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愛し合った後、大きな手で愛夜子の肌を優しく撫でる里志。
愛夜子
里志
愛夜子
里志
それを聴き、わっと泣き出す愛夜子。
愛夜子
里志
愛夜子
里志
愛夜子
興奮している愛夜子に尽くす里志。 部屋着を着せてもらった愛夜子。里志も、愛夜子が準備していた部屋着を着た。 二人はソファーに座り直した。
里志
愛夜子
里志
愛夜子
里志
愛夜子
と愛夜子が心配そうな顔をする。
里志
愛夜子
愛夜子はヤキモチ焼きだが、大人が子どもを傷つける行為に並々ならぬ怒りを憶える。 それは恐らく、自身が被虐待者だった記憶が刺激されるからだろう。
愛夜子
里志
愛夜子
溶岩が流れ出るようにほとばしる愛夜子の激情。悲しさ。 愛夜子が続ける。
愛夜子
項垂れるばかりの里志。
こんなに愛しているのに
互いが今、そう感じている。
愛夜子
里志
愛夜子
狂ったように泣きじゃくる愛夜子。
こんな愛夜子は初めて見た里志。必死で愛夜子を抱きしめる。殴りつけるように振り払う愛夜子。 次第に、里志の包み込む力に負けて崩れ落ちた。
愛夜子
里志
愛夜子はもう泣いていない。心配でしょうがない里志。今にも風のようにどこかへ行ってしまいそうな、愛夜子の儚さ。
愛夜子
落ち着きを取り戻し、玄関まで里志を見送る愛夜子。
力なくつっ立っている愛夜子を、何度も何度も抱きしめる里志。
里志
つい里志の口から出た言葉。
愛夜子
愛夜子が返事をする。
里志
愛夜子は、里志が帰れば眠剤をしこたま飲んで記憶を失くすつもりだった。
愛夜子
今日は里志がお夕飯を作った。野菜炒めとご飯だけだ。 無邪気に大喜びする愛夜子。
嬉しい。里志が好き。好き。好き!
それから二人は、なにをするともなくテレビをボーっと眺めたりした。ずっと離れないで。 愛夜子は、里志と朝を迎えられることにときめいている。
里志
愛夜子
ニッコリ笑う里志。
里志
*
――――小学生の頃、母がバタバタとドレスに着替え夜の店に出勤して行く姿をじっと見ていた自分を思い出した愛夜子。
*
愛夜子
里志
ソファーで隣に座っている愛夜子に「おいで」と言い、向かい合わせで膝に愛夜子を乗せさせる里志。
里志
愛夜子
里志の胸にしなだれかかる愛夜子。
里志
――――愛夜子と里志は、休日になるとどんどん愛を深めて行った。
***
望子は日に日に、里志を待ち伏せするペースが減って行っていた。それでも週に1度はやって来る。
望子一人の体であれば、里志は部屋にもう入れない。無情なようだが。しかし今望子のお腹には子どもがいる。部屋に上げざるを得ない。
里志が仕事から帰宅すると、また望子がいた。 望子が力無く口を開いた。
望子
里志
望子
里志
望子
望子は泣いている。里志も胸を痛めている。
望子
里志
望子
里志
望子
里志
望子が言う。
望子
里志
頭を下げる里志。
望子
そう言い残し望子は足早に去って行った。
望子は、無論中絶など選ぶ気がない。お腹の子は日に日に育って行く。
そんな中であっても、愛夜子と里志の愛は昇りつめて行こうとする。止められない。
愛夜子は望子の子どものことを思うと辛くて胸を締めつけられるのだった。 殺伐とした家庭の中で虐待を受けながら育った愛夜子には、子どもへの並々ならぬ想いがある。
子どもは絶対に大人の穢さに傷つけられてはならないのだ。子どもを守るのは大人の責任だ
と。
それは、愛夜子が精神科に通い始めた頃から感じ始めたことだ。
かつて愛夜子に親身になってくれる女性の友人がいた。友人といっても麻矢子と同じぐらいの年代の幸子(さちこ)という名の女性だった。
愛夜子は風俗嬢になるまで、いくつか仕事を経験している。幸子とは、勤務先のパン工場で知り合った。
愛夜子の感情の激しさや、浮き沈みが大きいこと、勘繰りがあまりにも酷く、他者への脅えが甚だしいことを心配し、幸子は愛夜子に言い聞かせ精神病院へ連れて行ってやったのだ。
