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ただ一緒に笑っていたいから

第50話 - きっと大丈夫

209

2025年02月22日

#恋愛

#青春恋愛

#一次創作

桜野はな

夕方

誘き寄せるために人気のない通りを歩く

すぐ助けられるようにと

yuanくん、uri、hiroくんが少し離れたところに待機して、

jppは何があっても探し出せるように家で待機している

正直言うとあの人の会うのは、すごく怖い

みんなが分かるところに居るとはいえ、

1人で会うのは、不安でしかない

また、昔みたいになったら

もし、帰れなかったら

俺達はetoさんが

大切で、大好きで、ずっと一緒に居たいって

eto

........私は大丈夫だよ

eto

うん、大丈夫

eto

もう、あの時とは違う

eto

私は独りじゃない
みんながいるもんね

eto

........よしっ、

yuanくんが、皆がくれた言葉が

私の心を支えてくれる

橘隆司

なにしてんの？

eto

........、

橘隆司

etoちゃんが1人でいるの

橘隆司

わざとだよね？

eto

........どうして、そう思うの

橘隆司

1人になったら狙われるって分かってたでしょ

橘隆司

etoちゃん........etoはそこまで馬鹿じゃないし

橘隆司

俺に何か話があるのかな？って

eto

........そう、ですね

eto

話というか、あなたに聞きたいことがあります

橘隆司

ん？

eto

なんで、こんなことをするの

eto

どうして私に執着するの

eto

前に、私が可愛くなったからだとか言っていたけど

eto

それだと、昔のことに説明がつかない

eto

........どうして

橘隆司

ん〜そうだなぁ

橘隆司

ただ話すだけじゃつまんないしなぁ

橘隆司

あっ！
俺にキスしてくれるなら、話してあげるよ

eto

っ、！

eto

何言って、

橘隆司

いいの？

橘隆司

するって言うなら

橘隆司

俺の事全部、話してあげようと思ってるんだけど

eto

........っ、

この話を受けても、約束を破ることにはならない、

気持ち悪くて仕方がないけど、

私が今、この一瞬を我慢すれば、

謎だらけのこの人のことを全部知れるなら、

eto

........わかった、

eto

すれば、いいんだよね、

橘隆司

うん

eto

........、

覚悟を決めて

背伸びしながらこの人の服を掴んで

少しずつ顔を近づける

eto

っ、

目をつぶってゆっくり近づけていると

グッと手で口を抑えられる

eto

んむ、！？

橘隆司

ばかだなぁ、
女の子なんだから、もっと自分を大事にするべきだよ

eto

......、？

橘隆司

ま、俺が言えることじゃないけどさ

橘隆司

流石にキスはいいや
そんな覚悟決めてるとは思わなかったし

橘隆司

まぁ一応約束は守ってくれたしね

橘隆司

とりあえず移動してから全部話してあげるよ

橘隆司

あそこにいる男達に聞かせる義理はないし

eto

なっ、

eto

気づいて、！

橘隆司

侮ってもらっちゃ困るな

橘隆司

etoには一旦眠っててもらうよ

eto

やめっ、！

eto

っ、........

視界に映る夕焼けと甘い香りを最後に

私の意識は途絶えた

yuan

っ、

uri

我慢しろ、

uri

辛いのはわかってる、
でもきっと、etoさんなりに考えて出した答えだ

yuan

わかってる、

会話は聞こえない

ただ、etoさんが酷く怯えているということだけが、痛いほど伝わってくる

yuan

etoさん...、苦しそうだ、

uri

........

hiro

........っ、

しばらく見ていると、

etoさんが不意に倒れ、あいつに抱き寄せられる

yuan

っ、！

yuan

助けなきゃ、！

uri

yuanくん、！

yuan

待てっ、！！

橘隆司

........

