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青
バナナが、脱げない。
青
このままバナナと魔合体したままバナナ勇者ころんとして名を馳せるのは 本当に嫌だ。しかも素材が純金ではないといえ、割に重い素材でできている。ていうかそろそろ頸椎が死亡の危機に瀕している。
しかしもしかしたらこの道に王のいる間があるかもしれんと思うと、進まざるを得ない。元の世界に戻れるかもしれないという希望が頸椎の危機を押し退けている。
青
思いっきりバナナを引っ張る。 顔の赤みと引き換えにバナナは取れた。痛かった。
青
幸い門以外で衛兵には会っていないが、ばったり鉢合わせることもありうる。あまり時間に猶予はないのに部屋はある。120くらいある気がする。
青
バナナは、アンティークな調度品の中に混ぜておいた。なかなか様になるじゃないか。バナナも。
部屋をコンコン、と一応ノックする。応答はないので誰もいないと判断し、ドアを開ける。
ギギギギィ……
青
中から反応は返ってこない。バレなかったのか。
青
安堵して中に入る。
まず衝撃を受けたのは、その調度品の豪華さだ。天蓋がついてとてつもない数の枕がついた豪華なベッド、天井から下がるシャンデリア。ふかふかで高級そうなワインレッドの絨毯。一つ一つの主張は強いのに部屋全体で見ると趣味がよく見えるのだから不思議だ。
青
遠慮なくベッドにダイブする。予想以上にふかふかで驚いた。なんせ、飛び込んだ際に体が一回沈み、ほわんと浮き上がってくるベッドだ。
青
ふかふかすぎて眠くなってくる。
青
そう。さっさとここから出て王探しに向かわないといけない。
青
早く。
青
………。
桃
青鬼とかに出てきそうな暗い通路の中を歩く。いや、それに謎の甲冑とか加えられているから余計怖いかもしれない。
桃
そう思わせるほどに、ここは「城」に似つかわしくない風貌をしていた。
ガタッ
桃
衛兵と甲冑の着ている鎧が似ているため紛らわしい。これで甲冑の中が実は一人衛兵でした、とかいう展開が来たら本当のホラゲーになってしまう。
桃
自分のたてたフラグ回収が怖くなる。急いでこの空間から抜けよう。自然と早足になる。
長い廊下を歩き切り、やっと一息つく。場の照明も少し明るくなり、もう心配はないだろう。もともとなかったかも知れないが。
桃
仕方がない、やったことのないゲームではこういうことがよく起きる。大切なのはしっかりマッピングして次に繋げて行く事だ。切り替えが大事。
桃
?
桃
「…え?」
橙
一通り散策が終わり帰ってきてはいいが、一向にさところが帰ってこない。単純に俺の散策範囲が狭かったのかなにかトラブルに巻き込まれているのか。
橙
スマホというより連絡手段がないと、相手に何が起こっているのか分からない。圧倒的に分散行動に不利なのだ。
橙
遅い。
橙
これは絶対何かトラブルに巻き込まれている。しかも二人とも。しかし俺は一人。どちらから行くべきか。
橙
さとちゃんはもしかしたらもう王に会ってなにかしている可能性もある。何かやらかしているのはどちらかというところちゃんの方だろう。そう考えて、俺はころちゃんの行った道へ歩いて行った。
橙
長くて大きな廊下は孤独感を与えるはずなのにそこかしこに置いてある絵や調度品のおかげでただただ楽しい。
橙
しばらく美術品を楽しみながら進んでいくと、部屋が立ち並ぶ所へ出た。恐らくこの中のどれかにいるのだろう。
橙
そこで、不自然に扉が開いた部屋が一つだけあるのを見つけた。
橙
少なくともトラブルに巻き込まれていることはなさそうだ。安堵感を覚え、勢いよくドアを開ける。
橙
入ってすぐ、最悪の状況だということがわかった。確かに、部屋の中にはころちゃんがいた。なんとコイツ、呑気にもベッドで爆睡している。
それだけなら、笑いながら叩き起こしていた。
橙
鎧を着た衛兵二人ほどが、ころちゃんのすぐそばに居た。俺の少し前に部屋に入ったらしいそのたたずまいは、ころちゃんと、ひいては俺の危機をも意味していた。
俺は、急いでころちゃんを担いで逃げた。
橙
標準より軽めとはいえ、成人生の体だ。抱えて走るのは正直かなりキツイ。しかし、そんなことも言っていられない。
橙
青
橙
青
背中からころちゃんを下ろし、二人で全力で走る。時々ちらっと後ろを振り返ると、衛兵たちもかなりのスピードで追ってきているので気が抜けない。
大広間に戻ったとしても、通路と大広間の間を防げるようなものは何もない。
橙
青
橙
青
その、汗に濡れた指の先には一つの部屋があった。
橙
使い古された手だが、今の俺たちにはその選択肢しか残されていなかった。
橙
青
青
急いで部屋に入り、ドアと窓を開けっぱなしにしておく。幸いなことに、窓は上げ下げするタイプの大きなものだった。
青
部屋の奥、窓のそばにしゃがむ。準備は完了だ。
橙
ジェルくんが衛兵を引き連れて戻ってくる。すでに距離がかなり縮まっており、もう少しで捕まってしまいそうだ。
しかし、まだだ。一瞬。ジェルくんの猶予が必要だ。
橙
手を伸ばせば届きそうなくらいの距離。その刹那。
青
橙
僕の合図とともにジェルくんが左へ急旋回する。衛兵は速度がついているためほんの少し足がもつれる。
青
しゃがんでいた僕が、鎧を引っ張る。バランスを崩したところで、ジェルくんが衛兵を窓方向に思いっきり突いた。
衛兵は、窓の外へと落下して行く。そこまで高さはないが、距離は取れた。この猶予ができたことは、貴重だ。
橙
青
まだ安心はできない。だというのに、僕らは目の前の危機をすり抜けたことへの安心感で動けなくなっていた。
橙
青
まだだ。さとみくんがいる。動かない足を無理やり動かして、広間へと向かった。
青
橙
広間にさとみくんは、いなかった。本来なら探しにいくべきなのだろう。しかし、本当に足が限界に近い。僕は床に座り込み、ジェルくんは寝っ転がってしまった。
橙
青
さとみくんは頭も働くし、チェイスも得意だ。僕たちの中で一番適性がある彼なら、大丈夫だろう。
ガサッ
ほら、物音も聞こえる。きっとさとみくんだ。
青
姿が見えない。これは新手のイタズラか。こんな状況で何をしているんだか。
青
橙
違う。とジェルくんは言った。背後で寝ているジェルくんが言った。その方向を向くために体の向きを変えるのも面倒くさかったので、そのまま後ろの声を聞く。
橙
「いままで俺ら、さっき以外怖いくらい運良かったよな」
青
橙
青
橙
青
橙
急にジェルくんの声が聞こえなくなった。何があったんだ、と後ろを振り向く。
青
そこには、大量の衛兵がいた。
青
抵抗など、体力はさっき使い果たしている、出来ようがない。衛兵の一人に、遠慮なく手刀を叩き込まれ、僕の意識はそこで途切れた。
?