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⎯⎯目が覚めると、部屋にいた。

机と椅子だけがある、窓のない部屋。

ルリ

(ここはどこだろう…)

そこは見覚えがなく、やたら静かだった。

気味が悪い程に、静か。

聞こえるのは自身の呼吸音のみで、何の情報も得られそうにない。

一応、出入口らしき扉を開けようと試みるも

当然のようにビクともしない。

仕方なく私は直前の事を思い出してみる事にした。

ルリ

(ここに来る前……何してたんだっけ。)

教師

以上でHRを終わろうと思う。

教師

学級委員、号令。

女子生徒

きりーつ。

女子生徒

きをつけ。

女子生徒

れーい。

『ありがとうございましたー。』

挨拶の直後、教室はいつもの喧騒に包まれる。

私もいつも通り帰宅の準備をしていた。

ミユキ

ルーリちゃん!

ルリ

…ミユキ。

ミユキ

今日も一緒に帰ろうよ〜!

ルリ

もちろん。

ミユキ

やった〜!ルリちゃん大好き!
らぶちゅっちゅ〜!

この子はミユキ。

中学の頃に仲良くなって以降、 一番の仲良し。

運良く高校も同じ学校に行けて、 クラスも同じになれた。

それからは毎日、 朝から帰りまで一緒に行動してくれている。

ルリ

あ、でも

ルリ

欲しい新刊があって……
途中で本屋さんに行ってもいいかな?

ミユキ

もっちろんいいよ!

ミユキ

でもその分、終わったら私の用事も付き合ってよね〜!

ルリ

ミユキもどこか行きたい所があるの?

ミユキ

行きたい所……

ミユキ

まあ、そんなとこかな!

ルリ

どこに行きたいの?

ミユキ

ふっふふ〜ん!それはナイショ!

ルリ

?…そっか。

ルリ

(普段隠し事なんてしない子なのになぁ。)

ミユキ

まあまあ!そんな無駄話は置いておいてさっ!

ミユキ

早く行こう!

一つ頷けばマフラーを首に巻き、 扉へと向かう。

いざ出ようと扉に手をかけた時、

私が開けるよりも先に扉は開いた。

目の前にいたのは……

ツツミ

あ。

ミユキ

およ?

ミユキ

ツツミじゃ〜ん!

ルリ

どうしたの、何か用?

ツツミは私の幼馴染。

クラスは違うけど、 何かと理由をつけては遊びに来る。

ツツミ

そうそう、ルリに用事。

ミユキ

おっと〜?
一体なんの用事なのかなあ〜?

ツツミ

バカ、別に普通の用事だ。

ミユキ

バカとは失敬な!?

ルリ

……それで、何の用事?

ツツミ

例の新刊なんだけどよ。

ツツミ

間違えて二冊買っちまってさー、

ツツミ

まだ買ってなかったら貰ってくんねーかなって。

ミユキ

二冊買うなんて、そっちの方がバカじゃ〜ん!

ツツミ

うるせー。

ルリ

本ならまだ買ってないよ。

ミユキ

これから買いに行くんだもんねー!

ルリ

そう。

ルリ

今細かいお金持ってないし、
明日本と交換しよう。

ツツミ

お、マジ?

ツツミ

全然払ってくれなくてもいいんだけどよ。

ルリ

ううん、最近本も高いし。

ルリ

払うよ。

ツツミ

そう言うならまあ。

ツツミ

助かるわ。

ミユキ

いやぁ〜、ルリちゃんが優しくって良かったね!

ミユキ

感謝しろよ青二才〜!

ツツミ

だ〜ッ、どこ目線だよお前!

ルリ

…ふふ、

ツツミ

!?

ミユキ

ルリちゃん笑ってるの!?

ルリ

えっ……うん、

ツツミ

こりゃ珍しい事もあるもんだな。

ミユキ

今日はラッキーデーだね〜!

ルリ

そんな大袈裟な…

そんな雑談をした後、チャイムの音が鳴り響く。

下校時刻だ。

ミユキ

あっ

ミユキ

もうこんな時間だね?

ルリ

ツツミ、用事は終わった?

ツツミ

ああ。

ツツミ

他は特にねーよ。

ルリ

じゃあ、私達は他にも用事があるから。

ミユキ

まったね〜!

ツツミ

おう、また明日。

ツツミとはそれで一旦別れた。

ミユキ

それでさ〜、

ミユキ

あの時のツツミったら本当におかしくって〜!

ルリ

そんな事があったんだ。

ルリ

ミユキとツツミは仲良しだね。

ミユキ

全然!

ミユキ

ルリちゃんほどじゃないよ〜!

ルリ

そうかなあ。

いつも通りミユキと雑談しながら下駄箱までやってくる。

すると、どこからか着信音のようなものが鳴った。

反射的に自身のスマホを確認するも、 私のものではない。

ミユキ

あっ!

ミユキ

ごめん!ルリちゃん!

ミユキ

ちょっとだけ出てきてもいい……?

ルリ

…うん、いいよ。

ルリ

行っておいで。

ミユキ

ありがとう!

どうやら音の発信源はミユキのようで、 しかも電話のようだった。

人の迷惑にならないようになのか、 人気のない階段室へミユキの姿が消えていく。

⎯五分、

⎯⎯十分、

通話は案外長く、待つ事に飽きた私は近くの掲示板でポスターを眺めていた。

ルリ

(そこからの記憶がない……)

ルリ

⎯⎯そうだ、荷物。

そこまでの記憶が正しければ、 私は帰宅しようとしていた。

通学鞄等を持っていた筈だが……

ルリ

これ、かな?

机の引き出しに私の鞄が詰め込まれていた。

そのぺっちゃんこな様子から、 教科書等の中身はないのだと悟る。

それでも一応、確認だけはしておこうと 引き出しから鞄を抜き、中身を確認すると

ルリ

やっぱり空っぽ……

ルリ

中身が抜かれてるって事は何か事件に巻き込まれたって事なのかな。

さっき扉を開けようとしたところで気付いた事をふと思い出す。

その扉は分厚く、ノブがやけにしっかりしていた。

音楽室なんかに使われるような扉……

恐らく、この場所は"防音室"なのだろう。

音の聞こえ方がいつもと違うのも納得した。

また、もう一つ気づいた事がある。

ルリ

頭が痛い……

鈍痛、と言えばいいのだろうか。

普段の頭痛とは違って、鈍く続く頭痛。

記憶がイマイチ鮮明でないのも、 もしかしたら誰かに殴られたからかも……

ルリ

なんて、本の読み過ぎかな。

ルリ

(でも明らかに異常な環境だし)

ルリ

(何か出来る事はないかな…)

そんな風に考えて、 今度は自身が身につけてる物を確認する事にした。

暫く自身の身体チェックを行うと、 ポケットにある物が入っている事に気付いた。

ルリ

ルリ

……これならもしかして助けを呼べるんじゃ?

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