診断名は当初『PTSD』『境界型人格障害』『強迫障害』など、カルテに沢山の名前が記されていた。現在は『双極性障害』とされている。 愛夜子は、這って生きて来た。とても、病状は回復しているのだ。
愛夜子が精神科に通い始めてから13年の月日が流れている。 その間、閉鎖病棟へも数回入院しているし、自殺企図を行い数回ICUに運ばれ死にかけている。
里志には言っていない。通院のことも、精神薬と眠剤が必要なことも、病ゆえの凄惨な過去も。話したいなとは思う愛夜子だ。 それで里志に嫌われるなど考え付かない。
ただ、望子と別れられず苦しんでいる里志に今、これ以上気を揉ませたくないと感じている。
愛夜子は、根無し草のように流れ流れて都心の歓楽街に辿り着いたのだ。
里志に性虐待以外の重い過去を告げることなく、時間が過ぎて行った。
告げずとも、目いっぱい気にかけてくれる、里志は。思い遣ってくれる、あたしを
愛夜子は、望子の存在を、赤ちゃんの存在を気にしつつも、里志の細やかな愛情に包まれ満たされてもいる。
***
里志
愛夜子
里志
愛夜子
里志
愛夜子
――――愛夜子はその夜、ポエムを詠んだ。
『 溺愛 』 あたしに生えている紅い鱗 1枚ずつはがれゆく あなたに恋したから あなたはそれを きっと知らない 出逢ってからこれまでも ずっとあたしが裸に近づいてゆくこと 痛みを伴う 痛みを伴う 痛みをともなう…… それでもそれよりも ほしい気持ち、あなただけを そうやって、そんな顔してハンドル握ってる横顔 この鱗よりも頬を赤らめて いつも見つめていることを知っているのよね あなたっていじわるなのね 愛しさが刺さる 愛しさが刺さる 愛しさがささる あたしはつい、この間とうとう丸裸にされました 鱗がないから泳げません 鱗がないから外敵の餌 食鱗がないから帰れません 肌だけになったあたしは 美しいですか? ほんとうだけを云っても きらいませんか? 鱗がちぎれた体に 涙がしみる このまま 抱いていて、このまま抱いていて このまま抱いていて あたしはあなたに鱗を捧げました おねだりなんてしません ただ このまま抱いていて
***
やって来た休日。里志が愛夜子のマンションを訪れる。 ピンポーン。
愛夜子
ガチャリ……。
愛夜子
笑みが零れる愛夜子。
里志
愛夜子
里志
二人、車に乗り込み、フレッシュなデートの始まりだ。 車内でも微笑みの絶えない愛夜子。
愛夜子
里志
愛夜子
里志
愛夜子
まるで大人に褒められた子どものように笑う愛夜子。
わくわく顔で愛夜子が言う。
愛夜子
里志
愛夜子
そよ風に揺らぐ花のようにはしゃぐ愛夜子。
愛夜子は興味津々に車窓から流れ行く風景を眺め、次々と発見をしては里志に伝える。
愛夜子
愛夜子
愛夜子
と感嘆した時には、今日一番の声の大きさだ。
里志の表情はいつも穏やかで、愛夜子を包み込む。
あたしは里志が大好き! 里志はとっても素敵だから、あたし、ふさわしくあるようもっともっと綺麗になりたい
里志
愛夜子
里志
愛夜子
愛夜子は青い水平線に見惚れ黙っている。
少し車が行くとパーキングへ停まった。
水族館も楽しみ!
里志
愛夜子
車を降り、二人は手を繋ぎまずは水族館へ。
大きな水槽の中、魚たちの大群が渦を巻き一つの方向へ向かう様は圧巻だ! 人間が深海にいる気分。
変わったカタチの魚もおり、水槽の下のほうには説明書きが書かれている。
あたしの写真もこんな風に展示されているのだわ、ルーリラで……
ふとそんなことを考え付いた愛夜子。
里志は、先を急がず一種類の魚の前で、じ――――っと立ち止まり暫く観察する。それも、愛夜子にとってはおおよそ地味な魚だ。そんな里志が心から可愛いと想う。
愛夜子
愛夜子のその声に、ようやくゆっくり歩き始める里志。
愛夜子
海月のコーナーはまるで銀河の中にいるかのようだ。照明は暗く、愛夜子の目には、漂う神秘的な海月たちが愛夜子よりも年寄りの賢者に見えた。
愛夜子
大はしゃぎの愛夜子。色・形・大きさ様々な海月たち。里志も魅せられている。 愛夜子は目を丸くし見入っている。 海月は、エロティックで、美しい。
――――愛夜子の脳裏にクルクル回り、色を変え行く万華鏡の中身が浮かぶ。