修正 2020.10.11
月明かりが差し込む静かな部屋。
雪撫(せつな)は布団の中で、 ぼんやりと目を覚ます。
まだ寝惚けた顔で、 縁側から見える月を ぼーっと眺める。
今日は綺麗な満月。
そろそろ秋に入り始めた頃だ。
涼しい風がそっと雪撫を 撫でる。
このくらいが丁度いい。
それほど暖かくはないが、 涼しい風が吹き過ごしやすい。
紅葉や落ち葉を踏みしめる音。
夏から一変して、 落ち着いた静けさを感じる。
こんな真夜中の静かな時は 色々考えてしまう。
浮かぶ事は決していいものではない。
幼い頃からずっと そんな事ばかりが浮かぶ。
辛い。
苦しい。
痛い。
ずっと我慢して 奥底に沈めていたもの。
そんなことばかりが頭の中を 目まぐるしく動いていた。
それに比べれば今は 大分穏やかになった。
きっとまだマシだ。
青年は再び月を眺める。
静かに佇む丸いそれに、 心のざわつきが少し収まる。
雪撫はまた瞼を閉じると
ゆっくりと夢に落ちていった。
コメント
1件
なんか…綺麗…そして語彙力が素晴らしい