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調理室に戻ると, 甘い匂いがまだ残っていた。 換気扇は回っているのに, 完全には消えていない 康平は,何も言わずに エプロンを外す その動きが,いつもより近い。 蓮音は,作業台の端に立ったまま, 視線を落としていた
康平
蓮音
康平
そう言って, 康平は自然に蓮音の横に立つ。 肩が触れそうで,触れない距離 ボウルを流しに運ぶとき, 康平の腕が蓮音の背中側を通る 一瞬、空気が詰まった
康平
言いながら,軽く手を伸ばす。 触れたのは,蓮音の肘の少し下 ほんの一瞬。でも,確かに触れた 蓮音は息を止めたまま, 動けなかった
康平
言い方は軽い。本当に,ただの 動線の問題だったという声
蓮音
返事はしたが,喉が少し詰まる 康平はもう次の作業に移っている。 引きずっていない。気にしていない だから余計に, その「何でもなさ」が,重い
康平
洗ったボウルを伏せながら, 何気なく言う
康平
蓮音の手が止まる
蓮音
康平
あっさりと,結論を出す
康平
それだけ。 理由はそれだけなのに, 胸の奥が,じわりと熱くなる
蓮音
康平
蓮音
康平は首を傾げるが, 深追いはしない。 代わりに, 少しだけ距離を詰めて,覗き込む
康平
その距離で,それを言う。 蓮音は,反射的に視線を逸らした
蓮音
康平
一歩,下がる。 でも,完全には離れない
康平
蓮音
蓮音
蓮音