――里志が帰宅すると、玄関の外に望子が立っていた。
里志
望子
里志
黙ったままの望子。 二人はキッチンの椅子に腰かけた。
里志
黙っていた望子が火を噴くようにしゃべり始めた。
望子
里志
望子
震えながら大声を上げた里志。
里志
自分自身の大きな声に里志は驚いた。
里志
望子
里志
望子
里志
望子は興奮し、黙ってはいない。
望子
里志
望子
しかし、今望子をこれ以上興奮させたくはない。心身に負担を掛けたくはない。 適当に出来ない不器用な里志だ。
望子
猫なで声をした後、鬼の形相で里志を睨みつける望子。
***
愛夜子にああは言ったが、大金持ちでもない里志。足繁くルーリラに通えるわけではなかった。
切ない……。愛夜子のそばにいたい
そう切望する里志のもとに、望子が3日に1度は押しかけて来た。
まるでお腹の子が人質じゃないか。望子の気は確かなのか
辛い毎日を送る里志。もちろん望子だって辛いことだろう。 今のままでは、愛夜子・里志・望子・望子のお腹の子、皆が幸せではない。 里志にとっては、望子と休日が重ならないことが救いなぐらいだ。
里志と愛夜子は毎晩電話でおしゃべりをした。
愛夜子
里志
甘い吐息。
明日は、愛夜子の休日である水曜日と、里志の休日である祝日が重なる。もちろん里志は愛夜子の自宅へ訪れる。愛夜子もデートを待ち焦がれているのだ。 明日、愛夜子に逢えると思うと仕事もハッスルする。
塚本
里志
塚本
里志
塚本
里志
里志は思う。自分が塚本だったら、この宙ぶらりんな三角関係も旨くすり抜けられるのだろうかと。が、そんなことを考えたところでどうしようもない。 自分は自分だけだ。
***
ピンポ~ン。 ガチャリ。
愛夜子
里志の首に懸命に腕を回し顔をくしゃくしゃにして喜ぶ愛夜子。ルーリラでのしとやかなドレス姿の淑女は今、恋しい人の前で少女と化している。 愛夜子の括れたウエストに両腕を巻きつけ離さない里志。胸いっぱいにフローラルの匂いを吸い込む。 愛夜子の長い髪が揺れる度にため息のように零れる香り。
里志
愛夜子
里志の顔に疲れが滲んでいるのを見逃さない愛夜子。
お仕事……? 彼女さんのことね、きっと
柔らかに体を離しリビングへ向かう二人。ソファーに並んで座った。
愛夜子
里志
愛夜子
里志に甘え、もたれかかり、愛夜子はそう言った。
里志
愛夜子
愛しい愛夜子がそう言おうとも、里志はタバコをくゆらせ、言えずにいた。が、コーヒーを一口飲み口を開いた。
里志
愛夜子
里志
――――里志の言葉を聴いた直後、積み上げたプラスティックの積み木の前で暫く呆然とし、その後積み木を激しく叩くように倒す、幼い愛夜子が愛夜子には見えた。
愛夜子
里志の予想よりも、愛夜子は落ち着いている。
里志
深く頭を下げる里志。
愛夜子は恐ろしいほどのジェラシーの炎に焼き尽くされそうだ。 里志の耳たぶにかじり囁く。
愛夜子
里志は愛夜子の火の粉が燃え移ったかのようにメラメラと燃え出し、ソファーで即座に愛夜子を愛した。
――――愛夜子にだけではない、里志の胸にもどこからなのか、聴こえて来る、リストの『ラ・カンパネラ』
二人は焼き尽くすかのように互いを確認した。