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夜の学校は
昼とはまるで別の場所みたいだった
蛍光灯はついているのに、
校舎は不気味なくらい静まりかえっている
廊下を歩くたび
自分の足音だけがやけに大きく聞こえた
この学校にはひとつだけ噂がある
『夜の校舎で誰かに名前を呼ばれたら終わり』
「終わり」というのが
なんの終わりなのかは誰も知らない
ただ
呼ばれた次の日から
その人は少しだけ、変わる
大切にしていたはずのものを
大切だと思えなくなる
友情。
夢。
愛情。
失ったことにすら
気づかないまま
俺は何度も名前を呼ばれている
階段の踊り場で。
鏡に映る自分の口から。
誰もいないはずの教室で。
それでも
俺は失っていない
…いや
本当に失っていないのだろうか
1人だけ、俺の名前を呼ばない人がいる
その人は
俺を見るたび
少しだけ困った顔をして
何も言わずに目を逸らす
まるで
呼んではいけないと
知っているみたいに
もしも
あの人が俺の名前を呼んだら
そのとき
俺は何を失うのだろう