橘隆司

やっと来たんだ

yuan

っ、黙れ、

yuan

etoさんを離せ、！

橘隆司

なんのために？

橘隆司

俺は2人きりで話をするために連れ出すの

橘隆司

お前らに邪魔される筋合いはないんだけど？

橘隆司

邪魔者は帰ってくんない？

yuan

危ない目に遭うかもしれないっていうのに、

yuan

etoさんを渡すはずないだろ！！

橘隆司

そらそうだ
だからこうやって連れてくんだよ

橘隆司

じゃ

yuan

おいっ！

etoさんを抱えたまま車に乗りこみ

走り去る

yuan

っ、くそっ、！

uri

yuanくん、一旦待て

yuan

でもっ、etoさんが、！

uri

わかってる
俺だって心底嫌だよ

uri

1秒でも早くあいつの傍から連れ戻したい

uri

でも無理だ
車には追いつけない

uri

ちゃんと助けるために、考えよう

hiro

......うん、そう

hiro

場所はわかる？

uriの言葉で我に返り辺りを見渡すと

hiroくんは冷静に

jpapaに連絡している声が聞こえる

yuan

........そう、だよな、ごめん

uri

うん

hiro

jpapaさんも、携帯にGPSのデータ写し次第すぐ向かうって

uri

わかった

eto

んんっ、........

eto

........ここは、

橘隆司

おはよ

eto

っ、！

目を覚ますとそこは

見覚えのない廃工場で

腕と足が縛られ

ボロボロのソファの上で寝かされていた

橘隆司

警戒してんね〜

eto

なんのためにここに、

橘隆司

眠らす前にちゃんと言ったじゃん

橘隆司

あいつらに聞かせる義理はないんだって、俺は2人で話がしたいんだよ

eto

.....っ、じゃあ早く話して

橘隆司

........ん〜そうだなぁ

橘隆司

etoはさ
あの男のことどれくらい好きなの？

eto

........は、？

橘隆司

yuan.....だっけ？あいつのこと

eto

なんでそんなこと、あなたに教えなきゃいけないの

橘隆司

んいや？気になったもんで

eto

.......この世の何よりも、大切な人........

橘隆司

ふーん

橘隆司

他の奴らは？あと10人

eto

........みんな、私の大切な人、

橘隆司

そっか
etoにとってのあいつらが、俺にとってのetoと似たようなものなんだよ

eto

........

橘隆司

俺さ親がいないんだよね

橘隆司

あぁ、死んだとかじゃないよ？多分

橘隆司

俺は捨てられたんだ
両親に

橘隆司

俺のことを一度も愛そうとせず

橘隆司

息子だとすら思わなかった

橘隆司

物心ついた時から、いや、その前からかな、ずっと、ストレス発散の為だけの道具

橘隆司

それ以外は空気

橘隆司

それがしばらく続いて

橘隆司

あいつらに金儲けの話が来て、

橘隆司

そのままどこかへ消えた

橘隆司

その後は叔父夫婦のとこに引き取られたよ

橘隆司

最初は離れられて清々したけど

橘隆司

でも結局、何も変わらなかった

橘隆司

叔父夫婦のところでも暴言暴力の嵐

橘隆司

それがずっとだ

橘隆司

そこから優しくて、思いやりのある良い奴ができると思う？

橘隆司

無理に決まってる

橘隆司

どんだけ歳を重ねても俺はひねくれ続けて

橘隆司

クソみたいに育っていった

eto

......

橘隆司

そんな時だった

橘隆司

ある日1度だけ、隙を見てあの家から抜け出したことがある

橘隆司

全身ボロボロで、体力ももうほとんど無くて

橘隆司

その場に座り込んだ

橘隆司

道行く人はみんな、ゴミを見る目で俺を見て、歩き去っていったのに

橘隆司

1人だけ、俺に手を差し伸べてくれた

橘隆司

笑いかけてくれた

橘隆司

......初めてだったんだ

橘隆司

俺に優しさを向けて、
笑いかけてくれて、

橘隆司

人として、扱ってくれた人

橘隆司

それが、etoだったんだよ

eto

！

昔出会った

寂しそうに俯く男の子......

