クオーツ式腕時計
苦しんでいたなんて……
モニュメント時計
お坊っちゃんじゃない
大時計
してどうしたんだい?
俯きながら歩いていたクオーツは、 突如聞こえた二つの声に 顔を上げた。
クオーツ式腕時計
大時計さん……
二人の横にいるもう一人の男性が 口を開く。
柱時計
何かあったようですね
クオーツ式腕時計
実はさっき姉さんの
本心を聞いて
しまったんです
モニュメント時計
クオーツ式腕時計
弟の姿を見るのが嫌で
離れたのに』って
大時計
君に嫉妬していたわけだ
要約した大時計の横で柱時計が 気難しそうな顔であごに 手を添える。
柱時計
充分優秀なんです
がねぇ……
クオーツ式腕時計
姉さんは強くて
かっこよくて、
ずっと僕の憧れなんです
モニュメント時計
周りがあなたを
ちやほやし過ぎ
ちゃったのかしら
モニュメント時計が言うと、 大時計も頷いた。
大時計
それが彼女の嫉妬に
繋がったのかもしれない
柱時計
このままではクオーツの
ことを傷つけてしまう
だろう
そう思ったから
離れたのでしょう
クオーツ式腕時計
正解なんですか?
クオーツが尋ねるも、 三人は黙ってしまった。
答えることができないのだ。
クオーツ式腕時計
不幸にすることしか
できないんですか?
柱時計
真っ先に否定したのは 柱時計だった。
柱時計
わかり合える道が
あるはずです
モニュメント時計
同じ時計の仲間である
ことに変わりはないもの
大時計
君の思いはお姉さんにも
伝わるはずだ
クオーツ式腕時計
クオーツは彼らに礼を言って その場をあとにした。
そして決意を口にする。
クオーツ式腕時計
僕は姉さんのこと
全然知らなかった
だからもっと知りたい
姉さんの気持ちとか
ちゃんと理解して、
その上で一緒にいたい
???
クオーツ式腕時計
誰??
声のした方を見るも、 誰もいなかった。
クオーツ式腕時計
目覚まし時計
首を傾げるクオーツのもとに、 別方向から声が飛んでくる。
クオーツ式腕時計
目覚ましじゃないか
目覚まし時計
一緒に帰ろうよ!!
クオーツ式腕時計
そして二人は仲良く帰るのだった。