もう一度眠って、疲れを取る。
今度はいい夢だった。
俺が、生きてて良いって皆に言ってもらえる夢。
また、目が覚めた。
もう夜明けだ。
そろそろ、だな
五日になるまで。
ベッドから這い出て着替える。
1番着慣れた、制服に。
ジッと音を立て 襟のファスナーを閉める。
誰にも気付かれぬように、医務室を出て屋上へ向かう。
トン…トン…と足音だけが響いていく。
屋上へのドアを開けると冷たい風が髪を揺らして行った。
狗巻 棘
五日経ったら死ぬと決めた時から。
医務室には、悩みに悩んだ結果
【ごめんなさい】
とだけ書いたものを置いて来た。
ふわふわとした気持ちで風に吹かれていたら、もうあと5分になっていた。
待ってるの面倒臭いな。
もう逝っちゃって良いか。
縛りを破る事になるけど、死ぬならもうどうでも良いだろ。
フェンスに足を掛けた。
体重を上半身に掛けて____
バンッ!!
狗巻 棘
五条 悟
何故気付いた。
呆然としている間に悟に羽交締めにされる。
狗巻 棘
五条 悟
狗巻 棘
悟がぐっと瞳を揺らした。
…流石は最強。呪言が効かないどころか呪詛返しすらない。
狗巻 棘
狗巻 棘
_こんな僕が消えたところで 何億人の人は変わらない
まさにその通りだ。
馬鹿馬鹿しくて自嘲の笑みが溢れる。
狗巻 棘
五条 悟
狗巻 棘
狗巻 棘
狗巻 棘
五条 悟
幻滅したかなぁ。
ふわふわとした感覚がして目の前が歪む。
いきなり、込められた力が弱まったと思ったら、くるりと回転させられて抱き締められた。
五条 悟
狗巻 棘
五条 悟
五条 悟
狗巻 棘
そうだ。
本当は、 もう少し生きてても良いかな、 俺、必要とされてるかな、 と思った時だって沢山あった。
悟と話した時。
パンダと真希が心配してくれた時。
任務が入った時。
医務室で目覚めた時。
隣に悟が座っていた時。
こうして、助けに来てくれた時。
____本当は、 知ってたんだ。
俺の心の奥底に
無理矢理押し込んでいた 気持ち。
俺、
悟の事が
好きなんだ。
でも、こんな事叶わないって知ってるから。
五条 悟
悟が口を開く。
五条 悟
五条 悟
狗巻 棘
狗巻 棘
狗巻 棘
五条 悟
五条 悟
悟の言葉に、ぐっと喉が詰まる。
五条 悟
腕に込められる力が強くなった。
五条 悟
耳を澄ますと、悟の心臓が ドッドッドッ、と早鐘を打っている事に気が付いた。
五条 悟
五条 悟
心拍を落ち着ける為だろうか、悟が大きく息を吸って吐く。
五条 悟
狗巻 棘
五条 悟
五条 悟
いきなり何の話だ、と思ったけど一応耳を傾ける。
五条 悟
五条 悟
五条 悟
狗巻 棘
居るとしたら、悟だ。
五条 悟
狗巻 棘
五条 悟
狗巻 棘
狗巻 棘
狗巻 棘
五条 悟
五条 悟
狗巻 棘
五条 悟
狗巻 棘
五条 悟
五条 悟
悟がそこで言葉を止めた。
数秒の沈黙が流れた。
五条 悟
五条 悟
その言葉に、
浅く、頷いた。
悟が、俺の為に生きている。 ならば。
狗巻 棘
五条 悟
もう一度
頷く。
今度は
力強く。
END…
コメント
3件
うぉぉぉぉ!!最高でした!!もっと色んな人に見られるべきだ…!!