涼宮 明菜
焦らなくても良いのに、私は、何故かとても早足だった。
途中で止まって、息を整え、走ってを繰り返した。
数分して、蘭の家に着いた。
涼宮 明菜
近くの電柱に片手を当て、なんとか立つことができた。
涼宮 明菜
下を向きながら、息を整え、ベルを押す準備をした。
大丈夫。
いつものように、蘭が顔を出す。
それで、私の所に駆け寄ってきてくれて
「どうしたの?」って、不思議そうに首を傾げる。
絶対、今日も同じだ。
絶対。
ピーンポーン
何故か、足の震えが止まらなかった。
ちゃんと力を入れているのに、ふらついてしまう。
怖い。
本当は、とても怖い。
もしかしたら、死んでるかもしれ…
ばかばか!
なんでそんな事ばっかり考えるの!
いつもどうり、蘭が出てくる。
そうだよ。
手をぎゅっと握り、ドアを見つめた。
ごくり
自分の唾を飲み込む音が聞こえる。
蘭、お願い。
出てきて。
蘭のお母さん
涼宮 明菜
蘭のお母さん
出てきたのは、蘭ではなく、蘭のお母さんだった。
涼宮 明菜
蘭のお母さん
蘭のお母さんが出てきたからといって、蘭が居ないわけじゃない。
聞けば、「ちょっと待ってね♪」と言って、呼んでくれるだろう。
涼宮 明菜
蘭のお母さん
涼宮 明菜
涼宮 明菜
蘭のお母さん
蘭のお母さんは、急に表情を変えた。
涼宮 明菜
涼宮 明菜
涼宮 明菜
とっさに出た声は、震えていた。
早口で、信じたくないってことを表していた。
足の震えが、さっきより大きくなっていた。
蘭のお母さん
なんで黙るの…?
なんで、呼んできてくれないの?
なんでそんなに
悲しい表情をしてるの?
それから少し経って、蘭のお母さんが口を開けた。
蘭のお母さん
涼宮 明菜
声が、さっきよりも少し暗い。
蘭のお母さん
無理矢理にでも作ろうとする笑顔を見るのが、とても辛かった。
涼宮 明菜
私は、小さな返事をした。
涼宮 明菜
蘭の家は、伝統を大切にしている家で、部屋のほとんどが和室だそうだ。
この間、蘭から聞いた。
蘭のお母さん
涼宮 明菜
蘭のお母さんが、押し入れから座布団を出してくれた。
とても高価そうな物で、座るのが緊張してしまう。
涼宮 明菜
蘭のお母さん
台所に行こうとする蘭のお母さんに、ぺこりとお辞儀をした。
あ、そうだ
親に連絡しないと。
お母さん
涼宮 明菜
涼宮 明菜
涼宮 明菜
これで、親に心配をかけることはない。
蘭のお母さん
数分が経った後、湯呑みをお盆に乗せ、持ってきてくれた。
蘭のお母さん
涼宮 明菜
湯呑みを両手で持ち、中を覗いた。
蘭のお母さん
中には、温かい緑茶が入っていた。
涼宮 明菜
涼宮 明菜
蘭のお母さん
蘭のお母さん
蘭のお母さんは、そう言いながら、にっこり微笑んだ。
その笑顔が、蘭の笑顔と重なった。
涼宮 明菜
蘭のお母さん
涼宮 明菜
涼宮 明菜
温かい緑茶が、冷たい体に染み渡る。
涼宮 明菜
美味しい…
2口、3口と飲み、そっと机の上に置いた。
涼宮 明菜
涼宮 明菜
蘭のお母さん
涼宮 明菜
涼宮 明菜
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