陽平
彼女と別れた
旭
え?なんで?
陽平
浮気してた
旭
うそだろ?どんなやつと?
陽平
知らねぇ。知りたくもねぇし
旭
まあ…それならいいんだけど
旭
どういうふうに浮気してたんだ?
旭
男と連絡取り合ってたとか?
陽平
それよりもっとひどい
旭
何があったんだよ
陽平
今から俺の家に来いよ
陽平
詳しい話はその時な
旭
1つ確認したいんだけどさ
旭
別れた彼女が荷物を取りに
旭
家に来たりしないよな…?
陽平
その心配はいらねぇ
陽平
あいつの荷物はねぇし
陽平
合鍵も玄関ポストの中に
陽平
入れといたっていう連絡が
陽平
あったくらいだからな
陽平
俺の家には近寄らねぇだろう
旭
それだったら大丈夫そうだな
旭
わかった。すぐ行く
僕は陽平の家のチャイムを押した
旭
(…あれ?反応がない…)
旭
(着いたって連絡したのに)
旭
(寝てるのかな…)
僕は窓から部屋の中をのぞく
旭
(なんだこのお酒の量!?)
旭
(どう見ても飲み過ぎだ!)
旭
(それで意識を失ったのか)
旭
陽平!!大丈夫か!?
僕は玄関の扉をドンドン叩いた
旭
(…ダメだ、返事がない)
旭
(どうしよう…そうだ!)
旭
(彼女は玄関ポストの中に)
旭
(合鍵を入れていったはず)
旭
(あった!これで…)
旭
(開いた!!)
旭
陽平!大丈夫か!?
陽平はテーブルに突っ伏している
陽平
ん?…旭か?
陽平
悪りぃ。飲み過ぎたみてぇだ
旭
わかってる。水持ってくるよ
水をゴクゴクと飲み干す陽平
陽平
はぁ〜。生き返った〜
旭
ったく、アル中でぶっ倒れてるのかと思ったよ
陽平
助かったよ。ありがとな
旭
別にいいって。あ、そうそう
僕は陽平に鍵を返した
陽平
美月のか
旭
そんな嫌な顔をしなくても
旭
一体どんな別れ方をしたのさ
陽平
この写真を見てくれるか
陽平
新聞配達中に偶然見かけたって
陽平
昴が撮って送ってくれたんだ
それは、ビルの前で男女がキスをしている写真だった
旭
これは…黒だね
旭
男の方の顔はよく見えねぇけど
旭
女の方は…
旭
陽平の彼女だろ?これ
陽平
ああ。間違いねぇ
陽平
あいつも認めやがった
旭
それは別れたくなるね…
陽平
だろ!?許せねぇよ!!
陽平
おまけに、俺に隠れてキャバ嬢やってたんだぞ!?
陽平はテーブルに拳を叩きつける
旭
今日突然こんなことになって
旭
気持ちはわかるけどさ
旭
こんなに酒飲むのはよくないよ
旭
少し冷静になって考えてみたらどうだ?
旭
どうせカッとなって怒鳴っちゃったんだろ?
旭
キャバ嬢やってたのも、なにか理由があるんじゃない?
旭
お前は…
旭
…後悔、してるんじゃないのか?
旭
もう一度、ちゃんと考えて話し合った方がいい
陽平
…ああ。お前の言う通りだな
陽平
美月とのこと…ちゃんと考える
旭
ははっ…あはは…
旭
はーっはっはっはっはっ!
僕の高笑いが辺りに響き渡る
旭
(すっかり騙されてやんの)
旭
(陽平はいいやつだもんな)
旭
(友達は疑ってないか…!)
旭
(でも残念だったな陽平)
旭
(美月ちゃんの浮気相手は)
旭
(この僕さ…!!)
僕はニヤリと笑った