あれは、この人だったんだ、

橘隆司

そこからずっと追いかけ続けてた

橘隆司

俺は、誰かに愛情を向けられたことがなかったから

橘隆司

誰かを愛する方法も、
愛するってどういうことなのかも分からなかった

橘隆司

だから、その人について調べて、後を追って、

橘隆司

こういう方法しか、思いつかなかった

eto

......

橘隆司

でも、後悔はしてないよ
申し訳ないとは思ってるけど、

橘隆司

結果的に嫌われてるし、
意味なかったのかもしれないけど

橘隆司

俺は俺の中にあった、俺ができることをしたつもりだから

eto

......あなたの言葉に、

eto

嘘はないんだと思う、

eto

だからと言って、あなたを許せる訳では無いけれど、

eto

仕方なかったなんて、言えないけど

eto

それでも私は、親から捨てられ、拒絶される辛さを知ってるから、

eto

あなたを否定することは、私にはできない

eto

だから、あなたはあなたで

eto

幸せになってくれたらいいなって、そう思ってる

橘隆司

ははっ、相変わらずお人好し

eto

うん、そうなのかも、

橘隆司

まぁ、知ってたけど、

橘隆司

俺の話、邪魔せず馬鹿にせず最後まで聞くとことか

橘隆司

何をされても、してきた相手に幸せになってなんて、簡単に言っちゃうし、そんなこと普通言えねぇよ

eto

......だって、

eto

私だって、そうなってたかもしれないから、

橘隆司

......

eto

1番近くにいる、血も繋がっているはずの実の両親から、

eto

人間として扱われなくて、

eto

自分と力の差の大きい大人から

eto

何度も何度も、
何年も、何年も

eto

暴力と暴言の嵐で、

eto

精神が壊れかけて、
生きる意味も見失って、

eto

それでも私が今の私で居られるのは、

eto

1番危ない時、yuanくんが、みんなが居てくれたからで

eto

あなたのように、あの時みんなに出会えてなかったら、1人だったら

eto

私もきっと、沢山間違えてたはずだから

eto

だから、やり直そう？
ここから

eto

今までのこと、あなたがしてきたこと、全部、なかったことになんてならないけど、

eto

これまで傷つけた人達の分まで、ちゃんと報いるために、

eto

ちゃんと生きていこう

eto

ここを出たら、もう私は助けることは出来ないけど、

eto

ここで踏みとどまれるなら、あなたはきっと、大丈夫だから

eto

これからのあなたが、あなたの嫌いな人達と同じにならないように

eto

ね

橘隆司

......あ〜あ、

橘隆司

ほんっと、昔から変わらないなぁ、ずっと、

橘隆司

本当にずりぃよ、

橘隆司

そんなこと言われたら、もう何もする気になんねぇっつの、

eto

......

橘隆司

俺、変わるよ

橘隆司

確かに、アイツらと一緒になりたくねぇし、

eto

うん

橘隆司

だからさ

橘隆司

突き出してくんないかな、俺を、警察に

eto

え？

橘隆司

俺がやってきたことは、ほとんど犯罪と変わらないし

橘隆司

それにもう、わかんないんだ、

橘隆司

あいつらがetoに向ける
優しくてあったかい瞳が

橘隆司

etoがあいつらに向ける
愛しさに満ちた瞳が

橘隆司

俺向けられていないとわかっていても、俺の心が暖かく包まれていくみたいな感じがして

橘隆司

だから、それを知りたい、知るために

橘隆司

ちゃんと変わるために、リセットさせて欲しい

eto

......うん、わかった

eto

変われること、願ってるから

その後

すぐyuanくん達が助けに来て

4人とも凄く心配した顔をしながら

私のことを抱きしめてくれた

しばらくして警察も来て

りゅうじくんは

少し安心したような、スッキリしたような顔で

連行されて行った

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