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懐中時計

よう、機械式

機械式腕時計

何か用ですか、
懐中時計先輩

懐中時計が声をかけると、 機械式腕時計は顔をしかめつつ 言った。

懐中時計

敵対してても先輩扱い
してくれんだな
嬉しいよ

機械式腕時計

……今更他の呼び方
なんてできませんから

彼女はそう言ってそっぽを向く。

懐中時計

釣れねぇなぁ

機械式腕時計

早く本題に
入ってください

懐中時計は肩をすくめると、 用件を口にした。

懐中時計

どうしておまえが
自ら敵になったのか
教えてくれねぇか?

機械式腕時計

何故先輩に言う必要が

懐中時計

俺がおまえの
先輩だからだ

彼の回答に機械式腕時計の 目つきが変わる。

しかし懐中時計は敢えて それを指摘しなかった。

誤魔化されるのを わかっていたからだ。

機械式腕時計

……クオーツには
言いませんよね?

懐中時計

言うか否かは
聞いてから決める

それを聞いた彼女は 溜め息を零し、語り始めた。

機械式腕時計

怖かったんです
人々に必要と
されなくなる時代が
来るんじゃないかって

懐中時計

それで弟を手に
掛けようとしたのか?

懐中時計の問いかけに 機械式腕時計は首を横に振る。

機械式腕時計

そんなことはできません
そもそもするつもりも
無かったんです
私はただ、憧れる姉は
もういないと
クオーツに思い知らせる
つもりでした

懐中時計

それはまたどうして

機械式腕時計

私は、機械式腕時計
としての生を
終わらせたいと思って
います
どうせいつか消える
のなら、今ここで
終わらせてしまおうと

懐中時計

……敵対したのは
クオーツに止められる
から、だったんだな

機械式腕時計は小さく頷いた。

懐中時計

馬鹿言うな!
そんなこと俺だって
許さねぇよ!!

怒鳴った懐中時計は 腕を震わせていた。

対する機械式腕時計は 無言で俯いている。

懐中時計

確かに俺達アナログ時計
の需要は減っているかも
しれない
だがそれでもまだ必要と
されてるんだ!
自分の生を軽々しく
扱うな!!

機械式腕時計

……すみません

懐中時計

だが、その考えをすぐに
変えるのはおまえの
プライドが許さねぇだろ
考え直す時間はやるよ

機械式腕時計

感謝します

懐中時計

ただし、それでも自分を
貫くならこっちも
容赦しねぇ
意地でもこっちに
引き戻してやる

機械式腕時計

……わかりました

懐中時計が去った後、 機械式腕時計は苦しそうに呟いた。

機械式腕時計

嫌なんだよ、間近で
優秀な弟の姿を
見ているのが
だから離れたのに……!

その言葉は陰で様子を見ていた クオーツの耳にも届いていた。

ときざみ〜時を刻み進む者達〜※一旦更新停止中

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