これはとある秋の切ない兄妹の物語である
零
よお、犀華
犀華(せいか)
おはよう、お兄ちゃん
犀華(せいか)
あのね、今日は大切な話があるの
零
ん?どうした
犀華(せいか)
あのさ、お兄ちゃん、私って昔から体が弱いでしょ?
犀華(せいか)
それでね?
犀華(せいか)
私、病院で後寿命が7日だって言われたの
零
え?
零
嘘だろ
犀華(せいか)
ほんとだよ、お兄ちゃん
零
っ!!
犀華(せいか)
ごめんね
零
謝らないでくれ、お前は悪くない
零
俺に後7日間、してほしいことはあるか
犀華(せいか)
お兄ちゃん、、、
犀華(せいか)
なら、7日間一緒にいてくれない?
零
そんなんでいいのか
犀華(せいか)
うん、最後まで二人で日常を過ごしたいの
零
そうか、分かった
その後から二人はずっと一緒に過ごしていた
そして犀華の寿命が尽きるといわれた日
犀華(せいか)
あのね、お兄ちゃん
犀華(せいか)
最後に行きたいところがあるの
零
どこに行きたいんだ?
犀華(せいか)
付いてきて
零
分かった
・・・
零
ここは、、、
零
金木犀がたくさん・・・
犀華(せいか)
綺麗でしょ
零
ああ
零
なんでここに来たかったんだ?
犀華(せいか)
お兄ちゃん、覚えてないの?
零
え?
零
なんのっ、ってここは!
8年前
零
おい、犀華お前に見せたいものがあるんだ
犀華(せいか)
ん?、どうしたのお兄ちゃん
零
いいから、着いてこい
・・・
犀華(せいか)
ここは!
零
お前、金木犀好きだったろ?
犀華(せいか)
!!
犀華(せいか)
お兄ちゃん、ありがとう
犀華(せいか)
ずっと覚えてるね
零
あのときの
零
お前、ほんとに覚えていたんだな
犀華(せいか)
うん、だから最後に一緒に見たいって思って
零
そうか
犀華(せいか)
(ガクッ)
零
犀華!!
犀華(せいか)
お兄ちゃん、今までありがとう
零
!!
犀華は静かに息を引き取った・・
零
あ、ああああああー
零
なんで、なんで
零
いやだ、犀華、死なないでくれ
零
い、やだ
零は泣き叫んだ、ずっとずっと泣いていた
零
ごめん、犀華